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いろんな意味で「尖った」クルマ ウェッジシェイプの名車・迷車 19選 

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いろんな意味で「尖った」クルマ ウェッジシェイプの名車・迷車 19選 

心に刺さるシャープなクルマ

自動車デザインにおける流派の1つがウェッジシェイプだ。中には奇抜なものもあるが、傑出したモデルを数多く生み出したのは確かで、その要素は現代のクルマにも活かされている。

【画像】ウェッジシェイプの名モデル【カウンタック、MR2、デロリアンを写真で見る】 全98枚

ここでは、ウェッジデザインの傑作と失敗作を、アルファベット順に紹介しよう。

AC 3000ME

AC 3000MEは、そのスタイリングと同じくらい複雑なストーリーを持つモデルである。1968年に構想され、1972年にオースチン・マキシから流用した1.5Lエンジンをミドマウントするプロトタイプ「ボハナ・ステイブルズ・ディアブロ」としてデビューした。

ACのキース・ジャッド氏は、このクルマに未来があると考え、1973年に3.0LのフォードV6エンジンを搭載し、高いパフォーマンスを発揮するモデルを発表した。しかし、ACがこれを発売するのは1979年になってからのことだった。

こうして生まれた3000MEは高価で、しかも低重心のルックスとは裏腹に足が遅すぎた。1984年にグラスゴーにある新会社AC(スコットランド)に売却されるまで、ACから販売されている。当時も今も、この個性的なウェッジシェイプは希少な存在である。

アストン マーティン・ラゴンダ

ウィリアム・タウンズ(1936~1993年)はウェッジシェイプ・デザインの主役の1人であり、1976年に発表したアストン マーティン・ラゴンダは、その妥協のない実例である。1972年に発売されたラゴンダをベースにしたこのモデルは、1976年に市場投入される予定だったが、当時としては先進的なエレクトロニクスを搭載していたため、生産に2年の遅れが生じた。

ラゴンダを手に入れたオーナーは、信頼性の低さに悩まされながらも、快活なパフォーマンスを享受した。1987年のマイナーチェンジでは、角張ったラインがわずかに緩和されたものの、1990年まで生産された。

オースチン・プリンセス

1975年に「18-22」として公開されたこのモデルは、1976年に「プリンセス」となり、売れ筋のフォード・コルチナに対するオースチンの回答であった。モリスやウーズレーからもリバッジされたモデルが登場したが、いずれも4ドアであることは同じ。1982年にハッチバック仕様が導入され、アンバサダーと呼ばれるさらに劣悪なモデルへと変貌を遂げた。

アンバサダーの利点は、品質が大幅に改善されたことである。しかし、ウェッジシェイプとシャープなラインは、同年に発売された大胆な“ゼリー型”のフォード・シエラに惹かれるユーザーの希望とは相容れないものであった。

ビッターSC

ドイツのコーチビルダー、ビッター(Bitter)は、ベースとなったオペル・セネターに大きく手を加えた。ドライブトレイン、サスペンション、バルクヘッドを含む基本的なプラットフォームのみを継承し、それ以外はすべてオーダーメイド。BMWやメルセデスのハイエンドモデルに匹敵するビッターSCのクーペ、コンバーチブル、セダンを製作したのだ。

創業者のエーリッヒ・ビッター(1933年生まれ)は、フェラーリ400iからヒントを得て、これらのスタイリングを担当した。ハンサムなモデルだが、米国に導入して売り上げを伸ばそうという計画は頓挫した。そのため、SCの販売は1979年から1989年まで続けられていたにも関わらず、全モデル合わせて500台以下しか製造されていない。

シトロエンBX

シトロエンBXのリアホイールフェンダーを見れば、このクルマがランボルギーニ・カウンタックを手がけたマルチェロ・ガンディーニ(1938年生まれ)のデザインであることがわかるはずだ。そのトレードマークともいえるフェンダーの形状は、全体を構成する妥協なきウェッジシェイプと同様に、BXの本質を表している。

また、ボンネットやテールゲートに樹脂を使用するなど、保守的な市場に対して大胆なスタイリングが施されている。ワゴン仕様はさらに挑戦的なデザインであったが、その賭けは成功し、230万台が販売された。

クラン・クルセイダー

ロータスのジョン・フレイリング(2021年6月に94歳で死去)とポール・ハウザウアーは、1970年代前半にロータスが高級志向に走る中で、そのギャップを埋める手頃な小型スポーツカーを製造するためにクラン(Clan)社を立ち上げた。そこで生まれたクルセイダーは、すっきりとしたウェッジシェイプで空力特性に優れ、ボディも軽量。ヒルマン・インプのエンジンを最大限に活用できた。

ボディは非常に丈夫なグラスファイバーで、風通しの良いキャビンを備え、品質も良好だった。しかし、1973年に税金が増えたため、クランは1974年に消滅する。この魅力的な小型クーペは、倒産時点で315台が生産されていた。その後、ブランド復活の試みもあったが、すべて失敗に終わっている。

デロリアンDMC-12

デロリアンの計画は失敗したが、イタルデザインがデザインしたルックスのおかげで、DMC-12は当時としては大胆なクルマとなった。ステンレススチールという、変形しにくい素材を採用していることもあり、あまりウェッジの効いたデザインではないものの、流派の一員であることは確かだ。

このスタイリングは多くのファンを魅了し、1981年から1982年にかけて約1万台が販売された。しかし、PRV(プジョー・ルノー・ボルボによる共同開発)のV6エンジンの性能は低く、ハンドリングの悪さもあり、たとえ映画の主役であったとしても、不遇の存在となったのである。

フェラーリ365 GT4

フェラーリは、デイトナのフロントエンドをはじめ、すでにウェッジシェイプに取り組んでいた。しかし、このデザインの旗手は、1972年に登場した365 GT4である。ピニンファリーナが手がけたこのモデルは、それまでの曲線美から大きく脱却し、1990年代まで続くデザインの方向性を決定づけた。

このルックスのおかげで、4人乗りのキャビンはより広々としたものになった。後に400、412とパワーアップしていったが、シンプルなシルエットは変わらない。

フィアットX1/9

多くの人がMGミジェットやトライアンフ・スピットファイアを買う中、フィアットはもっとモダンな路線があると考え、X1/9という完璧なウェッジを作り上げた。ポップアップ式のヘッドライトでフロントを低くすっきりさせ、タルガ・ルーフでスポーツ性を高めたシンプルなルックスだ。

その性能は速いというより爽快なものだったが、ライバルと同じように、すぐに欧米で熱心なファンを見つけることができた。17年間の生産期間中に18万台が販売され、ウェッジスタイルの魅力が証明された。

インタースタイル・ハスラー

ハスラーは、ウィリアム・タウンズ率いるインタースタイル(Interstyl)社がジェンセンのためにデザインしたモデルが却下されたことをきっかけに生まれた。タウンズはこのアイデアを棚上げにすることなく、生産に移し、ミニをベースにした自作キットとして販売した。

このデザインは幅広い用途に適しており、4輪や6輪などさまざまなボディスタイルとサイズで作られた。ジャガーXJ12をベースにした「ハイランダー」や、ボディがすべて木でできているモデルもあった。

ランボルギーニ・カウンタック

ランボルギーニ・ミウラが「スーパーカー」の名を世に知らしめ、カウンタックはすべてのクルマの基準となった。マルチェロ・ガンディーニが手がけたこのモデルは、ウェッジノーズの形状を最大限に生かし、駐車していても160km/hで走っているかのように見える。また、カウンタックはミウラよりも高速走行時の安定性が高い(ミウラは160km/hを超えたあたりからステアリングが非常に軽くなるという危うい特性を持っていた)。

ランボルギーニの上級モデルのトレードマークとなったシザードアによって、ガンディーニはカウンタックのウェッジスライスの形状を強調している。年月を経るにつれ、ウィングやスクープ、バルジが増えていったが、基本的な輪郭は16年間の生産期間中不変であり、誰が見ても一目でそれとわかるスーパーカーとなった。

パンサー・レイザー

パンサー・レイザー(Panther Lazer)は、わずか1台しか登録されていないのも不思議ではない。その極端なウェッジ形状は、同社のボス、ロバート・ヤンケル(1938~2005年)の作品で、「スーパー・ビーチバギー」と称された。3座シート(横に3人並ぶスタイル)の採用など、他と違うことをしようとするあまり、顧客を見つけることができなくなってしまった。

矢印のような奇抜なボディの中身は、ジャガーXJのコンポーネントを頑丈なスチール製シャシーに取り付けた、比較的オーソドックスなものだ。レイザーは失敗に終わったが、ヤンケルは「リマ」や「カリスタ」といったレトロ調のロードスターで成功を収めている。

ポンティアック・フィエロ

しばしば揶揄されるポンティアック・フィエロだが、その大胆さは少しは評価されるべきだろう。ハルキ・アルディカクティとジョージ・ミリドラグが手がけたそのスタイリングは、明らかにフィアットX1/9の影響を受けており、すっきりとしたシンプルなウェッジシェイプを実現している。また、米国の自動車メーカーで初めて量産されたミドエンジンのスポーツカーでもある。

しかし、米国ではフィエロの存在感は薄く、その主な理由は2.5L V6エンジンにあった。当時としては優れた空力特性を持つフォルムであったにもかかわらず、最高出力93ps、最高速度は158km/hと控えめだった。140psに強化した2.8Lエンジンも用意されたが、結局5年間の販売台数は35万5000台にとどまり、ゼネラルモーターズは大きな損失を出したのである。

リライアント・シミターSS1

マツダ・ロードスターに先駆けて発売されたリライアント・シミターSS1は、小型オープンスポーツカー市場を独り占めできるはずだった。しかし、垂れ下がるようなウェッジスタイルに抵抗があったのか、顧客の多くはホットハッチを選択した。これはイタリア人デザイナー、ジョバンニ・ミケロッティ(1921~1980年)の作品だが、彼の最高傑作とは言い難い。

1992年、リライアントは改良を加えてセイバーとし、より滑らかなラインと日産シルビアの1.8Lターボエンジンをオプションで導入した。しかし、1989年にマツダ・ロードスターが登場したこともあり、遅きに失した感は否めない。

スバルXT

1985年、スバルXTは、同社の意思表示として大きな足跡を残した。XTは、堅実ではあるが退屈なセダン、ワゴン、ピックアップなどからスバルを前進させたモデルである。ポルシェ924 Sとほぼ同じ価格の、ウェッジシェイプのクーペの登場だ。

スバルは4輪駆動を標準装備し、1.8Lフラット4エンジンを搭載して、0-97km/h加速9.5秒という立派な性能を実現し、価格を正当化した。さらに興味深いのは、フラッシュ式のドアハンドルや、ボンネットラインの下に隠れるシングルワイパーなどのディテールである。その結果、空気抵抗を表すCd値は0.29となり、ウェッジスタイルの効率の良さが証明された。

トヨタMR2

トヨタのデザイナーは、低いノーズ、ポップアップ式のヘッドライト、角ばったルックスなど、ウェッジカーのデザインをすべて取り入れながら、このコンパクトスポーツカーに独特のフォルムを作り出した。また、ミドシップエンジンを採用したことで、小さなプロポーションのMR2にアグレッシブな存在感を与えている。

この初代MR2は、1984年から1989年までの5年間に16万6104台が販売され、トヨタの大ヒットモデルとなった。そのほとんどが最高出力124psの1.6L通常吸気エンジンを搭載していたが、米国では147psのスーパーチャージャー付きモデルも販売された。

トライアンフTR7

ハリス・マンが手がけたウェッジスタイルのTR7は、それまでのスポーティなロードスターのTRとは一線を画すモデルである。まず、1975年の発売当初は、トライアンフの主要市場であった米国でオープントップが禁止されることを懸念して、クーペのみの設定となった。

1979年にコンバーチブル仕様が登場し、その形状はウェッジデザインとの相性も良かったが、当時TR7は信頼性と品質に問題が生じ、末期のスランプに陥っていた。販売台数は11万2368台で、1980年にローバーV8を搭載し発売されたTR8も2497台しか売れなかった。

TVRタスミン

オリバー・ウィンターボトムのデザインによるタスミンは、TVRによるウェッジスポーツカーの初期のモデルであった。それまでの曲線的なモデルとは趣を異にしていたが、強靭なスチール製シャシーとダブルウィッシュボーン・サスペンションは健在だった。

発売当初はフォードのV6エンジン、あるいは2.0L 4気筒のピントエンジン(200モデル)を搭載していたが、やがてローバーV8を積んだ350iが姿を現す。ライフサイクルを通して排気量とパワーを増していき、最終的に最高出力330psの450 SEACが誕生。わずかに滑らかなラインと巨大なリアウィングを持つ究極のモデルとなった。

ボルボ480 ES

ボルボ480 ESは、1970年代に発売されたスポーツワゴンの1800 ESを1980年代にアレンジしたモデルである。ジョン・デ・フリースによるウェッジスタイルを採用し、440セダンと同じプラットフォームでオランダで生産された。ポップアップ式のヘッドライトでウェッジスタイルを強調し、リアはガラス窓とハッチの組み合わせで、当時のボルボ車とは一線を画していた。

ルノー製エンジンの性能は平凡だったが、1985年から1995年の間に8万464台が生産されるなど、小規模だが忠実なファンがいた。さらに重要なのは、480がボルボで初めて衝撃吸収バンパーをデザインに組み込んだパイオニアであることだ。

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みんなのコメント

7件
  • 市販はされなかったが「童夢 零」もかなりのウェッジシェイプだったね。
  • 国産ウェッジシェイプといえばアルシオーネ(初代)でしょう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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