10月9~10日、ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイ・AWS第10戦バルセロナがスペイン、カタロニア・サーキットで行われ、アッカASPの88号車メルセデスAMG GT3(ラファエル・マルチェッロ/フェリペ・フラガ/ジュール・グーノン組)がポール・トゥ・ウインを飾り2021年シーズン最後のウイナーとなった。
88号車メルセデスのクルーは、最終戦までもつれた“エンデュランスカップ”のタイトル獲得の権利を有した状態でシーズンのフィナーレイベントとなった今戦に臨んだ。とはいえ、彼らは優勝したとしても自力での王座獲得のチャンスはなく、タイトルの行方はスパ24時間を制してポイントリーダーに立つアレッサンドロ・ピエール・グイディ/コム・レドガー/ニクラス・ニールセン組(51号車フェラーリ488 GTE Evo/アイアン・リンクス)の着順次第という状況にあった。
2022年のインターコンチネンタルGTチャレンジは全4戦で開催。バサースト12時間が復活
そんななか迎えた第10戦バルセロナの予選では63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(オレンジ1・FFFレーシングチーム)がQ1からQ3の合算タイムによりポールポジションを射止めたかに思われた。しかし、ミルコ・ボルトロッティが担当したQ1においてイエローフラッグが尊重されなかったとして、同車には予選後に降格ペナルティが科される。
これによりポールポジションスタートの権利は2番手タイムを記録した88号車メルセデスに渡り、ランボルギーニ陣営のエース格は22号車ポルシェ911 GT3 R(GPXレーシング)と7号車メルセデスAMG GT3(トクスポーツWRT)に次ぐ4番手からレースを開始することとなった。
運命の決勝。3時間にわたって争われるレースは定刻15時00分にスタートが切られ、まずは順当にマルチェッロ駆る88号車が首位をキープ。これに22号車ポルシェ、63号車ランボルギーニが続いた一方7号車メルセデスは順位を下げ、代わって4号車メルセデスAMG GT3(HRT)が4番手に浮上した。
直後、後方でのアクシデントによってセーフティカー(SC)が出されるも、スタート後10分までにリスタートが切られレースは仕切り直しに。88号車はこれに動じることなく好ペースを刻み続け、周ごとに後続をじわじわ引き離す展開に持ち込む。それはマルチェッロからステアリングを引継いだフラガのスティントでも変わりなく、第3スティントでグーノンにクルマが渡った時点で、後続とのギャップは23秒となっていた。
■スパ24時間優勝のアイアン・リンクスが逃げ切りに成功
一方、その88号車を追いかけるグループではペナルティによって順位が入れ替わっていた。スタートから1時間後、アンドレア・カルダレッリがドライブする63号車ランボルギーニが3番手を走行中、488号車フェラーリ488 GT3 Evo(リナルディ・レーシング)に追突。相手をスピンさせてしまいドライブスルーペナルティを受けることに。これで7番手に後退した。
また、2番手を走る22号車ポルシェにはピットストップ時の違反によってドライブスルーペナルティが科せられ、こちらはトップ10圏外へと下がることになった。
2番手と3番手の後退によってさらに楽になった88号車だったが、チェッカーまで残り40分あまりのところでコース脇にストップした車両を回収するためのフルコースイエローが出されたことで状況は一変する。リスタート前のSCランによって稼いだマージンが大幅に削られ、数台のバックマーカーを挟んで4号車メルセデスを交わして2番手に浮上した54号車ポルシェ911 GT3 R(ダイナミック・モータースポーツ)と対峙することになる。
しかし、やはりペースに勝るのは88号車。ふたたびギャップを築いていくなかで2回目のフルコースイエロー、みたびのSC導入によってレース時間残り10分で再度貯金はゼロになったが、残り3分で迎えたリスタート後もグーノンは落ち着いた走りでトップを守り切り、88号車メルセデスにポール・トゥ・ウインをもたらした。
2位は予選5番手の54号車ポルシェで、トップとは2.1秒差。3位には8番手グリッドからスタートし、着実にポジションを上げてきた“オーバーオール&スプリントカップ王者”の32号車アウディR8 LMS(チームWRT)が入り、1ポイント差でライバルのアイアン・リンクスを上回りエンデュランスカップのチームタイトルを獲得。トロフィーをまたひとつ増やすことに成功している。
4位以下は63号車ランボルギーニ、4号車メルセデス、114号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(エミル・フレイ・レーシング)というリザルトとなり、88号車組が優勝した場合には9位以内がタイトル獲得の条件となっていたアイアン・リンクスの51号車組は7位でフィニッシュ。この結果、ピエール・グイディ/レドガー/ニールセン組が4点差で88号車メルセデスのトリオから逃げ切り、エンデュランスカップのドライバーズタイトルを獲得した。
富田竜一郎がチームWRT(31号車アウディR8 LMS)から参戦したシルバーカップでは、エミル・フレイ・レーシング(14号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo)がダブルタイトルを獲得。今ラウンドで総合12位/クラス2位表彰台を獲得した富田はドライバー選手権11位となったが、チームWRTはチームランキング2位となった。
プロ・アマカップに参戦した濱口弘組の19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(オレンジ1・FFFレーシングチーム)は最終戦を総合35位/クラス8位でフィニッシュした。同クラスふたつのタイトルはスカイ・テンペスタ・レーシングのもとに渡り、濱口/フィル・キーン組はドライバー選手権4位に。チームはランキング3位で2021年シーズンを終えている。
2022年のファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイ・AWSのシーズンカレンダーは、週末に行われたSROモータースポーツ・グループのカンファレンスによって明らかにされており、来季開幕戦は3月21~22日のテストデイ(ポール・リカール)の3週間後、4月9~10日にイタリア・モンツァで開催される予定だ。
■ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイ・AWS 2022年シーズンカレンダー(10月10日発表版)
RoundDateCircuitFormat-3月21~22日ポール・リカールテストデイRd.14月9~10日モンツァERd.24月30~5月1日ブランズハッチSRd.35月14~15日マニ・クールSRd.46月4~5日ポール・リカールERd.56月18~19日ザントフールトS-6月21~22日スパ・フランコルシャンテストデイRd.67月2~3日ミサノSRd.77月29~31日スパ24時間ERd.89月3~4日ホッケンハイムERd.99月17~18日バレンシアSRd.1010月1~2日バルセロナE
※E:エンデュランスカップ、S:スプリントカップ
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