プジョーのテクニカル・チーフであるオリビエ・ジャンソニは、アップデートされリヤウイングが追加された『プジョー9X8』の2024年仕様が、初期バージョンと同様にル・マン24時間レースで強さを発揮すると確信している。
フランスメーカーが今週月曜日に公開したル・マン・ハイパーカーのアップデートモデルは、WEC世界耐久選手権の次戦第2戦『イモラ6時間』でシリーズのトップカテゴリーにデビューする予定だ。
ついにリヤウイング備わる。プジョー9X8の改良型が初公開、WEC第2戦イモラでデビューへ
昨シーズン、オリジナルの『9X8』はほとんどのサーキットで苦戦を強いられたが、シリーズ戦と同様に2台体制で臨んだル・マン24時間の100周年記念大会では94号車プジョーが34周をリードし、グスタボ・メネゼスがクラッシュするまでは表彰台を狙える位置にいた。
新バージョンに進化したプジョー9X8は、リヤウイングの追加や従来よりもワイドなリヤタイヤ(31cm幅から34cmに拡大)の採用などによって強調される異なる空力学的コンセプトを特徴としているが、ジャンソニは今季2024年のル・マンで、プジョーが昨年と同じように好調な走りを楽しめない理由はないと考えている。
「グランドエフェクトの観点から見てル・マンが私たちのクルマにとって特別有利だったとは言わないが、エアロとタイヤを含めた全体的なクルマのコンセプトからすると、ル・マンは他の場所よりも不利ではなかったと思う」と彼はSportscar365を含む一部のメディアに語った。
「ル・マンでも以前のバージョンと同じパフォーマンスを発揮できると信じている。パフォーマンスだけでなく、レースから学べることはたくさんあるし昨年は準備、セットアップ、戦略の面で多くのことを学んだ」
「私たちは新しいクルマでそれらを引き継ぎ、ル・マンでは昨年よりも強くなれると思う」
WECの2022年シーズン後半戦にデビューしたオリジナルの9X8は、登場からちょうど1年後に行われた昨年のモンツァで唯一の表彰台を獲得したが、今月はじめにカタールで行われた2024年開幕戦では、スムーズな路面と低速コーナーの欠如がプジョーの“ウイングレス”コンセプトとぴたりとハマり、同バージョン最後のレースで過去最高のパフォーマンスを発揮した。
残念ながら最終盤の給油トラブルによって好走が結果に結びつかなかったが、このレースで一時首位を走ったミケル・イェンセン/ニコ・ミューラー/ジャン-エリック・ベルニュ組93号車プジョーは、チェッカーまで残り2周の時点まで力強い走りを継続し、優勝した6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)に次ぐ総合2番手につけていた。
■ウイングレス仕様が優れていたポイント
一方、日本の富士スピードウェイや、カタールと同じ中東のコースでもバーレーン・インターナショナル・サーキットでは苦戦を強いられた。その要因は低速コーナーでのトラクション不足にあり、このような区間での遅れによりライバルメーカーのハイパーカーに匹敵するパフォーマンスを発揮できずにいた。
ジャンソニは、オリジナルの9X8と比べ性能の向上がサーキットによって異なるとしても、新しい9X8のパフォーマンスは全体的に安定したものになると考えている。
「タイヤの寸法やスティントでの安定性から得られる利益は、それほどトラックに依存しないと考えている。タイヤマネジメントと一貫性という点では、新車の方が優れているはずだ」と彼は語った。
「私たちは(サーキットの)レイアウトや路面の粗さ、バンピーさによって(従来のクルマの)パフォーマンスが大きく異なっていた理由のほとんどを特定した。我々はそれらの問題を解決しようと、自分たちが弱い部分の改善に取り組んだ」
「低速時のトラクションが不足していたが、これは主にタイヤサイズ(フロント、リヤともに31cm幅)のせいだった。だから、うまくいけばかなり改善されるはずだ」
「また、床下でダウンフォースを得るコンセプトが、バンピーなトラックで苦労していることもわかっている。私たちがより“平均的”になることでトラックレイアウトに対してクルマの性能がもっと強力になることを願っているよ」
アップデートされた9X8で旧バージョンの長所が失われることはないかと問われたジャンソニは、次のように答えた。
「タイヤの安定性がかなり良かったトラックもあったが、今はまだ未知の場所にいる。いくつかのイベントの後に伝えることができるだろう」
「タイヤマネジメントの面では、正直なところ旧車ではかなり良かったことがある。それはカタールでも見られた」
「以前とは異なる寸法のタイヤで、同じ安定性を達成するのがどれだけ難しいかは分からない」
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