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リンク&コー陣営エルラシェールがポールから2勝目、ビョークも待望の初制覇/TCRワールドツアー第4戦

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リンク&コー陣営エルラシェールがポールから2勝目、ビョークも待望の初制覇/TCRワールドツアー第4戦

 TCRヨーロッパ・シリーズとの併催イベントに回帰し、ともに第4戦を迎えた新生TCRワールドツアーが6月17~18日のハンガロリンクで開催された。しかしレースウイークではふたたびマルチクラッシュからのセーフティカー(SC)導入、ペナルティ裁定への不満が渦巻き、ドライバー間での遺恨を残す後味の悪いアクシデントが発生することに。

 そんな週末のオープニングでは、戦前時点でランキング2位につけていたヤン・エルラシェール(リンク&コー・シアン・レーシング/リンク&コー03 TCR)がポール・トゥ・ウインを飾り、続くレース2でもリバースグリッドの好機を活かしたテッド・ビョーク(リンク&コー・シアン・レーシング/リンク&コー03 TCR)が、約3年ぶりに世界戦のポディウム頂点に帰還するなど、最終的にリンク&コー・シアン・レーシング陣営が両ヒートを制圧する展開となった。

接触多発、不満爆発。混沌の週末はミケリスとハフの王座経験者が制す/TCRワールドツアー第3戦

 一方、セッション同時開催となったTCRヨーロッパでは、両ヒートともに期待の新鋭コービー・パウエルと、選手権首位トム・コロネル(コムトゥユー・レーシング/アウディRS3 LMS 2)の師弟コンビがワン・ツーを決め、前戦よりシリーズに加わったケビン・チェコン(アグレッシブ・チーム・イタリア/ヒョンデ・エラントラN TCR)が、最後の“ダブル表彰台”を獲得している。

 招待制となった“TCRイタリアン・フェスティバル”と併催された前週の第3戦を経て、ハンガリーに移動して2週連続開催となったTCR世界戦は、金曜初日から時間帯によってドライとウエットが入り乱れ、午後のFP2は降雨でディレイされるなど難しいコンディションのなか始まった。

 さらにこの日の終盤には、レースダイレクターの判断によりターン6~7のシケイン内側に、トラックリミット判定用のタイヤバリアが新たに設置されるなど、週末の混沌を予感させる動きもあった。

 明けた土曜は一転、快晴により日照時間が確保されたトラックは路面温度が急上昇。各陣営ともセットアップのバランスとタイヤのマネジメントに苦心するなか、コンペンセイションウエイト非搭載組のエルラシェールが躍動する。

 予選では0.143秒の差で最速タイムを記録すると、レース1のオープニングラップで2.249秒のリードを構築。そのままネストール・ジロラミ(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)やミケル・アズコナ(BRCヒョンデN スクアドラ・コルセ/ヒョンデ・エラントラN TCR)らに対し約2秒のマージンを保ち続け、ワールドツアー2勝目を手にした。

「快適そうに見えたかもしれないが、セーフティカーが出動した場合に備えてタイヤを使いすぎないよう周回ごとに注意しながら、管理するのが難しかった」と明かした勝者エルラシェール。

「それでもフロントのリズムが非常に速かったから、ハンドリングは良好だった。重要なのはスタートで、ベブ(ジロラミの愛称)は非常に素早いスタートを切ることが分かっていたんだ。そこでドアを閉めたらブレーキングが遅れ、少しエイペックスを逃した。でもツーリングカーではよくあることさ。リードを奪えば、逃げ切って良いポイントを獲得できることはわかっていたよ」

■レース2でのアクシデントに「必ず報復する」とボルコヴィッチ
 続いて日曜現地12時過ぎに開始された予選トップ10リバース採用のレース2は、ポールシッターのドゥサン・ボルコヴィッチ(ターゲット・コンペティション/ヒョンデ・エラントラN TCR)がスタートの蹴り出しで遅れると、フロントロウに並んでいたビョークが先行する展開に。

 さらにターン1のアウト側から、3番手発進のフレデリック・バービッシュ(コムトゥユー・レーシング/アウディRS3 LMS 2)がボルコヴィッチのヒョンデをかわし2番手に浮上。すると背後のコーナー立ち上がりでサンティアゴ・ウルティア(リンク&コー・シアン・レーシング/リンク&コー03 TCR)がボルコヴィッチのリヤを複数回ヒットし、ヒョンデは堪えきれずスピンモードに陥る。

 この混乱のあおりを受けたのが選手権首位を行く“地元の英雄”ノルベルト・ミケリス(BRCヒョンデN スクアドラ・コルセ/ヒョンデ・エラントラN TCR)で、わずかな接触によりコース中央でスピンを喫すると、これにヴィクトル・ダヴィドフスキー(コムトゥユー・レーシング/アウディRS3 LMS 2)とレヴェンテ・ロソンツィ(アグレッシブ・チーム・イタリア/ヒョンデ・エラントラN TCR)が衝突してしまう。

 足周りを破損したミケリスと、フロントを壊したロソンツィは自力でピットへ戻ったものの、イン側のウォールにヒットしたダヴィドフスキーのアウディはコース上で大破し、ここで車両回収と清掃のためSCが出動する。

 静まり返った“ミケリス大応援団”が陣取るスタンドを前に、リスタート後の6周目には「毎レース、インシデントの判定が変わるんだから驚いたよ」と、前戦でスチュワードへの疑義を呈していたウルティアにペナルティが言い渡され、ドライブスルーに加えてレース後さらに40秒加算の重い裁定が降ることに。

 一方、軽微なダメージに留まり最後尾からレースを再開したリバースポールシッターのボルコヴィッチは「本当に公平だった自分のレースを台無しにしたヤツらに、いつか必ず報復する」と不穏な発言を残し、12位まで挽回してレースを終えた。

 これで再開後のレースを有利に運んだビョークは、混乱に乗じて12番手スタートから浮上してきたロブ・ハフ(コムトゥユー・レーシング/アウディRS3 LMS 2)や、後半にアズコナ、ジロラミ、エルラシェールらとの接触上等バトルを制したバービッシュらも抑え、WTCR世界ツーリングカー・カップ時代の2020年に、モーターランド・アラゴンで優勝して以来のトップチェッカーを受けた。

「他の誰もが勝利を狙っている状況で、この世界戦で勝利するのは格別だ! とても素敵で信じられないほどだし、これこそ僕らが戦っている理由だ」と、後続の混乱を尻目にひさびさ勝利の喜びを語ったビョーク。

「後ろでは大変なレースだったようだし、いろいろなことが起きたようだけど、良いスタートと良いペースで走れたので本当にうれしい。チームが良い成績を収めているのは分かっているが、自分がその番になると格別の気分だね」

 これでランキング首位が入れ替わり、新たにトップ浮上を果たしたエルラシェールが、ミケリスに対し16点差でリード。アズコナ、ハフが追う展開へと変わった。同時に開幕4戦のヨーロッパ・パートを終えたTCRワールドツアーは、海を越えて南米大陸へ。8月18~20日のウルグアイ、エル・ピナールから翌週のアルゼンチン2連戦で、TCRサウスアメリカ・シリーズとの併載戦が争われる。

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