日産自動車の緊急記者会見
日産自動車は2024年5月31日、横浜本社で緊急記者会見を行った。
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一部のテレビ番組で同月10日、下請業者に対する違法行為が続いているとの報道を巡り、日産が外部の法律専門家に事実確認を依頼し、その結果を説明するものだった。
まずは、当該報道の背景から振り返ってみたい。
ここで違反行為というは、「下請代金支払遅延等防止法(いわゆる下請法)」の規定に違反することを指す。
具体的には、2021年1月~2023年4月までの間、日産が原価を下げることを目的として、下請代金の額から「割戻金」を差し引くことで、下請代金を減額していた。その総額は30億2367万6843円に及んだ。
公正取引委員会からの指摘を受け、日産は下請事業者に対して2024年1月31日、「割戻金」として減額していた分を下請業者各社に支払った。
日産の内田誠CEOは今回の会見で「(3月以降、部品などの購買業務における)取引の適正化に向けて、法令遵守の徹底と体制強化してきた」と、改善に向けた歩みを進めているとした。
続けて「役員や取引に関わる社員への教育を徹底して、再発防止策の策定を進めているところだ」とも説明した。
そのさなか、一部のテレビ番組で、日産は下請業者に減額要求として威圧的な対応を続けているという報道がなされたのだ。日産としては、調査チームを立ち上げて、実際の調査は外部の法律専門家に依頼して実施したというわけだ。
下請業者が日産と同じテーブルで価格協議ができていない、との報道の真偽は?
調査報告は、調査を担当した弁護士のひとりが行った。
それによると、調査期間は一部のテレビ番組で報道があった翌日の5月11日から同月31日まで。5名の弁護士が対応し、日産コンプライアンス室がサポートした。
報道では、日産が下請業者に4月付けで送った見積書やメールを紹介していたため、調査チームは日産の購買担当者260人の4月のメール内容を確認した。
このうち「当社の目標」等と記載されたメールでの連絡等と関係すると考えられる日産の購買部門の37人に対して延べ43回のヒアリングを実施した。
報道では、A社、B社という2社に対する内容であり、調査についても同2社に関して対応した。ただし、あくまでもヒアリングは日産が社内調査として行っているため、A社、B社、また他の下請け事業者に対しては実施していない。
まず、A社については、見積書、原低回答書などの資料を確認して精査した。
報道によれば、下請業者(A社)は日産が作成したフォーマットに従って作成した見積書を提出。フォーマットは一定の減額値による自動計算式が用いられている。また見積書には「弊社(A社)」が原価低減を依頼している見積書上の体裁を日産が作出している、というものだった。
つまり、下請業者が日産に対して事実上、見積書に対する交渉の余地がないような印象を受ける。
下請業者に対し威圧的な発言は確認されなかった…
A社に対する調査報告では、当該フォーマットは試作品のプレス部品を製造する数社向けに限定されている。
またフォーマットに入力する金額は、2015年に日産と下請業者が合意済の、試作プレス品の仕様書や加工費等の単価を統一的に規定した、原単位コストテーブルで算出され単価を入れることが確認された。
これにより、2016年から2019年まで年6%の減額率による査定値を用いており、2024年時点でも同様の対応をしている。
見積書に「弊社」とあったとの報道に報道について、見積書にはその後「御社」との表示もあり、下請業者と日産で協議した書面であるとの記載があるという。
また、B社については、日産からの目標値をクリアするまで何度もメールを送ったり、威圧的な発言があったとされた。
これに対して調査報告では、目標値は技術的な裏付けがあり、また条件によっては目標値以下でも契約された事例もあるという。威圧的な発言については確認できなかったとした。
今回の調査報告を受け、日産では違反行為などに対する通報を受け付けるホットラインを社外に、下請業者に実際に足を運んで相談を受けるパートナーシップ改革推進室を6月から社内に新設する。
内田CEOは「取引先の各方面から日産に対してご不満の声が挙がっていることは事実」として、法令遵守と適正取引を進めることを約束した。
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まあヒデぇもんだわ!