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ラ・フェラーリのシャシーx812のV12 フェラーリ・デイトナ SP3へ試乗 五感で堪能する跳ね馬 後編

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ラ・フェラーリのシャシーx812のV12 フェラーリ・デイトナ SP3へ試乗 五感で堪能する跳ね馬 後編

21世紀前半におけるマラネロのベスト盤

フェラーリ・デイトナ SP3を少し詳しく見ていこう。21世紀前半における、マラネロのベスト盤と呼べる内容になっている。シャシーはラ・フェラーリのために開発された、カーボンファイバー製のモノコック。これだけでも傑作だ。

【画像】599台の限定 フェラーリSP3 デイトナ 812 コンペとラ・フェラーリ、296 GTBも 全112枚

エンジンは812 コンペティツィオーネ用の6.5L自然吸気V型12気筒。それらを、言葉を失うほど美しいスタイリングのボディワークが包んでいる。

筆者もカメラマンも、デイトナ SP3に接近するほど圧倒されてしまった。ビートルズのコンサートを生で見た観衆のように。きっと市街地を走ったら、大勢の人が追いかけてくるに違いない。

斜め上方に開くドアは、内側に大きく弧を描いている。乗り降りはしにくい。実際、頭をぶつけてしまった。

シートに座ると、インテリアの造形に過剰なところはなく、むしろ控えめ。大胆ではあるが、シンプルでもある。鏡面仕上げのパネルで覆われていたり、未来的な処理が点在している、ということはない。

170万ポンド(約2億8390万円)のクルマの内装としては、充分ではないかもしれない。だが、極上の体験を得られる場所ではある。

フェラーリでは過去最強となるV型12気筒エンジンが、キャビンのすぐ後ろでガソリンを爆発させる。最高出力は812 コンペティツィオーネより10ps高い、840psが主張されている。

ラ・フェラーリの方がハイパワーだったが、あれはハイブリッドのアシストが加わった場合。F1用のV12ユニットでも、大排気量のデイトナ SP3の馬力には届かない。

ゆったりとした速度で壮大な幸福を感じる

2席のシートは、ラ・フェラーリと同様にキャビンと一体。レバーを引くと、ペダルの位置を前後に調整できる。ほかのフェラーリも、この仕様で良いように感じてしまう。

丁度いいドライビングポジションに落ち着き、ゆったりとしたスピードで走らせると、壮大な幸福を感じる。他の台数限定の超高級エキゾチックとは異なり、可能な限り高速で走らせている時に、満ち足りた気持ちになるクルマではない。

乗り心地は許容範囲。洗練されているといっても構わないが、極太のピレリ・タイヤが小石を跳ね上げる度に、ホイールアーチからバラバラと音が聞こえてくる。

ボディはかなりワイドで、全幅は2050mm。サルト・サーキットから公道へ出ようかという最中、飛び出してきたジャガーCタイプと接触しそうになった。相手が気付いて、クルマにも縁石にもタッチせずに済んだが。

閑散としたフランス・ル・マン郊外の一般道を流す。公道では確かめようがないほど恐ろしく速いものの、マクラーレン720Sが積むV8ツインターボほど、爆発的なパワフルさはない。

7250rpmで最大トルクを発揮する自然吸気ユニットは、しっかり回すことで真価が発揮される。6000rpmからリミッターが掛かる9500rpmまで、崇高な内燃エンジンの体験が待っている。

V型12気筒の咆哮は、徐々に怒り狂ったハードエッジな音質へ変化していく。過去のフェラーリが仕上げたサウンドの方が、聴き応えはあるかもしれない。それでも、デイトナ SP3のものも引けを取らない。

五感で美しさを堪能するフェラーリ

ステアリングは軽すぎる。ダイレクト感もひと世代昔の印象を受けるが、シャシーは素晴らしい。ドライなら、使い切ることが不可能なほどのグリップ力を秘めている。

雨が降ると、気難しいところなくテールが滑る。ここまで全幅が広くなかったら、筆者も積極的に試そうと考えただろう。小さなマネッティーノ・ダイヤルを、回し切る勇気もあれば。

道幅があり交通量の少ない区間でも、デイトナ SP3のボディが小さく感じられることはなかった。価値を理解しているからかもしれない。だが、多様な道路利用者の存在を考えると、冷静なまま試乗を終えることが賢明に思えた。

サーキットを本気で攻め立てれば、2014年にラ・フェラーリでフィオラノを周回したときのように、特別なドライビング体験を味わうことができるはず。しかし、今回はシャシーやエンジンの能力を解き放つチャンスはなかった。

とはいえ、公道で穏やかに運転できた時間は、前例がないほど素晴らしいものだった。296 GTBの方が遥かに乗りやすく、価格も現実的で、同等に速い。しかし、デイトナ SP3が与える感覚的な喜びには迫れない。

五感で堪能するフェラーリだ。目で見て、耳で聞いて、全身で感じ取るためのスーパーカーであり、デイトナという名前を冠するのに相応しい。

往年の330 P4のような、純粋なレーシングカーではない。見惚れるほど美しく、公道を走れる台数限定の特別なフェラーリ。オーナーになれる599名の億万長者にとって、これ以上ない跳ね馬だといえるだろう。

フェラーリSP3 デイトナ(欧州仕様)のスペック

英国価格:170万ポンド(約2億8390万円)
全長:4686mm
全幅:2050mm
全高:1142mm
最高速度:339km/h
0-100km/h加速:2.9秒
燃費:6.2km/L
CO2排出量:368g/km
乾燥重量:1485kg
パワートレイン:V型12気筒6496cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:840ps/9250rpm
最大トルク:70.9kg-m/7250rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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みんなのコメント

3件
  • こんな大きいNAエンジンでリッター130psとかすごいですね
  • ヲ・フェラーリですね!
    やっぱりディープの方かな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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