FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長は、インターネット上での誹謗中傷に危機感を募らせており、これを打開するため「今こそ我々全員が団結し、行動する時だ」と訴えかけた。
今や日常生活には欠かせないモノとなったインターネット。しかし、これを誤った方向に活用する人たちがいるのもまた事実である。ネット上の、特にSNSには誹謗中傷のコメントが溢れ、中には個人を攻撃したり、脅迫文と言えるようなモノも少なくない。
■F1、ネット上の誹謗中傷撲滅へ向け新キャンペーンを開始「不届き者を叩き出すために協力を」
FIAのベン・スレイエム会長はこの状況を実に憂いており、motorsport.comに寄せたメッセージの中で、ネット上での誹謗中傷を直ちに止めるべきだと訴えた。
「最近、FIAの女性スチュワードのひとりであるシルビア・ベロットが殺害予告の対象となった。シルビアのようなボランティアや、我々のレースを実現するために時間を提供してくれるマーシャルやオフィシャルたちのようなボランティアが、憎しみの対象になっているのは、まったく嘆かわしいことだ」
ベン・スレイエム会長ははそう語った。
「多くのFIAのスタッフが、この数年で嫌がらせたヘイト的投稿の標的にされてきた」
「我々のボランティア、オフィシャル、そして従業員が、このような罵りを受けていることは、まったく容認できない。我々のスポーツに、そういうモノの居場所はない。我々の精神状態、そして我々が愛する人たちの精神状態に壊滅的な影響を与える」
「私は常に、スタッフやボランティアたちのために立ち上がる。ハッキリとさせておくが、彼らがいなければ、レースは成立し得ない。こういう状況で、誰がオフィシャルのトップを務めたいと思うだろうか? 事実は明らか……こういう状況が続けば、我々のスポーツは崩壊する」
「裁定を下す者、そしてFIAの会長として、下された決断に反対する人がいることはもちろん予想している。しかし、それらの意見やコメントは尊重されるべきだ。ただ、それはますます貴重になっている」
「協力的なアプローチによってのみ、我々のスポーツにおけるこの惨劇と闘う上で、ある程度の成功を収めることができる」
ベン・スレイエム会長は、次のようなことを推し進めていくことで、問題の解決を目指そうとしているという。
1. ソーシャルメディアプラットフォームとの対話を開始し、政府や他のスポーツの運営団体と協力し、共同での行動を行なうためのコミットメントを行なうこと。
2. FIAユニバーシティを通じて、このスポーツに特有のデジタルヘイトと有害な論評に関する研究を委託。これにより、知識の共有、教育、予防のためのプラットフォームを提供する。
3. Arwen.aiと提携し、彼らのAIソフトウェアを使って我々のチャンネルでの不正なコンテンツの検出と根絶を行なう。
またベン・スレイエム会長は、世界中の自動車連盟やモータースポーツ運営組織全体で、キャンペーンを行なっていく考えを示した。
「今後数ヵ月で、5大陸146ヵ国にある244の自動車及びスポーツ組織を擁する連盟全体の力と範囲を活用して、協調的なキャンペーンを始める」
「このキャンペーンは、Drive It Out(F1のネット上の誹謗中傷撲滅キャンペーン)のイニシアチブを通じて、FIAとF1による共同作業に基づいて構築される」
その詳細は、F1の今季最終戦アブダビGPの際に発表される予定のようだ。
「このスポーツへの情熱は高まっている。オンラインでの嫌がらせ、虐待、ヘイトスピーチは許されない」
「メディア、チーム、ドライバー、ファンなど、我々のスポーツに携わる誰もが、果たすべき役割を持っている。これを無視することはできない。私は、モータースポーツのエコシステム全体が立ち上がるように強く求める」
「我々はそれを叫ばねばならない。止めなければいけないのだ」
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