キア最強の電動モデル
新型キアEV6 GTの詳細が発表された。同ブランドで最もパワフルなモデルだが、高い汎用性を備えたグランドツアラーになると謳われている。
【画像】新型キアEV6 GT【標準モデルと写真でじっくり比較】 全73枚
キアが販売するクロスオーバー車EV6の高性能モデルで、最高出力585ps、最大トルク75.5kg-mのツインモーターを搭載し、0-100km/h加速3.5秒、最高速度260km/hを達成している。
ヒョンデ・グループの研究開発責任者を退任し、現在は顧問を務めるアルバート・ビアマンは、EV6 GTは「真のGT(グランドツアラー)になる」と述べた。
「スティンガーから始まったGTは、常にモデルラインの最上位に位置します。サーキットのためのクルマとは、わけが違います。長距離のツーリング用に設計されており、高いスピードを持ち、運転を楽しめるのです」
ビアマンによると、EV6の当初の製品計画にはGT仕様は含まれておらず、E-GMPプラットフォームの可能性に気づいてから、社内のエンジニアによって開発が行われてきたという。
高速性能と快適性のバランスを重視
EV6 GTは、標準のEV6と同じ電気モーターを使用している。フロントモーターの出力は217psと変わらないが、リアモーターは2基のインバーターにより367psにパワーアップしている。また、ヒョンデのリミテッドスリップデフ「e-LSD」の最新バージョンを搭載し、四輪の出力をバランスよく配分している。
バッテリーは標準の77.6kWhを継承し、電力消費効率は4.3km/kWhで423kmの航続距離を実現する。超急速充電に対応し、18分で10~80%の充電が可能だ。
ビアマンは、ヒョンデ・グループのEV用プラットフォームであるE-GMPについて、「高性能車にとって素晴らしいベースとなります。このレベルのパワーを扱うのに、根本的な変更は必要なかったのです」と語った。
キアは、フロントアクスルにコントロールアームを追加してシステムの自由度を高め、さらにステアリングとアダプティブダンパーに特別なチューニングを施した。高速走行時のパフォーマンスと快適性のバランスに重点を置いたという。
また、ステアリングホイールのボタンで起動するドライブモード「GT」を備え、モーター、ブレーキ、ステアリング、サスペンション、e-LSD、エレクトロニクス・スタビリティ・コントロールを自動で最適化する。
見た目は標準モデルとほぼ変わらず
こうした出力向上とパフォーマンス設定は、近日発売予定のヒョンデ・アイオニック5 Nにも導入される見込みだが、E-GMPの高い柔軟性を活かし、両車の特性は全く異なるものになるとビアマンは主張する。アイオニック5 Nは、よりハードコアなモデルになるようだ。
パワートレインや車両セッティングが大きく見直された一方で、デザイン変更は部分的なものにとどまる。エクステリアでは、クラムシェル型ボンネット、前後バンパー、リアスポイラー、専用ブレーキキャリパー、専用21インチアルミホイールなどが装備されている。
インテリアでは、スエード調のバケットシートやステッチなど、GT専用デザインが採用されている。
EV6 GTは今年末に欧州で発売される予定。価格は未定だが、既存の最上位モデルであるEV6 GTラインの5万3595ポンド(約868万円)より高くなると考えられる。
助手席に乗ってみた結果……
AUTOCARは、ビアマンがハンドルを握るEV6 GTのプロトタイプに同乗し、助手席から新型車の性能を体験した。ドイツのアウトバーンを中心にした短いテストコースでは、予想通り、劇的な発見はあまり得られなかった。
EV6 GTは加速が印象的で、高速巡航も難なくこなす。運転席に座るビアマンは、このクルマはまだ完成していないとし、「プロトタイプとプリプロダクションが混在している」と表現した。
高速走行時のエネルギー回生システムとして、「Iペダル」が採用されている。ドライブモードを切り替えると、車体の挙動の違いを感じることができるが、包み込むようなバケットシートのおかげで、乗り心地は過度に硬くない。
実際に運転してみないとわからないが、EV6 GTが「グランドツアラー」の精神を取り入れているように感じられたのは確かだ。
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みんなのコメント
もっとも、主戦場になると予想されている欧州圏では充電インフラが十分に発達しているし、この程度の差はあまり気にならないかもしれない。
日本で運用するにはやはり充電インフラの課題が山積みだし、より車内が広いアイオニック5が用意されているため導入される可能性は絶望的に低いと見て良いだろう。