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究極のビスポーク「ベントレー マリナー バカラル」完全レポート! 豪華なバルケッタの実態とは

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究極のビスポーク「ベントレー マリナー バカラル」完全レポート! 豪華なバルケッタの実態とは

Bentley Mulliner Bacalar

ベントレー マリナー バカラル

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幻のジュネーブ・ショーで発表予定だったバカラルと邂逅

それはベントレーに招かれ、本社のあるクルーを中心に、さまざまなプログラムを楽しんでいた時のこと。その日は最も多くのプログラムが用意されたタフな一日だったのだが、コロナ・ウイルスの影響に伴ってスケジュールはすでに何回も変更されていた。

とりあえずその時は、スケジュールにあったとおりクルーの本社工場内のコンチネンタルとフライングスパーのアッセンブリー・ラインを見学していたのだが、現代の工場らしく静かな工場の中に何やら興奮気味であることを隠せないスタッフが集まるブースがあることを見つけた。

そのブースにあったのは、本来ならばジュネーブ・ショーでワールドプレミアされる予定だった、ベントレーのパーソナリゼーション部門・マリナーが中心的な存在を果たして企画及び製作された限定車「バカラル」。何事もなくジュネーブ・ショーが開催されていれば、おそらくは今年のジュネーブ・ショーの華のひとつとして語られていたはずだ。バカラルとはメキシコのユカタン半島にある美しい湖の名で、目の前にあるバカラルは、まさにその湖に静かに浮かぶ小舟のようにも見える。

マリナーのコーチビルド部門が開発した特別車

これまでひとつの組織だったマリナーは最近その内部が再編され、「クラシック」、「コレクション」、そして「コーチビルド」の各部門に分割されることになった。コレクションはベントレーのプロダクションモデルをベースとした特別仕様車や、カスタマーのリクエストに応じたオーダーメイドを。クラシックはその名のとおりレストアを担当する部門。そしてコーチビルドはこのバカラルのような限定生産車を生み出すマリナーの中でも最も革新的な部門で、今後の事業規模拡大には最も大きな影響力を持つ部門とされる。その第一作となったのが、このバカラルというわけなのだ。

バカラルは、昨年発表されたベントレーの創立100周年記念を祝うコンセプトカー、「EXP 100 GT」から、多くのインスピレーションを得てデザインされている。そのコンセプトはイタリア語で小さな舟を意味するバルケッタ、しかも最新技術が満載されたバルケッタなのだとデザイン担当役員のステファン・ジーラフは語る。

コンチネンタル GTCをベースとするも共通部分はドアハンドルのみ

外からもダイレクトに視界に飛び込むキャビンは、スペース的には2シーターとしては十分な余裕を持つもの。ローティングディスプレイを始めとする現代的で機能的な装備やスイッチ類からも想像できるように、このバカラルは現行コンチネンタル GTCのW型12気筒エンジン搭載車をベースとしているが、エクステリアで両車に共通するパートは左右のドアハンドルのみ。これはキーレスでのエントリーやロックなどを装備するための選択だったのだという。もちろんバルケッタの名のとおり、雨風をしのぐトップなどは一切備わらない。

搭載される6.0リッターW型12気筒TSIエンジンは、659psの最高出力と900Nmの最大トルクを誇る。トランスミッションは8速のデュアルクラッチ式で、AWDシステムを採用することで通常は後輪駆動をベースとしながらも最適な前後輪へのトルク配分を瞬時に実現する。その走りがコンチネンタルGTC以上に過激で、また刺激的なものであることは、エクステリアのデザインにも見事に表現されている。

ちなみにジーラフによればボディパネルの一部にはCFRPが使用されており、それが軽量化とともにシャープなキャラクターラインを生み出すことを可能にした大きな理由になっているという。実際に見るバカラルのボディは、確かにラグジュアリーな感覚よりもスポーティな印象を強く抱かせてくれる。複雑なデザインの22インチ径のホイールも、このバカラルのデザイン、そして走りにはベストマッチしている。

世界限定12台。そのすべてが既に売約済み

エクステリアの美しさに感動した後に、もう一度インテリアのフィニッシュに目を向けてみた。これぞまさにマリナーの伝統であり真骨頂ともいうべき多くの手作業を経て作り出されるインテリアは、天然ウールの一種であるウーレンと、泥炭沼地の中から発見された5000年以上も前の倒木・リバーウッドが使用された、実にシックなフィニッシュだった。

シート後方には荷物を収納するためのラゲッジスペースが備わっており、ここにはやはりマリナー製のトランクを収めることもできる。バカラルのフィニッシュ、それを目前にして興奮を抑えられない者が、はたしてどこにいるというのか。

バカラルの生産台数は、わずかに12台だ。もちろん、そのすべてにカスタマーが既に決定しており、何人かのカスタマーは実際にここクルー工場を訪れ、この場所で実車の確認や仕様を決定したという。ベントレーの次なる100年に合わせて新たなスタートを切ったマリナーの将来。そこからは次々に魅力的な話題が発信されるのだろう。もちろん世界がそれを待っているのは確かだ。

REPORT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

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