現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > “小さな高級車”の進化──新型メルセデス・ベンツCクラス試乗記

ここから本文です

“小さな高級車”の進化──新型メルセデス・ベンツCクラス試乗記

掲載 更新 13
“小さな高級車”の進化──新型メルセデス・ベンツCクラス試乗記

メルセデス・ベンツの新型Cクラスに試乗した今尾直樹が感じたこと・思ったこととは?

時の流れは速い!

新型ホンダ・ダックス125登場!──“ダックスホンダ”の再来だ!

メルセデス・ベンツ日本が2021年6月に発表した新型Cクラスの、いちばん売れ筋のモデルがこちらのC200アヴァンギャルドである。試乗したのが師走半ばで、小雨が降っていて、道路はけっこう混んでいた。今回はごくフツーに都内と首都高速を少々走ってみての、ショート・インプレッションであることをお断りしておきたい。

でもって、走りはじめてすぐ、筆者はあることを感じました。それはなんでしょう? と、最近のテレビの構成でよくあるのをマネしてみました。

チッチッチッチッチッ……。

新型Cクラスの特徴は、先代よりホイールベースが25mmのびて、ボディがちょっぴり大きくなったこと。C200は1.5リッターの4気筒DOHCターボにISG(Integrated Starter Generator)を組み合わせたマイルド・ハイブリッド(MHEV)になったこと。そして、オプションでリア・アクスル・ステアリングが装着できるようになり、試乗車にはそれがついていた、ということである。さらに試乗車はオプション装着のAMGラインで、ホイール&タイヤが18インチ仕様だったことも輪をかけている。

チッチッチッチッチッ。さあ、お答えください。筆者が感じたあることとは?

ビビーッ。正解は、時間の流れが速い……と、思ったのです。たとえば、Cクラスの元祖の190とかと較べたら、もうぜんぜん。それはそうである。190(W201)は1982年デビューである。ということは今年40周年。40年も前のクルマと較べたら、時間の流れが速く感じるのも当たり前。つーか、筆者自身がトシをとった、ということもあるかもしれないですね、いま気づいたけど。

で、190とどこが違うのだろう? と、もうちょっと考えたら、このクルマ、反応がめちゃんこ速いのだ。たぶん先代Cクラスよりもさらに。それも、デジタルに、スマホとかPCのように、ステアリングもアクセルもスッと反応する。それでいて、不安感は微塵もない。そこがメルセデスのメルセデスたるゆえん、ということになるけれど、筆者の解釈によれば、ISGとリア・アクスル・ステアリングによって、21世紀の、それもアスリートっぽい反応速度がつくられているのである、少なくとも今回の試乗車、新型C200アヴァンギャルドのAMGラインは。

ひらたくいうと、これはスポーティということだけれど、まずはISGである。先代CクラスがBSG(Belt driven Starter Generator)というベルト駆動のスターター兼ジェネレーターのだったのに対し、新型のISGはエンジンと9速ATの間にはさみ込まれている。12VのBSGより48Vのこちらは、よりもパワフルで、しかも横っちょからベルト駆動で助太刀するのではなくて、プロペラシャフトと同軸上にあるから、より効率的で、より瞬時にブーストが効く。

エネルギー回生で蓄電し、内燃機関が苦手とする高負荷時にはパワーをアシストすることで燃費低減に寄与するだけでなく、エンジン再始動際の振動と、変速ショックの低減にも効果があるとされる。ドライバーの感覚としても、9枚もギアが刻まれているということもあるにせよ、ATの変速ショックは皆無だし、街中の渋滞でアイドリング・ストップと再始動を繰り返しても、まったく気にならない。

1.5リッターの4気筒直噴エンジンは、NANOSLIDE(ナノスライド)というF1エンジン由来のコーティングをシリンダーに施し、ツイン・スクロール・ターボを採用したりして、最高出力204psと最大トルク300Nmを発揮する。エンジン単体としても高性能で、それプラス、15kW、およそ20psと200Nmのパワー&トルクのISGが必要に応じてブースターとして働いている。

なので、1.5リッター・ターボのガソリン・エンジンだったらトルクが薄く感じるかもしれない低速からの加速とかの場面でも穴がない。それでいて、アクセルを全開にすると、グオオオオオオッという、スポーティといってよいメカニカル・サウンドを控えめに発して、十分な加速を披露する。

ホンダ・プレリュードを思い出す

それと、リア・アクスル・ステアリングである。現行「Sクラス」の国内仕様に全車標準で採用されているこれは、後輪を60km/h以上では前輪と同方向に、60km/h以下では逆方向に、車載センサーが最適値を自動的に判断して操舵する、いわゆる“4WS”である。これにより高速では安定性を高め、低速では駐車場等の取りまわしをよくすることが狙いだ。Sクラスはホイールベース3105mm、全長5180mmという巨体ゆえ、同方向では4.5°、逆方向では10°も変化する。

新型Cクラスの場合は、大きくなったとはいえ、ホイールベース2865mm、全長4785mmなので、60km/hを境にそれぞれ最大2.5°、後輪が操舵される。

このおかげもあるのだろう。ステアリングは超クイックで、妙にスイスイ走る。60km/h以上での走行は違和感がなかったけれど、一般道の交差点等で左に切ったときにはお尻をヒョイと持ち上げられて右に、右に切ったときには左にヒョイと、90°ぐらい一瞬にして動く感覚がある。1980年代のホンダ「プレリュード」の4WSを筆者は思い出してしまった。

あの頃、ホンダだけだけではなくて、日本の自動車メーカーは4WSに夢中だった。その目的はスポーティなハンドリングを得るためだった……。

メルセデス・ベンツはなぜ新型Cクラスに後輪操舵を、オプションとはいえ、設定したのか?

それは、老人が好むような落ち着いたクルマはつくらないことに決めているからだ。と、筆者は考えている。

新しきを知れば、新しい世界が開ける

では、ここで問題です。メルセデス・ベンツがCクラスの元祖、190がきっかけになって起きてしまった、自動車メーカーにとって死活的なある大問題とはなんでしょう?

ピッピッピッピッピッ。

お答えください。ユーザーの平均年齢が高くなること? 正解です!

新型C200アヴァンギャルドは、いまのところ、日本市場ではいちばんベーシックなCクラスだというのに、現代のアスリートみたいにインテリジェントで、若々しい。乗り心地も、ちょっと硬めで、スポーティなドライビング・フィールを提供する。内外装のデザインはSクラスを思わせ、その点は現代の190ともいえるけれど、現代のSクラス自体、老熟を拒否している。

本文中に筆者がしばしば用いた「違和感がある」というフレーズは、つまり、未経験の、新しいモノだからである。違和感を拒否するなかれ。新しきを知れば、新しい世界が開ける。という警句のようなことばは、自分に向けて書きました。

最新のMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)とか、こんな感じです。

はーい、メルセデス。

「どうぞ、お話しください」

近くのファミリーレストランを教えてください。

「結果を表示します。目的地はどこですか?」

MBUXがスクリーンに提示した候補のなかからタッチして選ぶ。

「一般道を通るルートです。実際の交通規制に従ってください」

このように、未知のファミレスを簡単に検索してくれる。

はーい、メルセデス。

「どうぞ、お話しください」

あなたの誕生日はいつですか?

「車検証に書いてあったりしませんか?」

はーい、メルセデス。

「どうぞ、お話しください」

星新一の『ボッコちゃん』よりスゴイ。

文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
motorsport.com 日本版
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
くるまのニュース
遂に“冷却機能”も装備! ハイグレード・ワイヤレス充電スマホホルダーの注目作が登場【特選カーアクセサリー名鑑】
遂に“冷却機能”も装備! ハイグレード・ワイヤレス充電スマホホルダーの注目作が登場【特選カーアクセサリー名鑑】
レスポンス
“やっちまった”タナク、僚友ヌービルにWRCタイトル明け渡す痛恨クラッシュは「マジで大惨事」
“やっちまった”タナク、僚友ヌービルにWRCタイトル明け渡す痛恨クラッシュは「マジで大惨事」
motorsport.com 日本版
スバル新型「すごいフォレスター」登場に反響あり! 水平対向エンジン×本格ハイブリッド搭載に「楽しみ!」の声も! 日本発売は一体いつ?
スバル新型「すごいフォレスター」登場に反響あり! 水平対向エンジン×本格ハイブリッド搭載に「楽しみ!」の声も! 日本発売は一体いつ?
くるまのニュース
「えっ、4つのリングのマークじゃない!?」 アウディが新ブランドを立ち上げ なぜ“4リングス”を使わない? 世界最大市場での戦略とは
「えっ、4つのリングのマークじゃない!?」 アウディが新ブランドを立ち上げ なぜ“4リングス”を使わない? 世界最大市場での戦略とは
VAGUE
「山賊もやし炒め定食」はパンチの効いた味濃いめ! 東関道「湾岸幕張PA」
「山賊もやし炒め定食」はパンチの効いた味濃いめ! 東関道「湾岸幕張PA」
バイクのニュース
7番グリッドスタートも、苦しい苦しいレースを強いられた角田裕毅。しかしペレスを抑え切り9位確保「FP1から良いマシンを手にできれば……」
7番グリッドスタートも、苦しい苦しいレースを強いられた角田裕毅。しかしペレスを抑え切り9位確保「FP1から良いマシンを手にできれば……」
motorsport.com 日本版
ホンダ『CRF1100L  Africa Twin』リコール…加速不良、転倒のおそれ
ホンダ『CRF1100L Africa Twin』リコール…加速不良、転倒のおそれ
レスポンス
SUPER GTの「LM corsa」をサポートする「TWSプリンセス」4人組のスタイルが良すぎ! 爽やかなコスチュームを纏う彼女たちは普段何してる?
SUPER GTの「LM corsa」をサポートする「TWSプリンセス」4人組のスタイルが良すぎ! 爽やかなコスチュームを纏う彼女たちは普段何してる?
Auto Messe Web
フェルスタッペン、苦しい1年を戦い抜いた4連覇は”誇り”「ある意味、とても特別で美しいシーズンだ」
フェルスタッペン、苦しい1年を戦い抜いた4連覇は”誇り”「ある意味、とても特別で美しいシーズンだ」
motorsport.com 日本版
MAXWIN、ヘルメット取付タイプのGPS搭載ドラレコ「MF-BDVR001G」発売
MAXWIN、ヘルメット取付タイプのGPS搭載ドラレコ「MF-BDVR001G」発売
レスポンス
空冷6気筒の水平対向! RRレイアウト! ポルシェになれなかったGMの「コルヴェア」とは
空冷6気筒の水平対向! RRレイアウト! ポルシェになれなかったGMの「コルヴェア」とは
WEB CARTOP
「パフォーマンスやスピードは昨年と比べ物にならない」トヨタWRC勝田貴元、2024年は自身の成長を実感した1年に
「パフォーマンスやスピードは昨年と比べ物にならない」トヨタWRC勝田貴元、2024年は自身の成長を実感した1年に
motorsport.com 日本版
水道代がかからないしエコだからって「井戸水」「雨水」洗車はNG! キレイにならないどころか塗装を傷める可能性もあった
水道代がかからないしエコだからって「井戸水」「雨水」洗車はNG! キレイにならないどころか塗装を傷める可能性もあった
WEB CARTOP
スライドドア採用! ホンダの「2ドア“MR”ハッチバック」がスゴイ! まさかのミッドシップでめちゃ楽しそうな「ステップ“バス”」とは
スライドドア採用! ホンダの「2ドア“MR”ハッチバック」がスゴイ! まさかのミッドシップでめちゃ楽しそうな「ステップ“バス”」とは
くるまのニュース
ホンダ『S660』用HKSインタークーラーキットがリニューアル、ブラックメッシュホース使用で軽量化
ホンダ『S660』用HKSインタークーラーキットがリニューアル、ブラックメッシュホース使用で軽量化
レスポンス

みんなのコメント

13件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村