もくじ
どんなクルマ?
ー 367psのV6エンジンと122psの電動モーター
どんな感じ?
ー 非の打ち所がない乗り心地
ー エコアシスト・システムを搭載
「買い」か?
ー 都市部での走行が多いのなら
スペック
ー メルセデス・ベンツSクラスS560eのスペック
BMW新型3シリーズ登場 ドライバー志向に 価格、邦貨換算496万円~
どんなクルマ?
367psのV6エンジンと122psの電動モーター
新しいメルセデス・ベンツS560eは、環境への配慮を強く意識する、エグゼクティブのためのクルマ。現在のところ、シュトゥットガルトを拠点とする自動車メーカーとしては、もっとも純EVに近いフラッグシップ・サルーンとなる。
2014年に発表されたS500eの後継モデルという位置づけとなり、多くの改良により走行性能を向上させただでなく、EVモードでの走行可能距離も伸ばされている。従来モデルでは333psのV6ガソリンエンジンに、115psの電動モーターが組み合わされていたが、新しいモデルでは367psのV6ガソリンエンジンと122psの電動モーターへと切り替わっている。
その結果、総合出力は476psとなり、最大トルクは71.2kg-mへと強化。動力性能も不足はなく、0-100km/h加速は5.0秒、最高速度は249km/hでリミッター制御される。ただこのSクラスの場合、速く走れることと同じくらい、ゼロエミッションとなるモーターでの走行も重要なポイントとなる。
従来モデルで8.7kWhの容量だったバッテリーは、S560eでは13.5kWhへと拡大され、モーターを駆動する。大容量化に伴って、電流量も22Ahから37Ahへと増えている。結果、EVのようにモーターだけでの走行可能距離は48kmとなり、最高速度は128km/hまで出せるようになった。ちなみにS500eでの走行距離は32kmだったから、50%延びたことになる。
早速、シュトゥットガルトの市街地に繰り出してみよう。
どんな感じ?
非の打ち所がない乗り心地
S560eの走りは感銘を受けるほどにスムーズで快適、洗練されている。例え大都市で酷い交通渋滞にはまったとしても、ストレスフリーといえるほどの体験だと思う。信号が変わって発進する際も、低回転から力強いモーターとは裏腹に、加速感は至ってジェントル。路面の凹凸を検知し、サスペンションがしなやかに動き、低速域での乗り心地は非の打ち所がない。
高級感溢れるクルマがゆえに発してしまう、お金持ち的なうぬぼれ感や振る舞いも、周囲に溢れるディーゼルエンジンを積んだハッチバックより少ない環境負荷のおかげで、幾分和らぐかもしれない。少なくとも、V6ガソリンエンジンが、目を覚ます前までは。
たとえガソリンエンジンが起動し、モーターからエンジンへと駆動力がスイッチする場合も、ほとんど感取できないほどシームレスに行われる。エンジン自体もスムーズで、外界からは切り離されたS560Sの車内は遮音性が高いこともあり、アクセルペダルを踏んでいる間、遠くにハミングが聞こえるだけ。
しかし、走りの素性としては、逞しい性格も持ち合わせているのが面白い。加速時のマナーは期待通り、至ってリニアで滑らかにこなされる。
エコアシスト・システムを搭載
今回の試乗時間の殆どは、シュトゥットガルト近郊の混雑した道で過ごしたのだが、短時間ながらアウトバーンでの走行の機会も許された。
S560eが長距離クルーザーとして素晴らしい仕上がりを得ていることは、間違いなさそうだ。快適性と上質さは、他を圧倒している。風切り音もタイヤの転がり音も、ほとんど車内には届かず、パワートレインも静寂を保ったまま。加えて走行速度が増すにつれて、乗り心地はさらに改善していく。
この快適至極な走りの裏では、極めて優れたテクノロジーが機能している。エコアシスト・システムと呼ばれる、環境への配慮を優先した運転支援技術が、その特徴のひとつ。自車と先行車両との車間距離や制限速度、道路の直線区間の長さや交差点までの距離などを計測し、ブレーキングの必要性を導き出した上で、スロットルを戻すようにドライバーへ促してくれる。また下り坂では、エンジンを停止するコースティング機能も制御する。
そうすることで、回生ブレーキによるバッテリー充電を最適化し、燃費を改善。加えてEVとしてモーターのみでの走行距離も、伸ばすことができる。
帰宅後でも、新しく用意された7.4kWの家庭用水冷式充電器を使用することで、残量10%から100%まで、1.5時間でバッテリーを充電することが可能。ただし、自宅のガレージに専用の工事が必要となる。もし満充電まで5時間待つことができるなら、通常の家庭用コンセントへ差し込める、普通充電器も使用できる。
もちろんメルセデス・ベンツSクラスとして、車内はスキがないほど高級感に溢れ、機能的に仕上げられていることはいうまでもないだろう。
「買い」か?
都市部での走行が多いのなら
S560eは、快適で上質な、ラグジュアリーサルーンとして望まれる完成度という点では、極めて高次元にまとまっている。しかし、このようなハイブリッドモデルの場合は、いつもの繰り返しになってしまうが、ラグジュアリーサルーンであるなしに関わらず、クルマの利用の仕方で満足感は変わってくる。
もし日常的に長距離を走行するドライバーなら、ディーゼルエンジンのほうが、英国では今のところまだ強みがある。ハイブリッドとしてのメリットはさほど受けられないと思う。
しかし、大部分が短距離中心の都市部での走行が多いのなら、今回のSクラスはかなり説得力で勝ってくる。EVとして走行できる距離でのドライブなら、S560eのランニングコストは一気に低くなるだろう。加えて洗煉性を増したパワートレインが、Sクラスをさらに上質なモデルに高めていると、実感できるに違いない。
メルセデス・ベンツSクラスS560eのスペック
■価格 未定
■全長×全幅×全高 5125×1900×1495mm
■最高速度 249km/h
■0-100km/h加速 5.0秒
■燃費 38.4km/ℓ(NEDC複合)
■CO2排出量 59g/km
■乾燥重量 -
■パワートレイン V型6気筒2996ccターボ+電動モーター
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 476ps(エンジン367ps+モーター122ps)
■最大トルク 71.2kg-m
■ギアボックス 9速オートマティック
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