シーズン終盤戦恒例の長距離戦“エンデューロ・カップ”を目前に控えたRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップは、ビクトリア州近郊のウィントン・モーター・レースウェイにて耐久カップ登録コ・ドライバーを中心としたテストを実施。その現場には今季ペンライト・レーシングに初ジョイントするポルシェ・ファクトリー契約ドライバーのケビン・エストーレも姿を見せ、来日目前に新型Gen3フォード・マスタング・スーパーカーのステアリングを握っている。
今週末開催のWEC世界耐久選手権第6戦『富士6時間耐久レース』に向け、すでに富士スピードウェイ入りしている34歳のエストーレだが、その直前となる週頭の4~5日には南半球オーストラリア大陸に赴き、今季RSCの第9戦『ペンライト・オイル・サンダウン500』と、続く第10戦の“祭典”こと『レプコ・バサースト1000』に向けたテストに参加した。
フォード陣営ティックフォードが2024年に体制縮小。4台→2台減でBRTに参戦枠1台分を委譲/RSC
同じくファクトリー契約ドライバーのシモーナ・デ・シルベストロとともに、2019年以来となるオセアニア出身者以外の“海外ドライバー”となったエストーレだが、フランス出身者としてはV8時代のシリーズで活躍を演じたアレクサンダー・プレマ以来の参戦となる。
今季もアンドレ・ロッテラーの僚友としてポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの6号車をドライブするハイパーカー使いは、月曜の“エバリュエーション・デイ”と続く火曜の“フルテスト・デイ”にて、ペンライト・レーシングの19号車マスタングをドライブ。普段走らせているハイブリッドのポルシェ963とは異なり、右側に位置するドライバーズシートに座り、左手でギヤレバーをシフトし、そして最も重要なヒール&トゥのテクニックに適応しなければならなかった。
「ああ、大きな“ラーニング・カーブ”だったし、すべてが初めてだった。最初はかなり大変だったよ」とチームの公式映像を通じて明かしたエストーレ。
「回転数のブリップ、ヒール&トゥ、そして右ハンドルによる車両感覚とギヤチェンジの操作方法など、あらゆる要素を考えても僕が普段から慣れ親しんでいるものとは大きく異なっていた」
そのペンライト・レーシングは、今季の“エンデューロ・カップ”に向けグリッド上で最も経験豊富なラインアップと、最も経験の浅いラインアップを構築したことになり、通算39レースに出走して6勝を挙げているデビッド・レイノルズ/ガース・タンダー組に対し、エストーレはルーキーのマット・ペインとペアを組む。
■「あとは組み立てるだけ」重量級ツーリングカーを手中に収めたエストーレ
「その意味でも大変だったが良い進歩ができたと思う。このクルマに何が必要なのかはよく分かったから、あとは組み立てるだけさ」と、レスダウンフォースの重量級ツーリングカーを早くも手中に収めたというエストーレ。
「クルマの感触を掴み、チームが僕に何を求めているのか、何をフィードバックすべきなのかを知るには、僕にとって良いテスト初日になった。気分は良いし、残りのテストと“来週”のレースに向けて自信を持っているよ」
一方、シリーズ“3冠”のディフェンディングチャンピオンでもある“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(トリプルエイト・レースエンジニアリング/シボレー・カマロZL1)もテストに参加したが、今季前半戦から不調を抱え続けている97号車をドライブ中に突如としてブレーキトラブルに見舞われ、大きなクラッシュを喫する一幕もあった。
「残念なことに、シェーンはブレーキにトラブルを抱えたようだ」と事故直後に語ったのは、今季“エンデューロ・カップ”でSVGとペアを組み、来季からはペンライト・グローブ・レーシングのレギュラーとして“レギュラー復帰参戦”を果たすリッチー・スタナウェイ。
「重要なことは、彼は大丈夫だということ。周囲も不安になるほど大きなインパクトだったからね。今日は数多くのプログラムを予定していたし、僕らにとっては残念なテストになった。事故の前にほんの数周でもできていたら良かったんだけどね」と、自身のシートタイムがゼロだったことも明かしたスタナウェイ。
「サンダウンへの理想的なリードインではないけれど、今季のインシーズンテストでチームは僕に多くの走行機会を与えてくれていた。そこが唯一のポジティブな点だ。クルマに乗っているときは快適だと感じるけれど、本番直前に少しでも走れたら……というのが本音だね」
同じくディック・ジョンソン・レーシング(DJR)のワイルドカード枠で参戦予定のシモーナも、既報のとおり地元スイスで盲腸の緊急手術を実施したことを受け今回のテストには不参加に。9月15~17日開催の『ペンライト・オイル・サンダウン500』本番直前の渡豪が予定されている。
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