重要な市場に大きなインパクトを与える
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
「電気自動車が、世界的にこれほど強い見通しを持つとは、以前までは考えられませんでした」。フォルクスワーゲンの新CEO、ラルフ・ブラントシュテッターがID.4の発表にあわせて語った。彼は新しい市場をリードするという、野心的な思いにあふれている。
フォルクスワーゲンの純EV用サブブランド、ID.として2番目のモデルは、世界で最も成長の大きいSUV。ドイツのツヴィッカウ工場を皮切りに、3つの大陸の、5か所の工場で生産される、グローバルモデルだ。
英国でも2020年の末には発売が始まる予定。今回は生産版に近い、試作版ID.4の試乗機会を与えてくれた。
「ID.4は、欧州と中国、北米という最も重要な市場において、大きなインパクトを与えるでしょう。かなりの台数を見込んでいます」。と、ブラントシュテッターが話す。
2025年までに、年間150万台の純EVを販売するという目標を掲げる、フォルクスワーゲン。ID.4は、その鍵となるモデルだ。アウディQ4やシュコダ・エンヤクックなど、次期モデルのベースともなる。
コンパクト・ハッチバックのID.3と同様、土台とするのはEV用のMEBプラットフォーム。後輪駆動と四輪駆動が用意され、2種類のバッテリー容量が選べる。
当初登場するのは、148psと170ps、175ps、230psの4段階の最高出力が設定された、後輪駆動モデル。馬力の低い2モデルには52kWh、馬力の高い2モデルには77kWhの、リチウムイオンバッテリーが搭載される。
175psの後輪駆動で航続距離は519km
ベースグレードでは、50kWの充電器に対応。オプションとして、52kWhのバッテリーの場合、100kWまで、77kWhは125kWまでの充電器に対応できる。最もパワフルな充電器につなげば、どちらも約30分で320kmぶんの電気を充電できるという。
2021年には2種類の四輪駆動も登場する。そちらには77kWhのバッテリーと、2基のモーターが搭載される。小さなフロント・モーターとメインのリア・モーターが搭載され、265ps版のほか、トップグレードのGTXでは306psを獲得する見込み。
フォルクスワーゲンによれば、77kWhのバッテリーを積む175psの後輪駆動モデルの場合、WLTP値で519kmの航続距離を実現しているという。
ちなみに、64kWhのバッテリーを積むヒュンダイ・コナ・エレクトリックの航続距離は484km。62kWhのテスラ・モデルYでは、540kmとなっている。
今回試乗したプロトタイプは、軽い偽装が施されているが、基本的には2017年に発表されたID.クロス・コンセプトのデザインに近い。クロスオーバーらしい雰囲気と、純EVらしいプロポーションを備えた、モダンな見た目だ。
空気抵抗にも優れ、Cd値は0.26。SUVとしてはかなり優れている。
運転席側のドアが大きく開く。ボディと同色に塗られた高いサイドシルをまたいで、ID.4に乗り込む。
フラットな造形のダッシュボードには、5.3インチのメーター用モニターと、10.0インチのセンターモニターが備わる。オプションで、センターモニターは12.0インチに大きくできる。拡張現実を利用した、ヘッドアップ・ディスプレイも選べる。
必要以上に活発なほどトルクフル
バッテリーはフロアに敷き詰められている。シートの位置は高いが、それほど顕著でもない。フロアは完全にフラットだ。
車内は広々で、ティグアンより後部座席の足元にはゆとりがある。リアシートは40:20:40の分割で倒せ、実用性も高そうだ。開口部はやや高い位置にあるが、荷室も使いやすいだろう。
スターターボタンを押して、セレクターを回す。1段階回すと通常のドライブ・モードに入り、2段階回すと回生ブレーキを積極的に用いるバッテリー・モードになる。
ID.3で採用するコントローラーと同じもの。乗り始めからわかりやすい。
ほかに、エコ、コンフォート、スポーツ、インディビジュアルを選べるドライブ・モードがある。ステアリングやアクセルペダル、パワートレインやアダプティブ・ダンパーの設定を変えられる。
今回試乗したID.4は、最もパワフルな230psの後輪駆動。スロットルを軽く倒した瞬間から、31.6kg-mのトルクがタイヤへ伝わる。レスポンスもトラクションも、素晴らしい。
進み始めると、一定の加速度で速度を高めていく。正直、必要以上に活発だ。
高速道路の巡航速度になると、加速の勢いには少し陰りが出てくる。そのかわり、静かでリラックスした運転を味わえる。
後輪駆動モデルの最高速度は、160km/hでリミッターがかかる。フォルクスワーゲンは、まだ動的性能について数字を明らかにしていない。
通常のドライブ・モードでは、アクセルペダルを離すと、回生ブレーキを少し効かせながら惰性で進む。バッテリー・モードを選べば、ブレーキペダルに触れる必要はなくなる。
実用性も走りも優れた、違和感なく乗れるSUV
20km/hくらいから、歩行者へ近接を知らせる人口音が消え、ID.4はほぼ無音で走る。一番目立つのは、オプションの21インチ・タイヤが生むロードノイズ。ドアミラー付近からの、風切り音も聞こえてくる。タイヤの銘柄は、ブリヂストンのトランザだ。
走り味は、とても好印象。レシオの設定が良いステアリングは、重み付けも良く、路面からの情報を驚くほど多く手のひらに伝えてくれる。最小回転直径は10.2mと小さく、都市部での扱いやすさも、機敏さも、抜群に良い。
サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式。試乗車には、オプションのアダプティブ・ダンパーが付いていた。
操縦性は、後輪駆動らしい滑らかさがある。秀逸な横方向の姿勢制御は特長の1つ。スポーツモードでは、優れたグリップ力とトラクションを生かした走りが楽しめる。
21インチの扁平タイヤにも関わらず、コンフォート・モードでの乗り心地も、充分に納得できるものだった。技術水準の高さを感じ取れる。
日常的に利用できる純EVを考えているなら、フォルクスワーゲンID.4は、有力候補の1台に加えるべきだろう。実用性も走りも優れた、違和感なく乗れるSUVだ。航続距離も不足はないはず。
価格は未定だが、英国の場合は補助金適用後で、3万3000ポンド(462万円)程度になる見込み。フォルクスワーゲンID.4は純EVだけでなく、コンパクトSUVというカテゴリー全体に与えるインパクトも、大きいのではないだろうか。
フォルクスワーゲンID.4 77kWh プロトタイプのスペック
価格:3万3000ポンド(462万円/予想)
全長:-
全幅:-
全高:-
最高速度:160km/h
0-100km/h加速:-
航続距離:515km
CO2排出量:-
乾燥重量:-
パワートレイン:AC誘導同期モーター
バッテリー:77.0kWhリチウムイオン
最高出力:203ps
最大トルク:31.6kg-m
ギアボックス:シングルスピード・リダクション
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みんなのコメント
この能面みたいな顔、何とかならんか?