この記事をまとめると
■最新車が並ぶ全日本ジムカーナに平成ひと桁世代の旧型車が多数参戦している
【今さら聞けない】モータースポーツのジャンル「ジムカーナ」って何?
■B車両・SC車両といった改造範囲が広いマシンが戦うクラスに出場
■旧いクルマでの参戦理由は「好きだから」というシンプルな動機がもっともよく聞かれた
四半世紀以上昔のクルマが第一線で活躍中
全日本ジムカーナ選手権・第7戦「スーパースラロームIN久万高原」が9月13~14日、愛媛県久万高原町のハイランドパークみかわで開催。各クラスで激しいバトルが展開されていたのだが、そのなかで筆者が注目していたのが、平成ひと桁世代の旧型モデルたちだった。
国内最高峰シリーズということもあって、全日本ジムカーナ選手権には最新の現行モデルが数多く参戦しているが、それと同時に旧型モデルが数多くエントリー。改造範囲が制限されたPN1クラスは「FIA/JAF公認発行年またはJAF登録年が2018年1月1日以降の車両」に制限されているほか、PN2クラス、PN3クラス、PN4クラスも「FIA/JAF公認発行年またはJAF登録年が2009年1月1日以降の車両」に制限されていることから、PN1クラスは現行モデルが主体となっており、PN2クラスからPN4クラスに関しても16年以上前の旧型モデルが参戦できないようになっているが、改造範囲の広いBCクラスにおいては年式の制限が行われていない。
そのため、前輪駆動のBC1クラスにはホンダCR-X(EF8)を筆頭に、ホンダ・インテグラ(DC2)やホンダ・シビック(EG6/EK9)などがエントリー。さらに、後輪駆動のBC2クラスではマツダRX-7(FD3S)やホンダNSX(NA1)、ホンダS2000(AP1)、トヨタ・スプリンタートレノ(AE86)などが活躍中で、四輪駆動のBC3クラスではスバル・インプレッサ(GC8) がトップ争いを展開中だ。
というわけで、ここではスーパースラロームIN久万高原に旧型モデルで参戦した数名の選手を直撃。題して「Youはどうして旧型モデルで参戦中?」をお届けしたい。
まず、最初にお話を伺ったのが、BC1クラスに平成6年式のシビック(EG6)で参戦している山越義昌選手で、「もともとはSA規定のCR-Xで競技をはじめたんですけど、SC規定の車両もほしくてEG6を購入しました。現在は2台をもっている状態ですが、いまはEG6をメインに使用しています」とのこと。旧型モデルで参戦する理由に関しては「EG6はバランスもいいんですけど、インテグラと共通部品が多いので、使えるパーツも多いし、安く入手することができる。新品で購入したのは3万円のリヤウイングと6万円のボンネットぐらいであとは中古パーツがほとんど。圧倒的にコストパフォーマンスは高いと思います」と語る。
「現行モデルでPNクラスへ参戦することも考えたんですけどコストがかかるし、BC1クラスで車両を改造すれば最近のクルマとも戦えますからね。EG6は高騰していて200万円ぐらいするので新しくはじめようとするとコストはかかりますが、パーツ代は安く抑えられると思いますよ」とのことで、山越選手のCR-X/シビックでの活動はしばらく続くことになりそうだ。
一方、BC1クラスにインテグラ(DC2)で参戦するケイヤ選手は、「もともとはミラージュでジムカーナを始めたんですけど、6年前にインテグラに変更しました。理由は見た目がクーペでカッコいいこと。あとは軽量なFFモデルにVTECエンジンが搭載されているというパッケージも好きです」と語る。
さらにケイヤ選手は、「僕の場合はジムカーナを始めたくてインテグラに乗っているわけではなく、インテグラが好きで、インテグラで参戦できる競技を探したらジムカーナだったのでチャレンジしました。簡単にいえば、“インテ・バカ”なんです」とのことで、かなりのDC2マニアと呼べるだろう。
「じつは競技用のインテグラのほかに街乗り用のインテグラももっています。インテグラはタイヤを12本搭載できるだけの積載量があるし、燃費も15km/Lぐらいいくので競技をやるうえでも最高のクルマです」と語っているだけに、ケイヤ選手のインテグラでの競技生活もまだまだ続いていくに違いない。
「好きだから」戦い続けられる
また、BC2クラスにRX-7(FD3S)で挑む飯野哲平選手もなかなかのRX-7マニアで、「子どものころからずっとFDが好きで、免許を取ったら絶対に乗ろうと思っていました。というのも、スタイリングがカッコいいですからね。大学の自動車部に入ってからジムカーナの存在を知ったんですけど、FDで活躍している選手がいてそれに憧れまして、自分もFDでジムカーナを始めました。途中でMR2に乗ったこともあったけれど、またFDに戻ってきてました」と語る。
「マツダがパーツを出しているので部品には意外と困らないし、きちんとメンテナンスをすれば壊れることもないので旧型モデルでも困りません」と語っているだけに、飯野選手もRX-7でのジムカーナライフを続けていくことになりそうだ。
そのほか、1992年式のホンダNSX(NA1)でBC2クラスに挑む渡辺公選手も、もともとはNSX好きで、「最初はランサーでジムカーナをやっていたんですけど、会社を起業したこともあって、仕事が忙しく競技を辞めていました。その後、仕事が落ち着いてきたし、仕事ばかりしていてお金を使うこともなかったので、ずっとほしかったNSXを買ったんですけど、そのうち、ブレーキを変えたりデフを変えたりとカスタマイズしていくうちに競技に出てみよう……、ということになりまして、2005年にNSXで全日本ジムカーナへ参戦することになりました」と語る。
以来、渡辺選手はNSXでの20年目の全日本シリーズを迎えているわけだが、「古くなってくると、エンジンのハーネスを変えたり1速のギヤが欠品したりと修理に苦労しました」とのこと。現在はNSX専門店のサポートにより、トラブルにも対応できるような体制となっているようで、「じつはRFのロードスターをもっていて、そちらで走行会に参加することもあるんですけど、やっぱり競技にはNSXで出たい」と語っているだけに、今後も渡辺選手は走行距離が25万kmを超えたNSXでアタックをしつづけることになりそうだ。
そして、飯野選手と同様に1992年式のRX-7(FD3S)でBC2クラスに挑む藤井雅裕選手もRX-7のファンを公言しており、「最初はシビック(EK9)でジムカーナを初めて、そのあとにデミオで競技をやっていたんですけど、もともとFDに乗りたくて、RX-7に乗り換えました。やっぱりRX-7はデザインがカッコいいし、ロータリーエンジンでハイパワーということがポイント。RX-7に乗ったあとにNDのロードスターで全日本へ出場したことがあったんですけど、物足りなさを感じてすぐにFDに戻りました」と語る。「最新モデルへ乗り換えたいという思いはありません」と語っているだけに、藤井選手もまたRX-7でジムカーナへ挑戦しつづけていくことになるだろう。
以上、簡単に全日本ジムカーナ選手権へチャレンジする旧型モデルのドライバーたちに話を聞いてみたが、その最大の理由は「好きなクルマで競技をしたい」および「パーツが安くてコスパがいい」といったもので、車種選択の基準は極めてシンプルになっているのである。
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みんなのコメント
扱いにくさもあるし、腕で勝負したいのがデカいでしょう。