1995年に発売された、いわゆる「復刻版ダックス50」。当時をリアルタイムで覚えている筆者(佐賀山敏行)からすると、「あの時の新しいダックスだぁ~!」なんて思ってしまいますが、よくよく考えると、すでに発売から30年近くが経った立派な旧車。
キャブレターを採用した吸気システムはもちろんのこと、合わせホイールや折りたたみハンドルなどは、現在では決して新車で出すことはできない……当時ならではのシステムだといえるでしょう。
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そんなダックス50をこのまま朽ち果てさせるのは勿体無い! ということで立ち上がったのが、東京都東久留米市のバイクショップ・ナインゲート。
SR400/500を得意とするショップですが、今回はダックス50復活のために奮迅の活躍を見せてくれました!
そうして完成したのがこの車両です。
ちなみに今回は、不動車をピッカピカにフルレストアするのではなく、あくまでも年式相応の中古車としてプチレストアするのが目的です。安全に、気持ちよく走るために必要なメンテナンスを施しました。
そのため、外装についた錆や腐食については、ひどいものは落としましたが、決してショーモデルのようにはしません。「そのサジ加減が意外と難しいんです」とナインゲート・細井さんは言います。
たしかに年式相応の中古車といっても、あまりにも汚いままだと見すぼらしい。かといってメッキパーツだけをピカピカにしてしまうと、たとえばエンジン周りやキャブレターなど、他の金属パーツとのバランスが悪くなって、なんだかチグハグな印象になってしまいます。
しかし、そこはこれまで数々のカスタムSRを作り上げてきた同店だけに、絶妙なバランスで仕上げてくれました。
また、今回はリアスプロケットやリアサスペンションは、純正が廃番のため交換しませんでした。社外パーツはありますが、それらに変えると雰囲気が大きく変わってしまいます。
そうした場合は、とりあえず純正のままが定石。新オーナーが決まったら事情を説明して、交換を希望した場合は交換するとのこと。
ただし、先述の通り、安全性についてのメンテナンスは十分すぎるほど! 前後ブレーキやキャブレターはオーバーホールを施し、タイヤは前後新品です。チェーンやバッテリーも新品!!
ベアリングや各摺動部のチェックやグリスアップもしっかりしているので、ダックス50本来の性能をしっかり味わえるようになっています。
見た目も大切ですが、やっぱりバイクは走ってこそ! 30年前のバイクがまた元気な姿を見せてくれるのは、バイク好きとしてはやっぱり、心躍ってしまうわけです!!
というわけで、元気になったダックス50の詳細を見ていきましょう。
入庫時、車体から取り外されていたガソリンタンクは中身を洗浄。サビはなかったのが幸いでした。
ただし、タンクを車体に固定するフューエルタンクブラケットのガスケットは劣化していたので、新品に交換しました。
タンクキャップ右側に見えていた黒いカバーを外すと、バッテリーが出現。
当然、バッテリーは新品に交換します。
ちなみに、ダックス50はバッテリー残量がなくてもエンジンをかけることができます。しかし、バッテリーに電力がないと各電気パーツに安定して電力を供給することができず、負担をかけることも。また、エンジンをかけないとウインカーやヘッドライトの確認ができないのも意外と不便ですよね。
そのため、やっぱりバッテリーは必要なのです!
キャブレターはオーバーホールで完調!
ちなみに中古車の場合、ジェット類が変更されている可能性があるので、オーバーホール時は純正に戻すのが定石。そして、純正状態から再度セッティングを出します。
エアクリーナーはエレメントが崩壊していたので、洗浄して新品に交換しました。
リアブレーキも分解してオーバーホールをおこないました。ドラムシューも新品に交換しました。
さらにスイングアームも取り外し、シャフトをグリスアップ。本来の動きを取り戻しました。
さらにエンジンの後ろ側など、普段なかなか手を入れられない箇所を洗浄したのも見逃せないポイントといえるでしょう。
チェーンとフロントスプロケットは新品に交換。リアスプロケットは純正が廃番で、まだ山があったので再使用することにしました。もちろん、そのまま取り付けるのではなく、汚れなどはしっかり落としましたよ!
タイヤは定番の『ダンロップ D307』をチョイス。
フロントブレーキもオーバーホールしましたが、ドラムシューは表面をメンテナンスして再使用。なんでもかんでも新品に交換してしまうと、最終的に価格がとんでもないことになってしまいます。
安全に使えるものは再使用する……これもプロの判断なのです。
グリップは純正新品に交換。スロットルワイヤーとブレーキワイヤーはともに使える状態だったので、グリスを注入して再使用。
もちろん、ブレーキレバーの摺動部など、必要な箇所にはグリスを塗布しました。
簡単なようで手間が掛かるし、ピンと張るのが難しいシート張り替え。しかもダックス50はタッカーを打ち込むのではなく、シートベースから突起が出て、そこに表皮を引っ掛けるという特別な仕様。
細井さんも「便利といえば便利だけど、面倒といえば面倒ですね」と苦笑していたのが印象的でした(笑)。
最後の仕上げは磨き。フェンダーやマフラーガードなど、サビが目立つ部分をナイロンたわしなどで磨き上げて完成です!
昨年の発売以来、大人気のダックス125ですが、ダックス50も存在感の強さは負けていません!
こうしてあらためてダックス50を見ていると、30年ぶりに再復刻してほしいなぁ……なんて思ってしまいますね。
というわけで、プチレストア企画は無事に終了!! また、何かしらの車種でプチレストアをする機会があれば、ご紹介したいと思います!
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みんなのコメント
同じ事をしようとしてもこの程度のダックスは数が少ないです。
ヤフオクでフレームを買って部品から組み立ての方が情報としては有意義だと思います。
私もバラバラ状態で部品を掻き集めてダックスを1台組んでもうすぐ完成します。
塗装も全てブラストで剥がして再塗装しました。
プチレストアやセミレストアは言葉を変えれば中途半端でいい加減と同じです。
初めから手を抜く事と全力で最善の方法を知っていて匙加減をするのは違います。
程度の良い中古車しか直せないプチレストアは必要ですか?
旧ダックスはちゃんとレストアしないと走れない個体が多いですよ?