2025年、オートスポーツwebは前身のクラッシュネット・ジャパンから名称を変更してから20周年を迎えました。これもひとえに、読者の皆さまのご愛顧のおかげです。そこで、皆さまへの感謝の意味も込め、20周年特別記念連載をスタートさせます。題して『オートスポーツweb20周年企画 20の質問で丸わかり』です。かつて、AS+Fやオートスポーツ本誌で連載されていた『100の質問』を20周年記念版でリメイク。スーパーGT GT500ドライバーのプライベートを解き明かしていきます。
第15回は、乗り物大好きなベテラン、松田次生選手が登場です。クルマ好きならではのドライブコースや、20年後の“夢”は必読ですよ。過去回はこちらから。
松田次生が第5戦鈴鹿でスーパーGT参戦200戦を達成「25勝という記録を達成するためにもっと良い走りをしていきたい」
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Q1:趣味は何でしょうか?松田次生(以下、松田):鉄道模型は大好きですし、クルマを集めることも大好きで、もういろいろありすぎますね(笑)。趣味で言うと、最近は自分のクルマをカスタムすることが楽しいです。RZ34ニッサン・フェアレディZや、スカイラインの4ドア(ER34)をドリフト仕様にしたり、改造している第2世代GT-Rをノーマルに戻したり、逆に少し尖ったチューニングカーみたいな仕様にしています。──ファンからは『GT-Rオタク』という愛称もありますが、松田選手が一番好きなGT-Rはどのモデルですか?松田:一番好きなモデルは赤のR33ですね。僕が一番最初に購入したGT-Rで、初めはまともに走らない状態のクルマだったのですけど、いろいろなところを直していき、今では本当に自分好みのクルマになっているので愛着が湧いています。──クルマ好きが思う『クルマの魅力』は何と考えますか?松田:やはり『走る楽しさ』と『音』じゃないでしょうか。現代のクルマは移動する手段としてはもちろん快適で、どんどんと便利になっていますけど、第2世代GT-Rなどはある程度の腕を持ってクルマと対話をしないと、クルマを壊してしまうことがあります。そういった意味では、クルマと対話をして、うまく走ることができたときの一体感は、すごく楽しい時間ですよね。
Q2:最近気になっている芸能人や有名人はいますか?松田:近藤(真彦)監督でしょう! 最近でもテレビなどにすごく出演されていますし、しかも61歳という年齢には見えないほど、かなりお若くないですか? ああいった姿を見ると『僕もあのくらいの年齢まで走り続けることができたら最高だな』と思います。──松田選手も46歳ですが、お若い印象を受けます。松田:そうですか? たぶん好きなことばかりをしているからだと思っています。好きなことをするのは大事ですよね。
Q3:好きな本や映画、音楽は何ですか?松田:最近で言うと、映画『F1/エフワン』です。モータースポーツを初めて見るきっかけとしては、ストーリーもユニークですごく面白いと思いました。ツッコミどころは満載な部分もあるのですが(苦笑)、主人公がお金のために走るのではない部分には共感しました。
本で言うと、最近だとジョーダン194や若きエイドリアン・ニューウェイが手掛けたレイトンハウスCG901などを扱った『GP Car Story』は大好きで楽しみにしています。音楽は1990年代から変わらず、古めの曲ばかり聞いています。一番聞いているのはなんだろうな……、それこそ浜崎あゆみさんですかね。1990年代のクルマで90年代音楽を流しながら乗る、これは青春時代を思い出して楽しいです(笑)。
Q4:行ってみたい場所はどこですか?松田:目的地を設定しないことが多いので、あまり考えたことがないです。例えば、ドライブをするときも目的地は決めず、ふらっと海ほたるや、大黒、辰巳パーキングエリアなどに行くことが多いですね。コーヒーを飲みながら自分のクルマを眺めています(笑)。
Q5:もし何か新しいスキルをひとつ身につけられるとしたら、何を学びたいですか?松田:やはり英語です。レース用語の英語は分かるのですが、外国人の方ともっと会話をしたいなという思いもあるので、そこは永遠の課題です。今は本当に片言でしか話すことができないので、もっと英語を喋ることができれば世界観が広がるのかな、と感じるときもあります。
Q6:休日もしくは暇な時間はどのように過ごすことが多いですか?松田:もう最近のメインは“クルマいじり”です。──カスタムは松田選手ご自身の手で行うのですか?松田:そうですね。ただ、自分ではできないこともあるので、友達のガレージに行って『ああでもない、こうでもない』と話す時間もすごく好きです。また、最近は危険ということもあり、僕はあまり自分でパーツ交換はしていないのですけど『このパーツは良いよね、あのパーツも良いよね』という話はいろいろとしています。
Q7:人生で一番大切にしていることは何ですか?松田:進化し続けること、それが僕の一番のモットーです。若さと体力はどんどんと衰えてくるので、いろいろなことを取り入れて衰えないようにしています。──最近感じた衰えはありますか?松田:やはり老眼です。僕は絶対に老眼にはならないだろうと思っていたのですが、40歳を過ぎたあたりから感じ始めました(苦笑)。クルマのメーターなど、昼間は大丈夫でも夜は見にくくなってしまいました。24時間レースでも昔は見えたものが、今は見えづらくなってしまったことを感じます。
Q8:どんな時に幸せを感じますか?松田:昔から変わらず、クルマを運転しているときです。あと、自分のクルマのカスタマイズがうまくいったときは気持ちいいですね。カスタムがうまくいかないと『あーでもない、こーでもない』とストレスが溜まるのですが、うまくカスタムが決まったときの気持ちよさは、もう快感レベルですよ(笑)。
Q9:尊敬する人は誰ですか?松田:その時々で変わるので特定の人はいないですけど、やはり実績を残している人や、年齢を重ねても頑張っている人は凄いと思います。今だと大谷翔平選手は常に記録を更新しているので、ああいった貪欲な姿勢やモチベーションはどこから生まれてくるのだろうと感じます。──レース関係者ではいますか?松田:星野(一義)さん、中嶋(悟)さん、近藤(真彦)監督です。また、最近ではマックス(・フェルスタッペン)も凄いと思います。昔で言ったらアイルトン・セナ、ミハエル・シューマッハーに匹敵するくらいだと思いますし、オスカー・ピアストリも若いのに凄いですよね。
ドライバーには子どもっぽい人もいれば、若いのに大人っぽい人もいるじゃないですか。マックスとピアストリは若いですけど、かなり大人な感じがします。僕があの年齢くらいのとき『あそこまで落ち着いていたかな?』と思わず比べてしまいます。
Q10:これまでの人生で、一番の挑戦は何でしたか?松田:2019年にKONDO Racingからニュルブルクリンク24時間レースに参戦したことです。ニュルを初めて走ったときはめちゃくちゃ怖かったですけど、コースをすべて覚えて良いタイムで走行できたときの気持ちよさは、おそらく他のサーキットでは味わえない感じを受けました。あれは本当に良い経験でした。──ニュルで好きな部分はどのあたりですか?松田:全部ですかね。やはり怖さもありますけど、すべてがシンクロして走行できているときは、まるで自分が違う世界に行っているような雰囲気があるので楽しいです。また、ジャンピングスポットを走行している場面を写真で見ると『俺ってすげぇジャンプしてるじゃん!』と感じることができるので好きですし、1ピットに5~6台がいる草レース感も良いですよね。
Q11:困難な状況に直面したとき、どのように対処しますか?松田:打開策を常に考えます。スランプはどんなカテゴリーにもありますし、そうなったときは考え込んでしまう場合もあるかと思います。でも、何でも開き直れば、意外とうまくいくときが結構あります。
Q12:自分の長所と短所は何だと思いますか?松田:長所は新しいことを何でも取り入れること。ドライビングの速さに繋がることやクルマの最先端カスタマイズなどは、常にアンテナを張っておきたいです。短所は……ちょっと短気なところかな。走行中に何か起こったときは、無線で怒ったりすることが結構あります(苦笑)。
Q13:子どもの頃はどんな子どもでしたか?松田:言えない車種がないくらいのクルマ好き。あとミニカーも大好きでしたね。──ミニカーはどれくらい所持していました?松田:好きなクルマをほぼ集めていたので、たぶん30台以上はありました。子どもの頃からGT-Rはもちろん好きでしたし、特に海外のスポーツカーやスーパーカーを見ていました。昔はクルマやモータースポーツのテレビ番組が多かったので、それを見てクルマ好きになった部分はありますね。──今でも憧れのスーパーカーはありますか?松田:フェラーリF40は人生で一度は所有してみたいです。ただ、今ではもう買えないくらいの高額なので、所有するというよりも、一度サーキットで走らせてみたいです。
Q14:他の人から、どんな人だと言われることが多いですか?松田:『オタク』と言われます(笑)。──特に何の分野でそう言われますか?松田:やはりGT-Rか、電車オタクです。その乗り物の歴史などをパッと言えちゃったりするので『なんでそんなことを知っているの?』と驚かれることがあります。
Q15:動物に例えられるとしたら、どんな動物だと思いますか?松田:結構、臆病なところがあるので羊ですかね。
Q16:20回以上通っているお店かレストランを教えてください。松田:地元(三重県桑名市)の『すっきゃねん』という焼肉屋さんに通っています。地元に帰ったときには行きますし、僕のポスターやサインも飾ってくれています。お値段も東京で焼肉を食べるよりも安くて良いお肉なんですけど、予約がなかなか取れないんですよ。
Q17:20年以上、使っているものはありますか?松田:20年……。ずっと同じものはさすがにないですね。──これから長く使いたいものはありますか?松田:一番初めに購入したR33GT-Rは、2011年に買ったので今年で14年目になります。そういった意味ではGT-Rですね。乗り続けたいですし、売りたくないです。──ふと思ったのですが、松田選手が所持したことのないGT-Rはあるのですか?松田:ケンメリ(KPGC110型)以外はあります。ケンメリも欲しいですけど、価格が高すぎて無理です……。どなたか譲ってくださる方がいらっしゃれば、いつでも譲り受けたいと思います。
Q18:20年前は何をしていましたか?松田:20年前!? 2005年なのでホンダ時代ですね。スーパーGTではEPSON NSX、フォーミュラ・ニッポンではTEAM 5ZIGENで参戦していました。──2005年の富士(取材は2025年第4戦富士)では立川祐路選手のZENTセルモスープラとバトルを繰り広げましたね。松田:そうそう! いや~、あれは大変なレースでしたよ。
Q19:そんな20年前の自分に言いたいことは?松田:その頃から自分が変わり始めた年でした。今思うと、もっといろいろな知識があれば、もっとクルマを良くすることができたのかもしれません。なので言葉というより、ドライビングやセッティングなどを含め、今持っている知識を教えてあげたいです。──そう感じた瞬間があるのでしょうか?松田:当時はクルマの作り方やコンセプトをしっかりと確立できていなかったと思います。引き出しが増えた今持っている知識を2005年の自分に伝えることができれば、たぶんフォーミュラ・ニッポンでもっと早くチャンピオンを獲ることができていたかもしれません。※2007年、2008年にフォーミュラ・ニッポンのタイトル獲得。
Q20:20年後にしていたいことは?松田:え~、ちょっと待って。20年後というと……66歳か(苦笑)。その年齢でもGT-Rに乗っていたいですし、レース関係に携わることをしていたいです。それこそ『第2の星野一義』という感じになれていれば嬉しいな。──現在はスーパーフォーミュラのKids com Team KCMGでアンバサダーをされていますが、スーパーGTでの監督業などは興味ありますか?松田:監督もやりたいですけど、やはりお金やスポンサーの心配がなければ自分のチームを持ちたいです。それが夢でもありますけどハードルが大きすぎるので、いつかはそういったことができれば良いなという感じです。例えば星野さんはインパルでクルマのパーツなどを販売していますけど、僕も自分の『NEXT BIRTH』というブランドでクルマのパーツを販売したり、レーシングチームを作ったりすることができていれば、20年後の自分を褒めてあげたいです。──仮に、もし制限が何もなければ自分のチームのドライバーは誰を起用したいですか?松田:GTドライバーというよりも、F1ドライバーをスーパーGTで見てみたいのでフェルスタッペンとピアストリを組ませてみたいです。(ジェンソン・)バトンもF1からスーパーGTに参戦していましたけど、彼は日本人に似て器用な部分があると思うので、フェルスタッペンとピアストリがスーパーGTでコンビを組んだ場合、同じセッティングで大丈夫なのかという面でも興味がありますし、ふたりのコンビが果たしてうまくいくのかどうかを想像するのも面白いですよね。
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まさかの『自分のチームを持ちたい』という夢を聞くことができた松田選手へのインタビューでした。松田選手の人望と成績では十分に実現可能な気もしますので、将来を楽しみにしたいと思います。次回もお楽しみに!
●プロフィール 松田次生(まつだ・つぎお)
1979年6月18日三重県桑名市出身。幼少期からカートでチャンピオンを獲得し、1997年に鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)でスカラシップを得る。2000年にはJGTC全日本GT選手権へのスポット参戦とフォーミュラ・ニッポンデビューを果たすと、JGTCには翌年からフル参戦。2006年のニッサン移籍後は、フォーミュラ・ニッポンで2007年と2008年にチャンピオンに輝き、スーパーGTでも2014年と2015年にNISMOでタイトルを獲得し、GT500クラス通算24勝の最多勝記録を持つ。2024年からスーパーGTはKONDO Racingに移籍し、スーパーフォーミュラではKids com Team KCMGのアンバサダーを務めている。
[オートスポーツweb 2025年09月12日]
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