Z32型生産終了から約2年後に復活したZ33型
2002年に日産復活の象徴としてデビューした5代目Z33型フェアレディZ。日本仕様は2シーターのみの設定ながら、ロードスターも追加されて2009年に6代目のモデルチェンジまで発売された。その5代目Zには特別なモデル、日産のモータースポーツの歴史に輝くNISMO(以下:ニスモ)が手掛けたモデルが存在する。
ハコスカGT-Rを凌ぐ速さ! たった419台しか生産されなかった「フェアレディZ432」という衝撃作
レース参戦ベース車から始まった
2004年に発売された「S-tune GT」は、同時に発表された「タイプE」と同じエアロを纏って登場。「タイプE」とはフェアレディZがJGTC(現在のスーパーGT)に参戦するために発売したモデルで、レースの規則で外観を大幅に変えることができないからと、前後のバンパーやブレーキ冷却用のダクト(空気取り入れ口)などが与えられたモデル。
そのエアロを基本としながらも、当時のニスモの高性能パーツをてんこ盛り。エンジンはカムシャフトや強化バルブスプリング、エンジンオイルクーラーに加えて、パワステオイルクーラーまでが備わり、エンジンは最高出力300ps(221kW)/6400rpm、最大トルク37.0kg-m(363Nm)/4400rpmを発揮した。
カーボン製エンジンカバー&エアダクト、19インチ鍛造ホイールで軽量化も図られており、強化されたサスペンションとブレンボのアルミ合金製の大径ブレーキキャリパーもあって、一段と走りに特化したモデルとして注目を集めた。
販売価格は当時685万2000円であった。しかし、追加されたパーツの多くはニスモから市販されていたパーツながら、それらを全部装着するとこの金額では収まらずかなりのバーゲンプライスだった。
レースエンジンのデチューン版搭載モデルまで登場
2007年にはマイナーチェンジのタイミングで、「バージョンニスモ」と「バージョンニスモ タイプ380RS」、「バージョンニスモ タイプ380RSコンペティション」が登場。
「バージョンニスモ」では、すでに定評のあるヤマハ製フォーマンスダンパ―とレイズ製アルミ合金製ホイールを備えたほか、モータースポーツの経験から作られた専用エアロパーツを装備。この効果によって空力はマイナスリフトのエアロダイナミクスを向上させた。
ベース車両同様にエンジンはVQ35HR型の最高出力313ps(230kW )/6800rpm、最大トルク36.5kg-m(358N·m )/4800rpmとなった高性能を存分に発揮させるボディを持ったことで、フェアレディZの魅力をさらに広げることとなる。
「380RSコンペティション」はその名の通りモータースポーツ参戦用の特殊なモデルで、価格は2000万円以上。3.8Lまで排気量が拡大されたエンジンは最高出力400ps(294kW)/7500rpm、最大トルク43.0kg·m(421Nm)/5200rpmを発揮した。こちらはスーパー耐久参戦などのモータースポーツ専用だが、次に紹介する「380RS」はナンバーが付いた競技車と言っても言い過ぎではないほど、ニスモの技術が詰め込まれたモデルだった。
「380RSコンペティション」の市販仕様が「380RS」で、コンペティションのデチューン版エンジンを搭載。専用のアルミ合金製の鍛造ピストンや強化されたコンロッド、専用カムシャフトやバルブスリングもあって、高出力を達成している。最高出力350ps(257kW)/7200rpm、最大トルク40.5kg-m(397Nm)/4800rpmという性能で、赤いエンジンのカバーは伊達ではないことを証明した。
その走りは大排気量FR、MTを搭載する2シータースポーツモデルの未来を期待させるもの。日産の象徴として復活した5代目のZ33型フェアレディZは、しっかりとその役目をはたした。
Z34型にもニスモのDNAは受け継がれた
その結果、DNAを受け継ぐ6代目のZ34型のフェアレディZも登場し、引き続きバージョンニスモ(のちにニスモに改名)も設定された。そして、新型の登場を待つこととなる。どうやらビッグマイナーチェンジとなるようだが、2シーターのMTがあるFRのスポーツカーであることは間違いない。これは日産の総力と世界中のファンが生み出した結果だ。
フェアレディZは、日産と日産のグループ、つまり総力を投入するに値するモデルであり、優れた商品はユーザーが評価して購入する。売れるから次期型の開発費が出て新型が登場する。このサイクルが終わらないことを願いたい。
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みんなのコメント
最近は見かけなくなりましたが、一昔前は街で見かけたら「いいなぁー」と思ったもんです。