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詳細解説 ゴードン・マーレー「最後のアナログ・スーパーカー」開発 約3.4億円

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詳細解説 ゴードン・マーレー「最後のアナログ・スーパーカー」開発 約3.4億円

もくじ

ー 約3.4億円の軽量ハイパーカー
ー 車両重量は980kg
ー コスワースと共同開発の自然吸気V12
ー シャシーとサスペンション
ー エンジンとトランスミッション
ー エアロダイナミクス
ー コクピット・レイアウト
ー 生産計画

新スーパーカー「T.50」イラスト すべての画像をみる

約3.4億円の軽量ハイパーカー

あのマクラーレンF1を作り上げた伝説的デザイナー、ゴードン・マーレーが全く新しい3人乗りの軽量ハイパーカーを開発していることを明らかにした。

この250万ポンド(約3.4億円)の新型車は2022年に発表される見込みで、マーレーによれば「純粋性と明確な目的、画期的なテクノロジー」を備え、アストン マーティン・ヴァルキリーやメルセデス-AMGワンを含むすべてのライバルを打ち負かす性能になるという。

このクルマは、マーレー自身の製造会社「ゴードン・マーレー・オートモーティブ(GMA)」が年間100台ほど製造する計画だ。

その車体には強力なダウンフォースを発生してコーナリング時のグリップを高める、革新的な「ファンカー」テクノロジーが搭載される。これはマーレーが設計したF1マシン、ブラバムBT46Bに採用され、物議を醸したシステムと似ている。デビュー・レースでいきなり優勝したブラバムBT46Bは、その直後にレースから締め出されることになった。

車両重量は980kg

T.50と呼ばれるマーレーの新型ハイパーカーは、英国人デザイナーの自動車業界における半世紀におよぶキャリアの集大成とも言えるだろう。

オールカーボンファイバー製ボディのミドシップにエンジンを搭載し、後輪のみを駆動するレイアウトを採用。全長は4.4m以下と、1993年に登場したマーレー自身のマクラーレンF1よりわずかに長いが、それでも現行型ポルシェ911より小さなサイズに留まる。

また、T.50は非常に軽量で、車両重量は980kgに抑えられる。BMW製V12を搭載するかつてのフェザー級スーパーカー、マクラーレンF1よりさらに120kgも下回り、現代のスーパーカーと比べると400から600kgも軽い。

コスワースと共同開発の自然吸気V12

そのパワーユニットは、GMAがコスワースと共同開発した軽量コンパクトな自然吸気V12気筒で、3.9ℓの排気量から650psを発生する。

トランスミッションはXトラック社が製造する古典的な6速マニュアルのスティックシフトだ。

T.50には48ボルトの電装システムが搭載されるが、これは直径400mmのファンを回転させるためのもので、ハイブリッド技術は採用されない。複雑で重くなることをマーレーが嫌うからである。

T.50は軽量設計によって燃費も優れたものになるとマーレーは言及している。

T.50のパワー・ウエイト・レシオは、1995年のル・マン24時間レースで優勝した軽量レース仕様のマクラーレンF1 GTRや、ハイブリッド・システムを搭載するマクラーレンP1、フェラーリ・ラ フェラーリと同等になる見込みだ。

しかし、マーレーは特定のパフォーマンスの数値やサーキットのラップタイムを追求するつもりはないという。なぜなら、それらの数字を追いかけるあまり、クルマに妥協を強いることになるとマーレーは考えるからだ。

「マクラーレンF1は結果的に速いクルマになりました」と彼は言う。「T.50はさらに速くなるでしょう」

シャシーとサスペンション

マクラーレンF1と同様、T.50はオール・カーボンファイバー製のタブ型シャシーと、カーボン・パネル製のボディを持つ。すべて現代の衝突安全基準に適合し、ドライバーのために1個のエアバッグを装備する。3座レイアウトによって本質的にキャブフォワード、つまりキャビンが前方に位置する設計となる。

サスペンションを吊すためのサブフレームは必要としない。リア・サスペンションはアルミニウム製ギアボックス・ハウジングに直接結合され、フロント・サスペンションの支持点はレースカーのようにカーボンファイバー製シャシー構造体の内部に設けられる。

マーレーは、カーボンファイバーをサスペンション・コンポーネントやホイールには使わないことに決めた。ロードカーに求められる耐久性が見込めないと判断したからだ。

すべてのサスペンション・パーツはアルミニウム製だが、リアのロワー・ウィッシュボーンのみ鉄製となる。ブレーキはカーボン・セラミック・ディスクでABSも装備。トラクション・コントロールも搭載されているが、マーレーが望むのは最大限にドライバーがコントロールすることだ。そのため、シャシー・スタビリティ・コントロールは搭載されない。

サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーンで、コイルオーバー・ユニットは車体内部にマウントされたインボード式。高速走行時に増大する空気の圧力に負けず車高を維持できるように設計されたリンケージで結合される。停車時や低速走行時には十分な最低地上高を確保できる。

ホイールとタイヤのサイズは、前19インチ+235、後20インチ+295と、スーパーカーとしては控えめ。「このサイズを選択した理由は、これで必要十分だからです」とマーレーは語っている。「こも好循環の1つですね。車重を軽くすれば、負荷も軽くなり、ボディを侵食するタイヤやホイールも小さくできる」

エンジンとトランスミッション

T.50の3.9ℓエンジンは、V12としては極めて小さくて軽い。マーレーの説明によると、それは非常に高回転型でもあり、レッドゾーンは1万2100rpm、許容回転数は1万2400rpmになるという。

そのパワーは、1993年のマクラーレンF1が搭載していた6.1ℓV12エンジンをわずかに凌ぐ。内部構造に関する詳細は今のところまだ秘密にされているが、マーレーは「すべてがチタン製」と言っていた。

エンジンのフレキシビリティとトルク(47.2kg-m)については「まったく問題ない」とのこと。このエンジンには可変バルブタイミング機構が搭載されており、ドライバーはエンジンのマッピングを高回転と低回転で切り替えることができる。そのため、渋滞時でもサーキットでも対応できるのだ。また、マーレーは「車重980kgなら、もっと重いクルマほどトルクは必要としない」と付け加えた。

Xトラック製の6速マニュアル・ギアボックスは、T.50の中でおそらく唯一、先進的とは言えない部分だ。これを選択した理由は、「秘密の名簿」に掲載されている潜在顧客からのリクエストで、彼らがスティックシフトによる「運転への関与」を好むからだという。これはマーレー自身の好みとも適合する。

エアロダイナミクス

T.50で最も目を引く特徴は、直径400mmの電動ファンだ。これは車体下面にダウンフォースを発生させ、安定性とコーナリング性能を高める。文字通り、クルマを路面に吸い付かせるのだ。

マーレーはこの機能について「アクティブでインタラクティブ」と表現している。つまり、走行状況に応じて自動的に機能するとともに、ドライバーがコントロールすることもできる。濡れた路面では最大のダウンフォースを作り出し、超高速巡行時には空気抵抗を最少化する。そしてその間で無段階に可変する。直線では空気抵抗を減らし、コーナーではダウンフォースを高めることもできる。

もう1つの重要な特長として、マーレーはこのクルマが可能な限りシンプルにデザインされた純粋性を維持していることを挙げている。「醜いウイング、ダクト、ベント、バルジ」で覆われた既存のスーパーカーとは異なるということだ。

コクピット・レイアウト

運転席を中央に配置し、その両側に同乗者用の座席を備えるというマーレーの嗜好は、T.50でも存分に表現されている。「最後の偉大なアナログ・スーパーカー」として、そのコクピットは伝統的なアナログの計器類とスイッチが強調され、中央には大型のタコメーターが備わる。

驚くほど広いキャビンには、2枚のディヘドラル・ドアを開けて乗降する。車内スペースを有効に使うため、シートのクッションは比較的薄いが、形状は完璧に設計されるという。

マクラーレンF1と同様、ファーストクラス並みの視界と換気を提供するために、十分すぎるほどの注意が払われている。マーレーは現在、このクルマのために特別に軽量なオーディオ・システムを作ってくれるメーカーを選定しているところだ。

生産計画

マーレーによれば、T.50のデザインはほぼ完成し、今や大部分は固まっているという。彼はまた、とあるF1チームの風洞実験設備を借りて空力のテストを行う契約もまとめたとのこと。最初の実験車両が作られ、開発も始まっている。コスワースも初期段階のエンジン・ハードウェアに取り掛かっている。

すべてがスケジュール通りに運んでいる、とマーレーは言う。計画では、2022年に100台の生産を開始し、そして完了させる予定だという。

「1990年代を振り返ると、わたしはF1をスーパーGTカーのようなものとしてデザインしました」と彼は語った。「それは完全に公道走行に焦点を合わせたクルマであり、レースをする計画はありませんでした。だから新たなスタンダードとなるパッケージングと最低地上高を設定したのです」

「T.50もまったく同じように公道に焦点を合わせ、しかしどんな場所でもF1より優れたクルマになります。こんなクルマはもう2度と誰も作れないでしょう。間違いなく、わたしもです」

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