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タイヤバーストのレッドブルとアストンマーチンは、想定以下の内圧だったとピレリ指摘「でも規則違反はしていない」

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タイヤバーストのレッドブルとアストンマーチンは、想定以下の内圧だったとピレリ指摘「でも規則違反はしていない」

 F1アゼルバイジャンGPの決勝レースで、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンとアストンマーチンのランス・ストロールが相次いで突然のタイヤバーストに見舞われた。ピレリはこの原因について、先日声明で発表した内容よりも細かい状況を明かした。

 アゼルバイジャンでのグランプリの後、ピレリはトラブルが発生したタイヤを調査し、その後声明で「タイヤの走行状態に関係するインナーサイドウォールの円周方向の破損によるものだった」と発表している。

■F1のタイヤ内圧監視強化……各チームは、これまでどんな”トリック”を使っていた可能性があるのか??

 ピレリのF1及びカーレース部門責任者のマリオ・イゾラはフランスGPの木曜日にメディアの取材に応じ、レッドブルとアストンマーチンのマシンが、予想されていたよりも低い内圧のタイヤで走っていたと指摘した。

 ただピレリ曰く、レッドブルとアストンマーチンは、走行開始時の最低内圧やタイヤウォーマーの温度などについては、レギュレーションに従っていたという。しかしながら走行を始めた後のタイヤが、ピレリの予想した状態とは異なっていたようだ。

 ピレリは通常、マシンがコースインして走行を開始すると、タイヤの内圧が上昇するという予想に基づき、走行開始時のタイヤ内圧を設定している。しかしアゼルバイジャンGPでのレッドブルとアストンマーチンのタイヤは、ピレリが予想したようにタイヤの内圧が上昇しなかった。その結果、タイヤには”スタンディングウェーブ”という症状が起き、これがリヤタイヤのショルダー(トレッドとサイドウォールの接続部。つまりタイヤの角)部分に余計な力がかかり、最終的に破壊に繋がってしまったのだ。

 スタンディングウェーブとは、タイヤのトレッドが接地状態からタイヤの外周部の曲面に戻る時に生じる現象。設置面は平らだが、タイヤの外周は曲面……つまり平らから曲面に変形しているというわけだ。内圧が低ければ、接地面が広がりグリップ力が増すが、その分曲面に戻る際の変形が大きくなる。サイドウォールもこれに応じて変形しているため、トレッド面とサイドウォールの接続部、つまり前述のショルダー部分に力が加わる。そしてこれが予想以上に大きいと、タイヤの破壊に繋がってしまうというわけだ。

「バクーで起きたことは、予想していた走行条件と、実際の走行条件が異なっていたということだ。そしてそれがトラブルを引き起こした」

 イゾラはそう語る。

「予想よりも低い内圧で、タイヤにより大きなエネルギーが加わってしまうと、その結果我々がスタンディングウェーブと呼ぶモノの影響がサイドウォールに加わる」

「スタンディングウェーブは、タイヤの内側のショルダー部分に、大きなエネルギーをかける。そしてある時点でタイヤが壊れてしまうのだ。それが今回起きたこと、そしてバクーでこのような状況が起きた理由だ」

 ただイゾラは、今回の問題は2チームのタイヤの内圧が予想を下回っていたことだけに起因するモノではないとも語った。もうひとつの要因は、チームが提供したデータに基づくピレリの予想が、実際にコース上を走った時の状況と一致しなかった……という側面もあるという。

「(最低内圧の)推奨値を準備する際、シミュレーションの結果を受け取り、そしてマージンを考慮する」

 そうイゾラは語る。

「負荷、ダウンフォース、そして速度のシミュレーションによる予想は、実際に走行した時のモノと全く同じ値ではない。そして今回のバクーの場合は、サーキット上でのデータとは正確には一致しない、いくつかのパラメータも見つかった」

「我々は、各チームが特定の内圧と、特定のキャンバー角で走行していると想定している。もちろん余裕を持たせ、タイヤに問題のない状態で走行している」

「今回の場合、彼らがいつものようにパフォーマンスを追求する過程で、我々の予想したモノとは異なるシナリオを生み出し、予想した条件を外れることになった。決してチームがレギュレーションに反して何かをしていたわけではない。その上で、タイヤの内圧が予想よりも低い状態で走行していたのだ」

 イゾラは、チームがレギュレーションに違反したわけではないと改めて語ると共に、標準内圧センサーを搭載しなければならない来季以降は、その状況が変わることになるだろうと示唆した。

「遵守しなければならない走行時の内圧が存在するというレギュレーションがないので、彼らがより多くのパフォーマンスを手にするために、レギュレーションに違反したとは言えない」

 そうイゾラは語る。

「彼らが走行を開始する時の内圧を尊重しているのなら、彼らはレギュレーションを守っているわけだ。ただ来年、標準内圧センサーが搭載され走行時の内圧を計測した時に同じことが起きれば、その場合はレギュレーション違反ということになる。今年に関しては違反ではない」

 チームが内圧を少しでも低くし、パフォーマンスを追求することは決して驚きではないとイゾラは語る。

「各チームはパフォーマンスを求めている」

「彼らはここに、レースをするために来ている。ただコースをクルージングするためにここに来ているわけではないのだ。つまり少し低い内圧で走行すれば、ある程度パフォーマンスを手にできることは分かっているのだからね」

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みんなのコメント

1件
  • つまり、設計時におけるシミュレーションでピレリがミスを犯した。
    それが原因でバーストした。
    チームはレギュレーションを犯していない。

    それならば、何故、素直に「ごめんなさい」と言えないのだろう?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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