日産「エルグランド」やホンダ「オデッセイ」もある日本車のラージミニバン業界において、トヨタ「アルファード&ヴェルファイア」は2018年以降年間販売台数が10万台を超える王者に君臨し、ミニバン業界という枠を超えた「現代のクラウン」のような存在に成長している。
しかし、その売れ方はここ2年ほどでヴェルファイア優勢からアルファード優勢、アルファード圧勝と変化しており、当記事ではその背景や理由をディーラーへの取材も交えながら考察していく。
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文/永田恵一
写真/TOYOTA、編集部
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■アルファード&ヴェルファイアの歩んだ軌跡
●初代モデル(2002年5月)
初代アルファードは、2代目エスティマをベースに全高や高級感を高めたモデルで、高級ラージミニバンのパイオニアとして人気車となった日産「エルグランド」のライバル車として、エルグランドの2代目モデルが発表された翌日に登場。
2002年に登場した初代アルファード。モダンなエルグランドに対して、豪華さを前面に押し出したアルファード。プラットフォームは2代目エスティマのものを流用していた
ラージミニバンらしい押し出しのあるスタイルやFRレイアウトのエルグランドに対し、初代アルファードはFFレイアウトのフロアの低さによる室内高の高さや乗降性のよさなどを理由に2代目エルグランド相手に圧勝を納めた。
なお初代アルファードはグリルの違いだけではあるが、トヨペット店扱いのアルファードGとビスタ店扱い(2004年以降はネッツ店に統合)のアルファードVがあった。
●2代目モデル(2008年5月)
2代目モデルへのフルモデルチェンジはキープコンセプトとなるもので、この際にアルファードVは兄弟車となるヴェルファイアに移行した。アルファード&ヴェルファイアはヘッドライトやテールランプといったエクステリアの細部が違うだけの兄弟車だが、それぞれ「オーソドックスで重厚なアルファード、二段式となるヘッドライトやクリアテールによりアグレッシブなヴェルファイア」というキャラクターを持つ。
2008年にトヨペット店専売モデルとして登場した2代目アルファード。こちらは3代目エスティマとシャシーを共用していた
アルファードVに替わり、旧ビスタ店も含まれるネッツ店専売として登場した初代ヴェルファイア。二段式ヘッドライトなどの採用により、アルファードよりもアグレッシブなデザインだった
これはミドルハイトミニバンのノア三兄弟で例えれば、アルファードが当時の「ノア」、現在の「エスクァイア」、ヴェルファイアが「ヴォクシー」に近いキャラクターといえる。
なお、2代目アルファードが登場した際の月間販売目標台数はアルファード、ヴェルファイアともに3000台だった。
●3代目モデル(2015年1月)
アルファード&ヴェルファイアは、現行モデルへの以降の際もキープコンセプトでのフルモデルチェンジを行った。このときの月間販売目標台数はヴェルファイアもブランドイメージが根付いてきたことや、全国のディーラー数がトヨペット店/900店、旧ビスタ店も含まれるネッツ店/1400店(最近の店舗数)とネッツ店のほうが多いこともあり、アルファード/3000台、ヴェルファイア/4000台だった。
そして、大きな分かれ道となったのが2017年12月に行われたビッグマイナーチェンジである。この際の機能面での改良は日本トップクラスの性能を持つ自動ブレーキなどから構成される当時最新の予防安全装備パッケージとなるトヨタセーフティセンスの搭載や、3.5L V6エンジン搭載車の直噴エンジン化とATの6速から8速化などで、機能面に関しては当然ながらアルファード&ヴェルファイアともに共通だ。
2015年に姉妹車のヴェルファイアとともにフルモデルチェンジした3代目アルファード。こちらは前期型で、まだヴェルファイアと比べると、おとなしいフロントマスクだった
初代よりもバンパーデザインがアグレッシブになった2代目ヴェルファイア。前期型まではヴェルファイアのほうが売れていた
しかし、エクステリアに関してはヴェルファイアがフロントバンパーのコーナーにメッキのガーニッシュが追加された程度で比較的小さな変更だったのに対し、アルファードは上下二段式のように見えるヘッドライトやより押し出しの強いグリルの採用、エアロ系グレードにヴェルファイア同様のフロントバンパーのコーナー部のメッキのガーニッシュが付くなど、かなり印象が変わった。
なお、このときの月間販売目標台数はアルファード/3600台、ヴェルファイア/4500台だった。
■アルファード&ヴェルファイアの販売台数の推移
ヴェルファイアが加わった2008年以降のアルファード&ヴェルファイアの販売台数の推移は以下の通りである。
2008~2020年の年間販売台数表
2017年までは前述した月間販売目標台数でトヨタが想定したとおり、ヴェルファイアが優勢だった。
しかし、ビッグマイナーチェンジされた現行型3代目モデルのデリバリーが始まった2018年以降はアルファードが優勢となり、年を追うごとにアルファードとヴェルファイアの差は広がるいっぽうである。
特に2020年に入ってからは、3月まではヴェルファイアもアルファードの3分の1程度は売れていたものの、4月以降その差はさらに広がっており、現在のヴェルファイアの販売台数はアルファードの10分の1に近いという強烈な形勢逆転が起きている。
2020年の1~10月の販売台数表
■なぜこんなに差が開いたのか!?
アルファードとヴェルファイアは実質的に同じクルマなうえに、ヴェルファイアは前述したようにディーラー数が多かったネッツ店扱いなのに、ビッグマイナーチェンジ以降にアルファード優勢になった理由は、エクステリアのデザインに尽きる。
確かにビッグマイナーチェンジによる新鮮さ、新車効果は変化の大きいアルファードのほうが強かったのに加え、アルファード&ヴェルファイアにクラウン的な要素がより求められるようになってくると、クラウン的なのはアルファードのほうだろう。
2017年12月のマイナーチェンジで、フロントの意匠を大幅変更したアルファード(写真右)。このマイナーチェンジで2台の勢力図は一変することになった
さらにヴェルファイアに対して追い打ちを掛けるように、2020年4月からは2019年4月から東京地区のトヨタディーラーで始まった、原則全ディーラー全車種扱いが全国展開となった。
ディーラーに聞いてみると、これにより原則全ディーラー全車種扱いが始まる前は、ヴェルファイアの既存ユーザーが本当はビッグマイナーチェンジ後のアルファードに乗り換えたかったとしても、「今までのお付き合いもあるからヴェルファイアからヴェルファイアでもいいか」とヴェルファイアを選ぶケースもそれなりにあったという。
しかし、原則全ディーラー全車種扱いとなれば、今までのお付き合いはそのままにアルファードに乗り換えることも可能となり、アルファードが圧勝となるのもよくわかる。
なお、ここまでアルファードの圧勝となっているのを見ると「アルファードのほうにディーラーの力が入っているのではないか?」という気もしてしまうが、ディーラーに聞いてみると「特にそういったことはなく、お客様から指定のあったほうで商談を進めます。ただ、お客様がアルファードとヴェルファイアで迷われている場合には『リセールバリューなどアルファードのほうが何かと無難では』とアドバイスし、結果的にアルファードで商談を進めるというケースはあります」という声もあった。
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■まとめ
トヨタの原則全ディーラー全車種扱いの開始により、アルファード&ヴェルファイアのどちらかがなくなることは決定的だったにせよ、2018年あたりまでは「伝統のアルファードと、売れているヴェルファイアのどちらを残すか」というテーマは難しい課題だったように思う。
しかし、アルファード&ヴェルファイアの販売台数がここまで大きな差が付き、残るのはほぼアルファードという状況になっていることには、デザインがクルマの販売に与える影響の大きさを改めて痛感する。
同時に、ビッグマイナーチェンジ後のアルファード&ヴェルファイアの明暗は、歴史に残る「クルマ界の骨肉の争い(社内での競合)」として、今後話題になることも増えるのではないだろうか。
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