ボッシュはこのたび、カメラとレーダーに続く第3のセンサー技術として、長距離LiDARを開発し、生産段階に入った。
これは、車載用途に最適化されたボッシュ初となるLiDAR(Light Detection And Ranging)。自動運転(SAEレベル3~5)に対応した走行には、レーザー光による距離測定技術が必要不可欠である。ボッシュの新しいセンサーは、高速道路でも市街地でも、長距離、近距離の検知が可能。規模の経済性を活かすことで高度な技術の価格を抑え、マスマーケットに対応したいとボッシュは考えている。ロバート・ボッシュGmbH取締役会メンバーのハラルド・クローガー氏は「ボッシュは外界センシング用のセンサーを相互に補完させることで、自動運転の実現性をさらに高めます」と述べている。
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ボッシュの技術を通じて自動運転のあらゆる走行状況を把握
ボッシュの分析によると、ハイウェイアシスト(高速道路上の運転支援機能)から市街地での完全自動運転に至るまで、多岐にわたる自動運転のユースケースを調査した結果、3種類のセンサーを並行して活用することでのみ、安全な自動運転を路上で実現できることが明らかになった。たとえば、交差点において自動運転車両にバイクが高速で接近した場合、バイクを確実に検知するには、カメラとレーダーに加え、LiDARが必要。レーダーではバイクの細いシルエットや樹脂製の外装パーツが捉えにくく、カメラでは光の加減によって物体が検知しづらくなる場合があるためだ。しかし、レーダー、カメラ、そしてLiDARの3つを活用することで、相互に補完し、どのような走行状況でも信頼に足る情報を得ることができる。
自動運転に必要不可欠なLiDAR
LiDARは、センサーがレーザー光を照射し、それが物体に当たって跳ね返るまでに要した時間を計測し、車両との距離を測定する。レーザーベースの測距技術を用いたLiDARは、解像度が非常に高く、検知距離が長く、視野角も広いため、離れた距離にある非金属の物体、たとえば路上の石でも確実に検知できる。そのため、ブレーキや障害物の回避といった運転操作も適切なタイミングで開始できる。
一方で、車載用途のLiDARには、光検出器やレーザーなどの構成部品に、車両の耐用年数を通して特に温度耐性や信頼性に関する高度な要件が求められる。ボッシュは、LiDARの開発において、レーダーおよびカメラなどのセンサーとシステムに関するノウハウを活用し、3つのセンサー技術すべてを最適化することを可能にした。「私たちは、より安全、より快適、そしてより魅力的な自動運転を実現したいと考えています。これにより、私たちは未来のモビリティに大きく貢献できます」とクローガー氏は述べている。また、ボッシュの長距離LiDARは、自動運転に必要な様々な安全要件を満たすだけでなく、自動車メーカーの幅広い車種に効率的に組み込むことが可能だ。
AI(人工知能)によってアシスタンスシステムの安全性をさらに向上
ボッシュは、ドライバー アシスタンス システムや自動運転向けセンサー技術のイノベーションリーダーとして、超音波、レーダーおよびカメラセンサーの開発から製造に至るまでを長年にわたり自社で行っている。2019年におけるボッシュのドライバー アシスタンス システムの売上高は、前年比12%増の約20億ユーロに達した。ドライバー アシスタンス システムは、自動運転を支える基盤でもある。
ボッシュはまた、AI(人工知能)を搭載した車両用カメラ技術について新たな開発段階に進んでいる。この技術は、物体を検知して、車両、歩行者、自転車などに分類し、動きを測定。見通しがあまり良くない市街地においても、一部が隠れていたり、横切ろうとする車両、歩行者、自転車などを迅速かつ確実に検知して分類でき、必要に応じて警告を発したり、緊急ブレーキを作動させることがこのカメラによって可能になる。
また、レーダー技術も向上し続けている。ボッシュの最新世代のレーダーセンサーは、悪天候や照明が乏しい条件下でも、より広くなった検知範囲と視野角、高い角度分解能により、車両の周囲を確実に検知することができる。
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