クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第73回は「マクラーレン MP4-12C」だ。
マクラーレン MP4-12C(2011-2014年)
マクラーレン MP4-12Cは、マクラーレン オートモーティブが前身であるマクラーレン カーズ時代に生産したマクラーレン F1、メルセデス・ベンツに開発協力したメルセデス・ベンツ SLRマクラーレンに続く、3作目の市販スーパースポーツカーだ。だがF1はロードカーと呼べるほど一般的ではなく、SLRマクラーレンはメルセデス・ベンツ車であったし、MP4-12Cこそがマクラーレンがロードカーに本格参入した第1作と言えるだろう。
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車名のMP4とは「マクラーレン プロジェクト4」の略で、ブルース・マクラーレンが興したマクラーレン レーシングと、ロン・デニス率いるプロジェクト4が1980年に合併したことに由来し、F1マシンにもロン・デニスが退陣するまで車名にはMP4が付けられていた。12はV12エンジン搭載車並みのパフォーマンスを、Cはカーボンファイバーを採用していることを意味する。
車名のとおり、MP4-12Cはカーボンファイバー製のバスタブシャシをおごっている。F1グランプリの世界でもライバルであるフェラーリがエンジンをウリにするなら、マクラーレンはF1マシンで考えてもシャシがウリになる。MP4-12Cはライバルがフェラーリ 458イタリアという普及型のスーパースポーツカーながら、カーボンファイバー製のシャシの前後にアルミニウム製のフレームを結合して、際だった高剛性のボディを実現した。
外板パネルにはアルミニウムやFRPを採用したボディのスタイリングは、かつてピニンファリーナにも在籍し、BMW ミニ(初代)やフェラーリ F430なども手がけたフランク・ステファンソンによる。ドアの開閉方式は、F1やSLRマクラーレンにも採用されたディヘドラル式(バタフライドアとも呼ばれる)を継承している。サスペンションには4輪を連携制御するプロアクティブダンパーを採用するといった新機軸も投入した。
エンジンは紆余曲折の末、リカルド社と共同開発した自社製の3.8L(正確には3799cc)V8 DOHCツインターボをミッドシップ搭載。パワースペックは最高出力600ps、最大トルクは600Nmと、小排気量エンジンを過給して大出力を得る、いわゆるダウンサイジングターボの考え方を先取りしてスーパースポーツカーの世界に持ち込んだのだった。
MP4-12Cは2011年から販売が開始され、翌2012年には電動開閉ハードトップのスパイダーも追加される。車重が40kg重くなったが、エンジンは625psにパワーアップされている。
マクラーレン MP4-12C 主要諸元
●全長×全幅×全高:45091×1908×1199mm
●ホイールベース:2670mm
●重量:1336kg
●エンジン種類:90度V8 DOHCツインターボ
●排気量:3799cc
●最高出力:625ps/7500rpm
●最大トルク:600Nm/3000-7000rpm
●燃料タンク容量:72L
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:7速DCT
●タイヤサイズ:前285/30ZR20、後355/25ZR21
●当時の価格:2790万円
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