日本ではセダンのみ販売されている日産「スカイライン」であるが、海外ではインフィニティブランドでクーペの「Q60」も販売されている。日本では滅多にお目にかかれないこのクルマついて、小川フミオが解説する。
セダンより低くワイドに
日本で乗れない日本車は、意外に多い。なかでも代表的なものが「インフィニティ」のクルマだ。日産自動車が1989年から展開している高級車のブランドで、日本で言うところの「スカイラインクーペ」ともいうべき「Q60」などの魅力的なモデルがある。海外での高い評価を聞くと、日本で乗れないぶん、憧れがつのる。
インフィニティQ60(以下Q60)は、2016年に発表されたモデルで、2850mmのホイールベースを持つシャシーは、日本でも販売されているスカイライン(米国名インフィニティQ50)と共用だ。
2018 INFINITI Q60INFINITIエンジンは3.0リッターV型6気筒ガソリンツリンターボ。224kW(304ps)と298kW(405ps)版がある。前者は「ピュア」と「ラックス」なるモデルに。後者は“イカした”ネーミングの「レッドスポーツ400」専用だ。
Q60は、クルマ好きの心をくすぐるクーペボディだ。スカイライン400Rが全長4810mm、全幅1820mm、全高1440mmのボディであるのに対して、Q60レッドスポーツ400は、全長が4690mmと短く、全幅は1850mm、全高は1370mm。つまり低くワイドになっている。
2018 INFINITI Q60INFINITI2018 INFINITI Q60INFINITIウィンドウグラフィクス(サイドウィンドウの輪郭)は、リアクオーターに強いカーブがかかった独特のシェイプだ。クーペはセダンより、はるかに躍動感があり、たいへん好ましい。「スカイラインはスポーティでなくてはいけない」と、思っているひとにはドンピシャのモデルといっていいだろう。
インテリアは、日本のスカイラインとほぼおなじだ。インパネにはふたつのモニターが上下に並ぶし、セレクターギアも、オーソドックスなレバータイプだ。足踏み式パーキングブレーキも踏襲する。
シートは、フロントがホールド性に優れたスポーツタイプに変更され、リアはふたりがけになる。リアシートの中央にはカップホルダーと小物置きが付く。小ぶりのバックレストから想像するに、成人男性の長距離移動には厳しいかもしれない。
Jay K. McNallyMcNally Multi MediaJay McNallyMcNally Multi MediaJay K. McNallyMcNally Multi Media2018 INFINITI Q60(c)ERIC MICOTTO2018 INFINITI Q60INFINITI2017 INFINITI Q60ALISTER THORPE2017 INFINITI Q60ALISTER THORPEインフィニティの現在・過去・未来
いま、日本車とかドイツ車とか、生産地でクルマを定義できなくなっている。1970年代には、欧米の自動車メーカーは販売地域と製造コストを考慮にいれて、工場を選ぶようになった。
たとえば、南アフリカ共和国。欧州とアジアの中間地点にある同地でクルマを生産して輸出する。現地の人件費は欧州より低めで生産コストが下げられるとともに、輸送コストも抑えられるので利益率が上がる。たとえば、南アのロスリン工場で生産されたBMWは、ドイツ車といえるのか、と悩むひともいる。
関税回避や、現地部品の調達率向上、そして現地雇用などが、自動車の貿易摩擦が問題化するなかで、解決すべき課題となった。大きな市場で販売を続けるためには、たんなる輸出でなく、現地生産が”マスト”とされたのだ。
2018 INFINITI Q60INFINITI北米における日産車は、1970年代にメキシコ工場で生産していたピックアップトラックが先鞭をつけ、「ブルーバード(510)」や「フェアレディZ」が評価を確固たるものにした。
1989年にデビューしたインフィニティブランドは、当時の日産自動車が誇りにしていた高い技術力に裏打ちされたプロダクトなら、しっかり足がかりを得た北米史上で成功する(=より高収益が見込まれる)だろう、という胸算用のもと誕生した。「当初は、日産社内でも成功が危ぶまれた」と、当時をよく知る関係者はいう。
ちなみに、日本に導入されなかった理由については、「レクサスと違い、インフィニティ専用車というのが開発できなかったのが問題でした。インフィニティチャネル(販売ネットワーク)を日本に導入した場合、フーガやスカイラインなどの上級車はインフィニティに移す必要が出てきます」とのこと。
当時の日産は、トヨタのレクサスブランドのように、巨額の投資で、専用車種をたくさん作ることができなかったというのだ。
「そうなると、日産の販売店が扱えるのは、ティアナ以下のモデルのみになってしまいます。それでは、日産店の収益確保に問題が発生してしまうのです。この問題を解決できなかったため、日本で展開できませんでした」
Dominic Fraserとはいえ、直近のインフィニティのセールスは好調で、ひとつの頂点を迎えた2017年には15万3000台を北米で売ったのである。同年に30万4000台を記録したレクサスには及ばなかったものの、後者が12車種という布陣に対して、インフィニティは9車種だから、健闘したといえる。
インフィニティは、「他に類のないブランド・アイデンティティを構築すると同時に、中国市場を理解するためにいいロケーション」(『NIKKEI ASIA』より)として、2012年に本社機能を香港に移した。
しかし2019年、資源を集中して、より効率的なコスト管理をしながら、車両開発をする必要性から、本社機能を横浜にある日産グローバル本社内に移転させることが発表された。
おなじようなタイミングで、日産自動車の西川廣人代表執行役社長兼最高経営責任者(当時)は、「インフィニティは電気自動車を主とするブランドにする」と、衝撃的な発言をした。
たとえばQ60をハイブリッド化しても、スポーティなクーペを作るという目標を見失うことなければ、それはそれで楽しみといえる。でも、明日がどうなるかわからないいま、可能なうちに、アメリカから並行輸入でQ60を入手し、乗っておくのも、クルマ好きにとって、大事なことのように思えるのだ。
文・小川フミオ
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