定期的なメンテナンスと忍耐力が必要
text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)
英国でTVRエキスパートとして尊敬を集めるディーラーの人によれば、TVRのドライバーは脳外科医のような心構えが必要だという。適切な知識を持ち、昼夜を問わずクルマに必要な手術を受け入れなければならない。
タスカンもそんな1台。太陽が輝いている晴天時に楽しむための、趣味のためのクルマ。出先で故障してしまったら、何とか自ら対処することになる。
中古車ガイドとして、オススメしにくい冒頭で始まってしまったが、知らないよりは良い。すべてのTVRと同様に、タスカンもオーナーによる定期的なメンテナンスと、日頃の注意が不可欠。忍耐力も必要なのだ。
リムーバブル・ハードトップを備え、大きな荷室が用意された2シーターのタスカン。TVRは当初、最も扱いやすいTVR製モデルだと話していた。こんなに手を焼くクルマだとは、考えていなかっただろう。
スペックシート上は悪くない。しかし自動車の開発・耐久テストは、従来どおりオーナーになったドライバーに任されていた、とはいい過ぎだろうか。おかげで、オリジナルコンディションのTVRを見つけることが難しい。
望まなくても、多くのアップグレードが施されている場合が多い。エンジンやトランスミッションはリビルトされ、ブレーキやサスペンションもアップグレードされているクルマがほとんど。ボディも再塗装されている可能性が高い。
必ずしも悪いとも限らない。むしろありがたく考えよう。クルマに施された手術内容の一覧や請求書を確認し、いつ何が行われたのかを理解しておきたい。前オーナーが変更したとも限らない。
調子が良いタスカンは喜びに溢れている
タスカンを所有することは、歴代のオーナーにとっては1つの野望だったはず。その所有期間に、様々な体験をしたとしても。
TVRタスカンが発表されたのは1999年。エンジニアのアル・メリングによって設計された直列6気筒エンジンを搭載する。スピードシックスと呼ばれていた。排気量は3.6Lで、最高出力355ps。トルクフルな4.0L版は365psを発生させた。
レッド・ローズと呼ばれる385psの4.0L版も存在する。近年プレミアムが付いているのは、395psを発生させる4.0Sとなる。
グラスファイバー製のボディは、アウトリガーが付いたスチール製のチューブラー・シャシーにマウントされている。見る角度で色味が変化する、高品質な塗装が特徴といえる。
ボンネットは2ピース構造。初期型は、フェンダーに3連のヘッドライトが縦に並ぶ。2003年まではタルガスタイルのみ。大きな荷室は、ルーフとリアウインドウを収納するのにも機能的だった。
Mk2が登場するのは2004年。わかりやすい違いは、ヘッドライトが2灯になったこと。コンバーチブルも選べるようになり、4.0Sは最高出力が405psへ向上している。
Mk2が登場する前後、TVRはロシアの実業家、ニコライ・スモレンスキーに買収された。新オーナーとなったことで、TVRの品質は向上している。Mk3では、ダッシュボードのデザインが一新。ウェービー(波型)ダッシュと呼ばれている。
間違いなく調子が良いタスカンは、喜びに溢れている。もしTVRが新モデルで復活を果たしたのなら、タスカンの価値も再評価されるだろう。その前に1台、手に入れておくのも悪くない。
不具合を起こしやすいポイント
エンジン
エンジンオイルやクーラントが漏れていたり、ミスファイアを生じたり、メカニカルノイズが大きいクルマは避けたい。修理は数千ポンド(数十万円)ほど必要になる。
ボンネット内の温度が高いままだと、エンジン付近のゴムホースや電装系、付属品の傷みが早くなる。エンジンオイルとフィルターの交換に加えて、年に1度はすべての点検を行いたい。
メンテナンスを受けるなら、専門店がベター。1万9000km毎にタペット調整が必要となる。費用は650ポンド(8万7000円)程度。
トランスミッション
調子の良いトランスミッションは、操作は重たいが正確に変速できる。クラッチは大切に走っても5万6000kmくらいで交換が必要。
シャシー
腐食していないかを確認する。特に左右に張り出したアウトリガーは錆びやすい。エンジンの熱で、保護コーティングが剥がれやすい。
サスペンションとブレーキ、ステアリング
サスペンションは、オーナーによってアップグレードされていることが多い。社外品の品質を確認する。オリジナルのサスペンションは引き締まってはいたが、過度には硬すぎなかった。タスカンの繊細なシャシーバランスを乱す可能性がある。
ブレーキは強力に効くが、漸進的に制動力が増していくのが正常。ブレーキラインも、変更されているケースがほとんど。
ボディ
開口部のチリは全体的に整っている。フロントスプリッターが割れていないか確認する。クーペの場合は、取り外し可能なプレキシガラスに傷がないかチェックしたい。オリジナルの固定金具は役に立たないことが多く、対策品に変えてあるのが理想的。
インテリア
レブリミッターとシフトライト、メインLCDディスプレイの状態を確かめる。パワーウインドウとドロックは、湿気が原因で不具合を起こしやすい。ルーフシールは新車時から甘い。ヒーターコントロールは、TVR独特のもの。
専門家の意見を聞いてみる
ジェームス・アッゲル ジェームス・アッゲル・オートスポーツ社代表
「これまで、タスカンを購入するなら後期モデルの方が良いとアドバイスしてきました。ですが最近は年式や色、排気量ではなく、良くメンテナンスを受け、弱い部分が対応済みかどうかを優先した方が良いと考えています」
「すべての部品は今でも入手が可能で、修理できないところはありません。タスカンSとタスカン・コンバーチブルは、今でも人気モデルです」
「英国では2万5000ポンド(337万円)くらいからタスカンが見つかります。3万ポンド(405万円)前後が相場でしょう。状態を優先するなら、3万8000ポンド(513万円)から5万2000ポンド(702万円)くらいは必要です」
知っておくべきこと
エンジンの傷みがひどい場合は、専門店でのリビルトも不可能ではない。英国では5500ポンド(74万円)前後で可能。中には3年間の保証が付く場合も。安くはないが、後々のクルマの価値にも反映してくる。
いくら払うべき?
1万5000ポンド(202万円)~1万9999ポンド(269万円)
状態の良いクルマは少ない。
2万ポンド(270万円)~2万4999ポンド(337万円)
悪くない状態の素のタスカンが出てくる。12万8000kmの走行距離で、2001年式4.0Lを3.6Lに変更したクルマを見つけた。
2万5000ポンド(338万円)~2万9999ポンド(404万円)
選択肢が増えてくる。多くが2001年から2003年式。走行距離は8万km前後。
3万ポンド(405万円)~3万4999ポンド(471万円)
優良なタスカンが選べる。走行距離が4万5000kmほどの2003年式で、TVRでの整備記録が揃ったクルマが、3万2995ポンド(445万円)。
3万50000ポンド(472万円)~4万4999ポンド(606万円)
低走行距離のタスカンMk2が中心。
4万50000ポンド(607万円)~5万5000ポンド(742万円)
2006年から2007年式の車両が中心。走行距離も5万km以下となってくる。
英国で掘り出し物を発見
TVRタスカン4.0 登録:2001年 走行:6万7500km 価格:2万6995ポンド(364万円)
英国では有名なTVRディーラーが販売している車両。新車時から面倒を見てきたクルマだそうで、価格も妥当。もしTVRを初めて購入するのなら、地元の専門ショップから購入するのが最善だ。
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みんなのコメント
狂った英国紳士(笑)