2021年2月26日~28日、WRC(世界ラリー選手権)第2戦アークティック・ラリー・フィンランドがフィンランド北部のロバニエミを起点に開催され、ヒュンダイのオィット・タナックが優勝した。2位にはトヨタのカッレ・ロバンペラ、3位にはヒュンダイのティエリー・ヌーヴィルが入った。
優位なスタート順を生かしたヒュンダイのタナックが独走
コロナ禍によって中止となったラリー・スウェーデンにかわって、伝統の「夏のラリー・フィンランド」に加えて、ふたつ目のラリー・フィンランドとして開催されることになった「アークティック・ラリー・フィンランド」。その名の通り、ステージの一部は北極圏内を走るなど、温暖化による雪不足に悩まされてきた近年の冬のWRCでは久しぶりの完全スノーラリーとなった。
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ただし、開催数週間前まではマイナス20度ほどだった気温はラリーウイークになって急上昇。ラリー初日には1度~2度ほどになり、これが開幕戦モンテカルロの好成績によって今回のラリーの出走順が早いトヨタ勢を苦しめることになった。
先頭スタートのセバスチャン・オジェ、2番手スタートのエルフィン・エバンスのトヨタ2台が予想以上に大きくタイムロスするなか、ラリーの主導権を握ったのはモンテカルロで無得点に終わり、トップドライバーの中では圧倒的に優位なスタート順を得たヒュンダイのタナックだった。
ラリー初日、金曜日のステージで他のドライバーがスペアタイヤを2本積む中、あえてリスクのある1本積みを選択、この軽量化戦略が奏功し連続ベストタイムでいきなり大きなアドバンテージを築くと、土曜日もペースを緩めず、ラリー半ばまでで一気に勝負を決めた。
一方のトヨタ勢は3台の中では唯一有利な出走順だったロバンペラが2位と健闘したものの、エバンスは5位が精一杯。初日9番手に沈んでいたオジェは6番手まで浮上した直後、土曜日の最終ステージの最終コーナーで雪壁にマシンをスタックさせてデイリタリア、最終日のパワーステージでも5位タイムに終わって、ポイントリーダーの座から陥落した。
2位に入ったトヨタのロバンペラがポイントリーダーに浮上
タナックには及ばなかったものの、自己最上位の2位を記録したロバンペラは、パワーステージも制してポイントリーダーに浮上した。
今回はこのロバンペラ以外にも2世ドライバーの健闘が目立った。トヨタから参戦の勝田貴元はモンテカルロでの6位に次いで、今回も6位で完走と安定したラリーを披露。そして、ロバンペラや勝田以上にサプライズを起こしたのが、2003年にスバルで世界チャンピオンとなったペター・ソルベルグの長男、オリバー・ソルベルグだった。
2021年からヒュンダイと2年契約を結んだオリバーは、今回がWRカー初搭乗。しかも、新型コロナウイルス感染によってコ・ドライバーがラリー直前に交代するというアクシデントがありながら、ラリー序盤から好タイムを並べて7位に食い込んで見せたのだ。2021年のオリバーの主戦場はひとつ下のカテゴリー「WRC2」であるため、次戦もWRカーで参戦するか未定だが、将来に大きな期待を抱かせる第一歩となった。
次戦WRC第3戦は4月22日から25日にクロアチアで開催される。WRC初開催となるクロアチア・ラリーは、首都ザグレブを基点としたフルターマック(舗装路)で開催される。
2021 WRC第2戦アークティック・ラリー・フィンランド 結果
1位 O.タナック(ヒュンダイ i20クーペ WRC) 2h41m37.5s
2位 K.ロバンペラ(トヨタ ヤリス WRC) +17.5s
3位 T.ヌーヴィル(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+19.8s
4位 C.ブリーン(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+52.6s
5位 E.エバンス(トヨタ ヤリス WRC) +1m01.5s
6位 勝田貴元(トヨタ ヤリス WRC) +1m37.8s
7位 O.ソルベルグ (ヒュンダイ i20クーペ WRC)+1m39.0s
8位 T.スニネン(フォード フィエスタ WRC)+2m09.0s
9位 G.グリーンスミス(フォード フィエスタ WRC)+3m39.4s
10位 E.ラッピ(フォルクスワーゲン ポロGTI R5) +6m07.0s
2021 WRC ドライバーランキング(第2戦終了時)
1位 K.ロバンペラ(トヨタ)39
2位 T.ヌーヴィル(ヒュンダイ)35
3位 S.オジェ(トヨタ)31
4位 E.エバンス(トヨタ )31
5位 O.タナック(ヒュンダイ)27
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