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次期フラッグシップ・クーペ ロールス・ロイス・スペクター 試作車へ試乗 BEVは副産物 後編

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次期フラッグシップ・クーペ ロールス・ロイス・スペクター 試作車へ試乗 BEVは副産物 後編

空気抵抗を示すCd値は同社最小の0.25

ロールス・ロイス・スペクターのダッシュボードには、ワイドなタッチモニターが埋め込まれている。メーターパネルもモニター式だが、あえて主張することはない。BEVであることも、特には意識させない。

【画像】次期フラッグシップ ロールス・ロイス・スペクター 現行/先代のクーペ BMW i7も 全114枚

筆者がクルマを運転する時は、シートポジションはできるだけ低い位置に設定する。しかし、正確に操縦するべくボンネットの先端まで見えるようにするには、普段より高く調整する必要があった。それだけスペクターは大きい。

フロントノーズでは、空力特性が改善された、新しい姿のスピリット・オブ・エクスタシーが舞っている。彼女も貢献し、存在感のあるボディにも関わらず、空気抵抗を示すCd値は0.25へ抑えられている。同社のモデルとして最小値だそうだ。

フロントシート側の空間は、外観から想像するほど広くはない。リムジンとは異なるタイトなクーペだから、これで正解なのだろう。内装は、通常の顧客が選ばないであろうブラックでコーディネートされ、それも視覚的なゆとりを削いでいた。

いわずもがな、狭いことはまったくない。大柄な体型でもゆったり過ごせるし、リアシートにも大人2名が快適に座れる空間がある。

フロントシートの背もたれには、BMWのようなシアター・スクリーンは用意されない。「お客様は、ご自宅に大きなスクリーンをお持ちです。スペクターはスクリーンのない部屋です」。とは、ロールス・ロイスの技術者、ミヒアル・アヨウビ氏の説明だ。

ロールス・ロイスらしく極めて静か

威風堂々としたスペクターは、無音でシステムが起動し、ほぼ無音で発進する。ロールス・ロイスのモデルらしく、桁違いに静かで落ち着いている。極めて洗練され穏やか。

同社CEOを務めるトルステン・ミュラー・エトヴェシュ氏は、傑作のV12エンジンを過去のものにするのかと、顧客に尋ねられたことがあったという。「V12はわれわれが誇るベストです。ですが、これ(BEV)が次のステップです」。と答えたそうだ。

路上を進むスペクターは、確かに次のステップへ到達していた。実際のところ、ドライブトレインに革新的な内容はないかもしれない。V12エンジンの個性も失われた。しかし、同社として理想とする姿は内燃エンジン時代から近かったといえる。

その顕著な特徴が、極めて静かだということ。近年のBEVで最も静かだと感じた、BMW i7を凌駕する静寂さを得ている。最高の洗練度といって良いだろう。外界と完全に切り離されたような感覚にすら陥る。

ドライブモードには、余計なギミックは用意されていない。回生ブレーキの効きが強くなり、アクセルペダルだけで発進から停止までまかなえる、ワンペダルモードが有効になるBモードが備わるのみ。

非常に巧妙に調整されており、筆者は試乗中、殆どBモードのままにしていた。終始スムーズに、1枚のペダルで運転できた。

乗り心地は極めて快適。路面の凹凸は、基本的にないものにしてくれる。ホイールが23インチと大きく、ツギハギの多い都市部では若干のバタつきも感取されたが、まだ開発途中にある。

予想以上のコーナリング・スピード

ロールス・ロイスの技術者は、車外のノイズを打ち消す人工音を車内で響かせるシステムを開発したが、もう少しの改良が必要かもしれない。理想的な静寂を得るために。

「完全な静けさを達成できると考えています。極めて上質な。あまりにも静かすぎると、不快に感じる可能性もあります。外界との一定の繋がりを持たせるためには、イコライザーが必要です。安全上の問題にも関わります」。アヨウビが説明する。

加速力は、息を呑むほどではない。吐き気を誘うほどのダッシュ力を披露するBEVは、既に目新しい存在ではなくなった。ロールス・ロイスも、そこを目指してはいない。至って安楽で、必要なだけ速いが、それ以上ではない。

全長が5.5m近くあり、全幅が2mを超えるだけに、発進してしばらくは車線の中央へボディを導くことに集中力が奪われる。だが、望外に大きいとまでは感じない。実際のところ、大柄なSUVと変わらない。

ステアリングホイールへの正確な反応が、確かな助けになっている。フロントタイヤが路面から受ける入力にも左右されない。慣れてしまえば、混雑した市街地を抜けることも難しくない。

姿勢制御も素晴らしい。グリップ力は高く、後輪操舵システムが知的に機能し、コーナリング・スピードは予想以上。姿勢制御も秀逸といえ、快適でありながら操縦性も見事だと感じた。

南アフリカでのテスト走行は、暫く続くという。その結果を踏まえ、次のステージのプロトタイプへ反映される。そのスペクターでも、仕上がりは80%の段階に留まるらしい。彼らが追い求める水準は、まだ彼方にあるようだ。

ロールス・ロイス・スペクター・プロトタイプのスペック

英国価格:−
全長:5453mm
全幅:2080mm
全高:1559mm
最高速度:−
0-100km/h加速:4.5秒
航続距離:515km(予想)
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:2975kg
パワートレイン:ツイン電気モーター
バッテリー:106kWh (予想)
急速充電能力:−
最高出力:585ps
最大トルク:91.6kg-m
ギアボックス:−

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みんなのコメント

1件
  • 一般人なのでコメントする立場にないが…
    何年か前、ロールスはBEVはやらんと言い切っていたはず。
    その180度方針転換に説明があっても良いと思うが?
    シレっと出してくるのは筋が違う。
    頭下げたら負けって、外人さん独特の感性か…。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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