8月4日にIMSAから発表された2024年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の開催カレンダーが、WEC世界耐久選手権やニュルブルクリンク24時間、スパ24時間などと重なっていることを受け、ポルシェやBMWの幹部は驚きとともに「かなり大きな影響がある」と語った。
来季2024年のIMSAカレンダーは、WECの3戦に加え、IGTCインターコンチネンタルGTシリーズのニュルブルクリンク24時間やスパ24時間といった、ポルシェとBMWがファクトリードライバーを擁して参戦する象徴的なイベントと日程が重なることになっている。2023年のカレンダーではIMSAとWECの日程は2度被っていたが、2024年はさらにもう1ラウンド増加。ウェザーテック選手権のLMP2、GTDプロ、GTDの3クラスのみで開催されるモスポート・パークでのラウンドと、WECサンパウロ6時間も同じ週末に開催されることとなった。
IMSAの2024年カレンダー発表、デトロイト市街地が加わる。WECなどビッグイベントとの日程重複多数
「少し驚いているよ。両シリーズともに、もっと日程が重ならないように調整できるだろうと思っていたんだ」とSportscar365に語るのは、ポルシェ・モータースポーツのボス、トーマス・ローデンバッハだ。
「GTP(IMSA)とハイパーカー(WEC)の双方にとって、運営面では問題はないだろう。もちろん、それぞれのチームの間で多くの入れ替わりは起きるが、(我々の)運営面ではまったく問題ないはずだ」
「一方、ニュルブルクリンク24時間とスパ24時間の日程が(IMSAのカレンダーと)重なったことを見ると、BMWや我々にとってかなり痛手だと考えている。通常であればIMSAへファクトリードライバーを送り込みGTカーをドライブさせることで、カスタマーチームにとって有益となるのだがね」
「これは本当に厄介なことだ。IMSAやWECとの重複よりもずっと痛い」
BMW Mモータースポーツ・ディレクターのアンドレアス・ルースは、BMWが2024年からウェザーテック選手権のGTPプログラムやさまざまなGT3活動と並行して、2台体制でWECのトップカテゴリーを争うことを考えると、とくに難しい状況であることを認めている。
同氏はSportscar365に対し「私はすでにいくつかのカレンダーを並べはじめているが、最終的には非常にチャレンジングなものになるだろう」と述べた。
「私には、IMSA GTPのドライバーは北米シリーズにしか参戦できないように見えていて、少し難しいんだ。それを回避する方法を見つけなければならないが、これが最初に見たときの印象であり、我々のドライバーがすべてをこなすというこれまでの哲学に反することになる」
「WECやIMSA、GTワールドチャレンジやIGTC、DTMドイツ・ツーリングカー選手権といったレースのなかで、我々にとってどれが重要なのかを決めることは難しい。週末の回数は限られているから、ある段階で週末足りなくなってしまうのは理解している。だが、主要なイベントと重ならないことを願っていたんだ」
■ニュル24時間とスパ24時間との衝突が「もっとも痛い」
ルースは他の多くの有識者と同様に、IMSAのジョン・ドゥーナン氏とWECのフレデリック・ルキアンCEOが示したとおり、WECとウェザーテック選手権の衝突は1回だけになると予想していた。
「IMSAのロングビーチとWECのイモラがぶつかることは知っていたんだ。この1戦だけなら理解できるし、どうにか回避策を見つけることもできる。しかし、トップクラスのIMSAとWECが2回ぶつかり、さらにニュルブルクリンク24時間とスパ24時間が重なるというのはチャレンジングだね」
「本当にそう思うよ。我々のドライバーたちを見ると、IMSAにフル参戦している4人(アウグスト・ファーフス、フィリッピ・エング、コナー・デ・フィリッピ、ニック・イェロリー)はニュルブルクリンク24時間では1台のマシンに乗っていたんだ。つまり、ニュルブルクリンクで1台のマシンに乗るほかはドライバーがいないんだ」
ポルシェ・モータースポーツのローデンバッハも「ニュルブルクリンクとスパがぶつかるのはもっと痛い」と強調する。
「GTのビッグレースとぶつかることで、我々の課題がさらに増える。しかし誰かを非難しするつもりもない」と語った同氏。
「正直なところ、誰も意図的にやっているとは思っていないよ。誰もがコースの空き状況やいろいろなことを考慮しながらカレンダーを調整しようとするものだと思う。誰もができる限りベストを尽くそうとしているんだ」
■IMSA代表「カレンダーを変更する予定はない」
IMSAのドゥーナン代表は、チャンピオンシップの日程が重なる週末が多いことを認めつつも、最近発表された2024年のレースカレンダーを変更するつもりはないことを明らかにしている。
「多くのチーム、メーカー、ドライバーたちがあらゆる場所で戦っているため、私たち衝突を避けるために最善を尽くしている。WECと新たに日程が重なったのは、あくまでテレビの都合によるものであり、ラグナ・セカで生中継の放送ができるようにするためだ」
「これは残念なことではあるが、我々はACOフランス西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長やWEC CEOのフレデリック・ルキアン、FIA耐久委員会の会長を務めるリシャール・ミルとつねに連絡を取り合っている。そして我々は皆それを避けられない時期があることを理解している」
また、ドゥーナンは「ワトキンス・グレン6時間とスパ24時間の日程重複に関しても同じような状況だった」と付け加えた。
「SROの友人たちともつねにコミュニケーションを取り合っている。しかし2023年のカレンダーと2024年のカレンダー、そしてル・マン24時間レースが開催されるタイミングを考えると、(衝突を)避けることはできなかった。我々は今後もバッティングを避けるために最善を尽くしていくつもりだ」
「それはとても難しいことだ。だが、誰もがこのスポーツのためにそうしたいと思っている」
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