5月15~16日、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズの第2戦がオーストリアのレッドブルリンクで行なわれ、チームWRTの41号車オレカ07・ギブソン(ロバート・クビサ/ルイ・デレトラズ/イーフェイ・イェ)が開幕2連勝を達成した。
開幕戦が行なわれたスペイン・バルセロナから、舞台はオーストラリアのシュピールベルクに位置するレッドブルリンクへと移った。ELMSのレースがレッドブルリンクで行なわれるのは、3年ぶり。LMP2クラス16台、LMP3クラス16台、LMGTEクラス9台の計41台がエントリーリストに名を連ねた。
F1リザーブとインディ参戦のフィッティパルディがGドライブ離脱。代役はメリ/ELMS
予選では今季からLMP2にステップアップしたTFスポーツがオペレートするレーシング・チーム・ターキー34号車オレカ07がローガン・サージェンのアタックによりポールポジションを獲得。以下、アルガルベ・プロ・レーシングの24号車オレカ、ユナイテッド・オートスポーツの32号車オレカ、Gドライブ・レーシングの25号車アウルス01・ギブソン、チームWRTの41号車オレカと続いた。
晴天のもとスタートが切られた4時間の決勝レースでは、オープニング・スティントをユナイテッド32号車のニコラ・ジャマンがリード。その後最初のルーティンピットを終えたところからのレース前半は、7番手スタートだったGドライブ・レーシング26号車アウルス01(ロマン・ルシノフ/フランコ・コラピント/ニック・デ・フリース)がリードする展開となった。
Gドライブ26号車はハーフウェイとなる2時間経過時点で2番手のWRT41号車に31秒の差をつけていたが、残り1時間40分というタイミングでサーキットには大粒の雨が叩きつける。
各チームは続々とピットへ飛び込みインターミディエイトへとタイヤを交換。ここでWRT41号車はフルウエットタイヤを選択する。トップのGドライブ26号車がインターミディエイトへの交換のためにデ・フリースをピットに呼び戻した後、複数のLMP2マシンがターン7でグラベルへと飛び出したことでセーフティカーが導入された。
しかし依然コース上の水量は多く、SCラン中にもスピンするマシンが続出。結果、SC中にピット入口がオープンとなると、トップをいくGドライブ26号車を含めたインターを履く陣営が続々とフルウエットへの交換を選択した。
ところがSC解除前には再び太陽の光がサーキットに降り注ぎ、天候が急速に回復していくことを予感させた。ここでGドライブ26号車は再びインターミディエイトに履き替えるという戦略に打って出る。この時点でレースは残り59分、コラピント駆る26号車はあと1回の燃料補給が必要な状態だった。
■残り17分での逆転劇
直後にSCが解除。トップに立ったWRT41号車のクビサは徐々に水量が少なくなっていくなか、残り44分まで引っ張って最後のピットへ飛び込みタイヤをインターへと交換、マシンをデレトラズへと託した。これでGドライブ26号車のコラピントが首位に浮上した。
残り27分、Gドライブ26号車はピットインして燃料スプラッシュを敢行。コラピントはデレトラズの鼻先でコースに復帰する。ここから両車は約10分にわたって激しい接近戦を繰り広げるが、残り17分、コラピントがターン3立ち上がりで縁石にわずかに膨らんだ隙を突き、デレトラズがトップを奪い返した。
コラピントは直後のターン1でオーバーランする場面も見られ、チームWRT41号車が21秒差で逃げ切って優勝。2位にGドライブ26号車、3位にLMP2プロ/アマカテゴリーのGドライブ25号車(ジョン・ファルブ/ルイ・アンドラーデ/ロベルト・メリ)が入った。
LMP3クラスではレースの最終盤でドラマがあった。残り8分のところでグラフの8号車リジェJS P320・ニッサンが、クール・レーシングの19号車リジェJS P320・ニッサンをパス。これでグラフがクラス優勝を飾るかと思われたが、フィニッシュ直前、最低ピット時間を満たしていなかったとして8号車にペナルティが課せられる。
これによりクール・レーシング19号車がトップに浮上するが、今度は最終ラップでユーロインターナショナルの11号車リジェJS P320が背後から急接近。フィニッシュラインでは0秒117という僅差となったが、辛くもクール・レーシング19号車が逃げ切り、ニコラス・マウリーニ/マット・ベル/ニクラス・クルッテンが開幕からの2連勝を決めた。ペナルティを受けたグラフは3位に入っている。
LMGTEクラスはAFコルセの88号車フェラーリ488 GTE Evo(フランソワ・ペロード/エマニュエル・コラール/アレッシオ・ロベラ)が制し、2位にスピリット・オブ・レース55号車、3位にアイアン・リンクス80号車が続き、フェラーリ勢が表彰台を独占する形となった。
ELMSの次戦第3戦は6月6日、フランスのポール・リカールで行なわれる。
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