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不振の前半戦から一転、ヨハン・クリストファーソンが同点大逆転での4冠達成/WorldRX最終戦

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不振の前半戦から一転、ヨハン・クリストファーソンが同点大逆転での4冠達成/WorldRX最終戦

 11月27~28日の週末にドイツ・ニュルブルクリンクで2021年タイトル決定戦を迎えたWorldRX世界ラリークロス選手権第8-9戦は、開幕後の連勝でシリーズを牽引してきたティミー・ハンセン(プジョー208 WRXスーパーカー/ハンセン・ワールドラリークロス・チーム)が、土曜のファイナルでまさかの失格処分に。これで4点差にまで迫った3冠王者ヨハン・クリストファーソン(アウディS1 RXクワトロ/KYB EKS JC)が、続く日曜ダブルヘッダー戦でも3位表彰台に上がって劇的な逆転タイトルを獲得。この日も4位に敗れたティミーと217点のポイント同率で並んだことにより、勝利数により自身4度目のドライバーズチャンピオンを決めている。

 ドイツ上空に流れ込んだ寒気の影響も受け、特設トラック上も雪化粧となった週末は、ダブルヘッダー戦により最大60点のポイント獲得が可能であるほか、今季初開催を迎えた電動ワンメイク・シリーズ、FIA RX2e選手権の初代王者も決する。

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 ここまで一度も選手権リーダーの座を譲ることなく最終戦に臨んだ2019年王者ティミーは、ランキング2番手の宿敵クリストファーソンに対して17点のマージンを持ってニュルに乗り込んできた。

 しかしスノーセッションとなった予選Q1ヒートからアウディS1 RXクワトロが抜群のトラクションを見せつけると、インシデント満載の展開にも助けられクリストファーソンが最速を記録。この時点で3冠王者には選手権ポイント3点が転がり込み、セミファイナル1でもニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20RXスーパーカー/GRX-SET・ワールドラリークロス・チーム)に競り勝ち、ファイナルを前にその差を12点まで詰めることに成功した。

 一方、その6周決戦をフロントロウからスタートしたハンセン兄弟の長男は、FFマシンから急きょ、RXスーパーカーに乗り換えたロシアの新星ユーリ・べレフスキー(アウディS1 RXクワトロ/KYB EKS JC)にも後塵を拝すと、スタート直後のターン1でグロンホルムと接触。2位チェッカーを受けたものの、最終的に失格裁定という厳しい判定により、スタンディング上でも4点差という緊急事態に追い込まれた。

「今日はトラック上の西日でほぼ視界がないコーナーもありドライビングが難しかったが、後続のドライバーは『もっと厳しい条件だ』と言い聞かせて安定した走りを心掛けた。アウディは今日非常に好調で、ユーリ(・べレフスキー)は2人の世界チャンピオンの後ろで初めて表彰台を獲得するという素晴らしい仕事をしたね」と、余裕のコメントを残した今季3勝目獲得のクリストファーソン。

 一方、翌日に向け「オールインだ。僕の全身全霊を掛けて“地獄のドライブ”を見せてやる」と意気込んだハンセンは、日曜予選Q1から果敢なアタックを仕掛けるも「彼の(ハンセンの)地獄の走りよりも、僕の方が少し良かったみたいだ」と語ったクリストファーソンが予選最速をマーク。セミファイナルを前にさらにギャップを詰め、その差を3点としてみせる。

■「新しいチーム、新しいマシンでふたたび王座を獲得できるなんて夢のようだ」とクリストファーソン

 さらにセミファイナル1で順当に勝利し、最終決戦に向けポールポジションを確定させた3冠王者に対し、2019年チャンピオンは重圧からかセミファイナル2でふたたびグロンホルムをハーフスピンに陥れ、この接触で7秒のタイムペナルティを加算。今季最後のファイナルを前に1点差と追い込まれたばかりか、5番グリッドからの勝負を強いられる厳しい状況となった。

 迎えた2021年最終ヒートは、スタートからハンセン兄弟の弟ケビンが飛び出すと、クリストファーソンとティミーの両名がオープニングからジョーカーラップへ。続く2周目にケビンも飛び込み、グロンホルムがトラック上のリードポジションを引き継いでいく。

 ファイナルラップでも首位を守ったグロンホルムに続き、2番手で懸命に兄のアシストを試みたケビンだったが、4番手を走る兄にアウディ攻略の決定打はなく、3位チェッカーのクリストファーソンが217点とし、ティミーとまったく同ポイントで並ぶことに。

 第2戦、第3戦とシーズン2勝のティミーに対し、第5戦、第6戦、そして昨日の第8戦と後半戦だけで3勝をマークしたクリストファーソンが、逆転タイトルに充分な位置関係でフィニッシュし、ドラマのような筋書きでのシリーズ4冠を決めてみせた。

「なんて週末だ! 今はただ、本当に信じられない気持ちで一杯だ。17点差でこの週末に挑み、1年を通じて彼と同一のポイントになるなんてね。トラブルやアクシデント続きで厳しいスタートを切っただけに、新しいチーム、新しいマシンでふたたび王座を獲得できるなんて夢のようだよ」と、喜びを語ったクリストファーソン。

 一方で敗れたティミーも、心底ダメージの大きい敗戦により失望の淵に沈んでもおかしくない状況ながら、勝負を終え「今なら素晴らしい年を正当な誇りを持って振り返ることができる」と語り、ラリークロス史上最高のドライバーのひとりとしての地位をさらに確固たるものにした。

「最後まで自分の持てる力をすべて注ぎ込んだが、週末に課されたペナルティの大きさと数には少し不公平を感じないではない。それにより、仕事を成し遂げる機会が奪われたと感じるからね。正直、判断の結果には同意しかねる」と本心も吐露したティミー。

「でも、ヨハンはドイツで素晴らしい仕事をした。それだけは間違いない。それは彼による素晴らしいスポーツの成果で、できることとすべきことをすべてやって、お互いの獲得ポイントは同点。それが今季のストーリーを真に説明している。まさに“地獄の物語”だが、このスポーツにとっては素晴らしい出来事。来シーズンを楽しみにしている」

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