ボクの個人的クルマ史は1952年にスタート
編集部から「乗って、走って、楽しいクルマをピックアップしてほしい」といわれた。「楽勝だな!」と思った。だが、始めてみるとこれが難しい。思い出を辿ると候補車が続々と出てくる。
【岡崎宏司のカーズCARS】ボクにとっての「価値あるクルマ」、それはデザインとブランド性。コンパクトサイズも外せない
ボクの個人的クルマ史のスタートは1952年(12才)から。そして、24才で自動車ジャーナリストの道を選び、無数といってもいいほどのクルマに乗ってきた。そんな中から数台をピックアップするのは無理だ。だから、ボクが個人として所有したクルマに的を絞ることにしたのだが、それでも難しかった。
ボクのクルマ選びのポイントは「デザインとブランド」が最上位。次に来るのが今回のテーマである「乗って、走って、楽しい」ことだ。つまり、ボクの個人的所有車に絞っても、多くが候補になる。
頑張って絞った。その結果を古い順からご紹介していこう。
まずは1968年のアルファロメオ・ジュリア・スーパー。パワフルで上質なツインカムエンジン、気持ちのいいタッチのトランスミッション、しなやかでよく粘るフットワーク、当時としては超一級の走り味、乗り味の持ち主だった。
1984年のアウデ 90クアトロもいいクルマだった。5気筒エンジンが好きだったし、軽量さとクアトロシステムのコンビネーションがもたらすワインディングロード、とくに下りの走り味は忘れられない。
同じ1984年のバラードスポーツCR-Xは痛快だった。息子用に購入したが、ボクも好きでよく乗った。ホンダ栃木研究所のスタッフがライトチューニングを施してくれた。レスポンスのいい軽快な走りと、しなやかな乗り味は文句なしだった。
1986年のVW ゴルフIIGTI 16Vは、日本での正式販売を待てず、VW日本事務所のサンプルカーを強引に譲ってもらった。パワフルなエンジン、当時のFWDとしては飛び抜けたトラクション、今でも名車だと思っている。
1995年のフィアット パンダは人を笑顔にする達人。パンダがいるだけで場は和み、みんなが笑顔になった。パワーはないものの、「いつも全開!」といった走りの感覚もまた楽しいものだった。
1998年、アウディTT クアトロのデザインは「快感!」レベル。エクステリアとインテリアの繊細なまでの美への拘りは「博物館級」だと思っている。5バルブ DOHCターボ とクアトロのコンビネーションがもたらす走りも刺激的だった。だがどうしても心はデザインに向いてしまう。
2003年のBMW Z4、ポルトガル南端のワインディングロードを夢見心地で走った。そしてすぐにオーダー。当時のランフラットタイヤがもたらす乗り心地は酷かったが、ハンドリングの心地よさがすべてを帳消しにしてくれた。
最後に、2013年のMINIクーパーS コンバーチブル、2019年のゴルフGTIパフォーマンス、そして、現在乗っているプジョー e208GT ラインも、「乗って、走って、楽しいクルマ」にピックアップしておきたい。
[プロフィール]
おかざき こうじ/モータージャーナリスト 1940年、東京都生まれ。日本大学芸術学部在学中から国内ラリーに参戦し、卒業後、雑誌編集者を経て、フリーランスに。カー・アンド・ドライバー誌では創刊時からメインライターとして活躍。その的確な評価とドライビングスキルには定評がある。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員
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みんなのコメント
借り物だったけど、足やデフがイジってあって
下手くそが乗るランエボなら上りでも追いかけ回せた
(直前、オーナーの運転でそのランエボに
つつき回されてたんだけど)