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暴力的なまでの加速感がヤバかった!! かっとび王列伝! 「どっかんターボ」の魅力再考

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暴力的なまでの加速感がヤバかった!! かっとび王列伝! 「どっかんターボ」の魅力再考

 かつてはパワーの象徴であり、あるいは一種の蔑称でもあった「どっかんターボ」。いったいこの言葉は何なのか? 今回は、懐かしのどっかんターボを振り返っていきたい。アナタはこの言葉を覚えてましたか?

文/長谷川 敦、写真/日産、BMW、ポルシェ、ホンダ、写真AC、Abobe Stock

暴力的なまでの加速感がヤバかった!! かっとび王列伝! 「どっかんターボ」の魅力再考

■そもそも何が「どっかん」なのか?

 エンジン(内燃機関)から排出されるガスのエネルギーを利用してタービンを回し、これでシリンダーに大量の空気(酸素)を送り込んで燃焼させるのがターボチャージャー。ターボチャージャーを用いることにより、エンジンは本来の排気量を大きく上回るパワーを発揮することができる。

 このようにメリットが大きいターボチャージャーだが、技術が進んでいなかった時代には、アクセルを踏んでからターボチャージャーが作動するまでの時間にラグ(遅れ)があった。

 このラグは「ターボラグ」とも呼ばれ、特に送り込む空気の量を大きくする(=過給圧を上げる)と、ターボラグによっていきなり大パワーが発生するケースも多かった。

 ターボチャージャーが作動したその瞬間に一気にパワーが上がる状態が、いわゆる「どっかんターボ」だ。どっかんターボでは、唐突なパワーの発生によって車体が大きく振られることもあり、それゆえに運転は難しくなる。

 当然ながらメーカーではこうしたどっかんな特性を緩和すべくさまざまな制御を試みたのだが、それにも限界はあり、どっかんのまま市販されてしまったクルマも存在する。

 また、チューンナップのひとつとしてユーザーが自車にアフターマーケットのターボを装着した場合も、どっかんターボに仕上がってしまうことが多かった。

 時代が進むと製品の品質や制御技術が向上し、現在ではパワーのあるターボ車でもどっかんタイプは少なくなっている。とはいえターボチャージャーの作動原理を考えると、作動までに一定のタイムラグが発生してしまうのは否めない。

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■それでもどっかんターボは愛された?

 コーナーを脱出してアクセルを踏み込んでから、ターボによる出力アップが発生するまでにラグがあると運転しにくいのは間違いない。

 また、効率よくターボのパワーを使うため、特にレースでは通常より早めにアクセルを踏み込む必要があったが、ここでアクセルの踏み加減を間違えると、パワーアップした瞬間に即スピンなどという事態もあった。

 それだけシビアな操作を強いられるどっかんターボだが、やはり大出力は魅力でもあり、ラップタイムを競うレースでなければ、どっかんな特性すらもひとつの“味”として許容されることもあった。

 現代では制御技術が著しく進歩し、ターボチャージャー付きでも滑らかに吹け上がるエンジンが多い。

 また、ターボチャージャーが苦手とする低回転域でのパワーを電動モーターで補い、高回転はターボが担当するハイブリッドモデルもある。こうした現状をもの足りないと思うドライバーもいるのは事実だが、やはり安全には変えられない。

 次の項では、どっかんな特性も含めて愛された昭和&平成のクルマたちを見ていくことにしよう。

■どっかんも個性だった国産の駿馬たち

日産6代目R30スカイライン2000ターボRS。この世代のスカイラインにはGT-Rが存在しないため、2000ターボRSが史上最強のスカイラインと呼ばれていた

■日産6代目R30スカイラインHT2000ターボRS

 1981年にデビューした6代目スカインラインがR30型。R30スカイラインでは、8年ぶりとなるDOHCエンジン搭載の2000RSも登場するなど、先代よりも出力が向上していた。そして1983年には国産初のDOHCターボエンジンを有する2000ターボRSがラインナップに加わった。

 当時、スカイライン史上最強と呼ばれていたこのモデルでは、1984年に空冷式インタークーラー装着モデルも追加され、最高出力はグロス205psを達成。国産車初のリッター100ps超えを実現した。

 だが、お約束どおりこの205psはかなり唐突に発生し、ドライブフィールはどっかんとしかいいようがなかった。FRレイアウトにどっかんターボの2000ターボRSは、その過激さも含めて愛されるモデルになった。

■ホンダシティターボII

 1980年代は多くの国産車にターボチャージャーが搭載されるという、ターボモデル百花繚乱時代でもあった。

 トールボーイと呼ばれたホンダのコンパクトカー、初代シティは、ユニークなテレビCMでも人気を博したモデルだが、実は超過激なターボモデルも存在していた。

 1981年に初代シティが発売されると、翌年にはターボモデルを追加。そして1983年にはインタークーラー装着のターボモデル、シティターボIIがリリースされる。

 シティターボIIでは、どっかん特性を助長するシステムも組み込まれていた。エンジンの回転数が3000rpm以下の時にアクセルを全開まで踏み込むと、10秒間のみターボ過給圧が10%アップするスクランブルブーストがそのシステム。

 当時の制御技術では通常のターボでもどっかん気味の特性だったのに、スクランブルブーストではさらにどっかんな出力特性になった。

 最高出力こそ110psだったが、軽量な車体には充分すぎるくらいのパワーで、オーナーには暴れるクルマを抑えつけるテクニックが要求された。

■本場のどっかんはスゴかった? 海外のどっかんターボ車

ポルシェ911(930型)ターボ。日本国内では930ターボの名のほうが有名で、1970年代国内スーパーカーブームの主役の1台。ポルシェの技術力をもってしても、どっかんな特性は消しきれなかった

■ポルシェ911(930)ターボ

 ドイツのポルシェは早期からターボチャージドエンジンの開発に取り組み、1974年には自社の主力シリーズ、911にターボを装着した911ターボをデビューさせている。

 正式名称は911ターボだが、車体の型式が930型のため、当時から930ターボと呼ばれることが多かったこのモデル、伝統の3L水平対向6気筒エンジンにターボを装着して260psを発生させた。

 ポルシェのターボエンジン技術はモータースポーツで磨かれたもので、信頼性も高かったが、それでもどっかん特性であり、リアエンジン特有のピーキーな挙動にハイパワーどっかんターボの組み合わせは乗り手を選んだ。

■BMW 2002ターボ

 ターボチャージャーの技術はもともと航空機用エンジンで発展したものだったが、航空機に比べて回転数の変動幅が大きいクルマ用エンジンでターボをうまく制御するのは至難の技といえた。

 そんな航空機用エンジンメーカーにルーツを持つドイツのBMWが、1973年にリリースした世界初のターボ付き市販車が2002ターボ。

 2L直4エンジンにターボチャージャーを装着し、その最高出力は170ps。4ドアボディながら車重は1060kgと軽く、まだまだ粗削りだったターボ制御技術とあいまって、操縦性は紛うことなくどっかんだった。

■ランチア デルタHFインテグラーレ 8V

 最後に登場してもらうのはイタリアのどっかんターボ車だ。1970~1990年代にラリーで活躍したランチアでは、1987年から世界ラリー選手権(WRC)で6年連続マニュファクチャーズタイトルを獲得している。

 そのタイトル獲得マシンがランチア デルタシリーズだった。デルタHFインテグラーレ8Vは1988年に登場した公道用モデルであり、FFのデルタを4WDに変更したDOHCターボ仕様。

 WRCの公認取得用モデルだけにエンジン出力も185psとパワフル。そしてターボチャージャーが作動した際のどっかんぶりでも話題になった。

 インテグラーレ8Vは登場の翌1989年に16Vへと進化。最高出力は210psに引き上げられたものの、ターボのチューニングも進んでどっかん特性はかなり緩和された。

 今回紹介したどっかんターボ車は、いずれも1900年代後半のモデルである。ターボの技術が進歩した現在では、こうしたどっかん特性のクルマはほとんど存在していない。

 安全性やエコの点から考えるとターボ車の非どっかん化は歓迎すべきことだが、爆発的なパワーがいきなり発生するどっかんターボにも独特の味わいはあった。

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みんなのコメント

6件
  • hor********
    このシティは人気ありましたね。ゲームにもなったりかつて話題になった車種。今は東南アジアで名前のみ継承して販売されていますね。日本ではグレイス、国によりバラード他で販売。
    VWゴルフみたいにデザイン継承しつつ国内でも継続してほしかったモデルの一つです。
  • コンバット越前
    マスキー法でどうにもならなくなった53年規制
    1977年のスカイライン ジャパンのターボまで
    それはカッタるいクルマで、しかも燃費最悪

    その時のクルマを知らないキッズが何か言ってるけど、当時は国産車ターボが市販出来るとは思わなかった
    運輸省のクルマに対するお役所規制は凄まじく
    ドアミラーですら、海外からの圧力でようやく規制解除されたぐらい

    そこから少しづつ進化して行った
    市販化されたからフィードバックも大きく
    より使いやすく、パワーも出て燃費もそこまで悪くならない
    ただまあ味みたいなモノは無くなったのは確か
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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