SUVブームの今、新型ばかりではなく旧型も注目されている。そこで、モータージャーナリストの小川フミオが今、乗りたい「ちょっと古い」SUVを5台ピックアップ! 新車当時の思い出とともに振り返る。
ネオクラシックSUVの魅力とは?
“七転び八起き”の110年! アルファロメオの“波瀾万丈”とは?
フツウのSUVに飽きたら、みんなが乗っていないモデルを探すのも“アリ”だ。そもそもSUVの歴史は長く、軍事用の「ジープ」まで含むと、1945年にまで遡る。
ジープのあと、「ランドローバー」(1948年)やインターナショナル・ハーベスターの「スカウト」(1961年)、フォルクスワーゲン「181」(1968年)など、各国にさまざまなモデルが登場した。いずれも年式が古くても、中古市場で人気が衰えていないのが特徴だ。
ジープを例にとっても、もっとも好ましいモデルはなにか? となると、1959年にアメリカンモータースが作ったアルミニウムボディの「M422マイティマイト」がいい、とか、一般的な使い勝手では寿命の長かった「CJ5」(1955年)が1番! とか議論は白熱するはず。
ことは「レンジローバー」も同様だ。高速走行を含むふだん使いを重視するなら、サスペンションにスタイビライザーをくわえた1990年以降のモデルがいい。でも、荒れ地での走行性をフルに味わうには、サスペンション・ストロークがうんと長い、それ以前のモデルで、しかもオリジナルデザインの2ドアがいい! なんていう意見もあったりする。
そこまでマニアックにならなくても、1980年~1990年代に登場した“ネオクラシック“SUVには、けっこう魅力的なモデルが揃っている。いまも街中でときどきみかけたりするぐらいだ。ということは、機関の状態がいいモデルがみつかる可能性も大である。
そこで、比較的古いSUVのなかでも、”これなんかいいんじゃないかな”という、お勧めしたいモデルを紹介してみよう。
・メルセデス・ベンツ「Gクラスカブリオ」
Vier Jahrzehnte G-schichte: Mercedes-Benz G-Klasse: Seit 1979 stilsicher durchs GeländeFour decades of G history: Mercedes-Benz G-Class: mastering terrain with an assured sense of style since 1979ショートホイール・ベースの車台に、ファブリックの幌を備えたG クラスの派生車種。1997年に3.2リッター直列6気筒ガソリン・エンジン搭載の「G320カブリオ」が、1998年に5.0リッターV型8気筒ガソリン・エンジンの「G500カブリオ」が発売されている。
ニッチな車種だけれど、本来、軍事作戦に使われる車両は、乗り降りがとっさに出来るフルオープン仕様のケースが多い。Gクラスはそもそも軍事車両として開発されたから、オープン仕様も違和感なし。
この時期のGクラスはだいぶ運転が楽になっていて、アクセルペダルを踏み続けていてもなかなか加速しないので、ふくらはぎがけいれんを起こしそうになる、というようなことはない。思いきってオープンにすれば、開放感抜群! かなり雰囲気がいい。操縦もしやすくなっているし、スタイリッシュさからいえば、2ドアのショートホイールベース版とともに、いまもっとも好ましいモデルといえる。しかも、現行Gクラスには設定されていないから、希少性も高い。
・ジープ「チェロキー」(2代目)
日本で「チェロキー」というと、1984年登場の2代目にトドメをさす。といっても、最新の「チェロキー」および「グランドチェロキー」も今なお人気は高いけれど。
そもそもチェロキーは「グランドワゴニア」の2ドア版として世に出た。2代目にモデルチェンジしたとき、ワゴニアとの縁は切れて、フレームシャシーからモノコックになった。スタイルも、直線基調の、“機能主義”をうまく活かしたスタイリッシュなものに変わった。
搭載するエンジンは4.0リッター直列6気筒ガソリン。トルキーで、いいかんじのエンジンだった。ステアリングの味付けは、意外なほどシャープ。さすが、初代モデルで史上初の「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」という言葉を使っただけのことはある。
内装もシンプルだけど、味がある。これも魅力的。ある時期のモデルは、アメリカのカバンブランド「ハートマン」のツイードを思わせるファブリック張り。「アメリカって、旅行者のためにいい製品を作ってくれる国なんだなぁ」と、よくわかったのが思い出される。
いまでもスタイルは魅力的だ。街で見かけると”いいなぁ”と、思う。日本ではほとんど4ドア・ボディであるが、実際はこの手の”トラック”の常として、2プラス2なみで、後席は緊急用である。なので見つかるなら、2ドアがより好ましい。リアクオーターウィンドウが大きいスタイルは独創的でかっこいい。
・ランドローバー「ディスカバリー」(初代)
1989年に発表された初代「ディスカバリー」。中身はレンジローバーのパーツを多用しているが、ボディのコンセプトは斬新だった。
とりわけレンジローバーの弱点だった後席スペースを拡げたのは画期的だった。それからオプションで、荷室内にプラス2名ぶんのシートの装着が可能だったのも、機能を第一に考えたディスカバリーの特徴だ。
スタイリングは、やはり機能主義的だが、2段式のルーフなど、個性がうまく盛り込まれている。いっぽうで、ルーフの後端部に設けられたアルパインウィンドウは、ランドローバー(ディフェンダーシリーズ)とのつながりを感じさせた。
インテリアを担当したのは、コンランショップで知られるテレンス・コンラン氏の次男にあたるファッションデザイナーのジャスパー・コンラン氏。とくにファブリック・シートは、色づかいも、粗く編んだような風合いもとても好ましいものだった。センターコンソールにはシートとおなじ素材でつくられた、取り外し式のハンディバッグも備わっていた。
私はオーストラリア・ケアンズでおこなわれた試乗会に参加した。このときはオフロード中心のコースで、ランドローバー開発陣の悪路走破性に対する自信ぶりがよくわかった。日本では2.5リッター直列4気筒ディーゼルと、3.5リッターV型8気筒ガソリンで展開。のちにV8の排気量は3.9リッターに拡大された。
全高は2mになんなんとするものの、全長4.5m、全幅1.8mと、日本の市街地でも扱いやすいサイズ。じつは当時、この軽快感あるスタイルのクルマに、4.0リッターちかいV8エンジン搭載という組み合わせが、ミスマッチ感(やりすぎ感)があって、いまひとつ納得できなかった。
いま乗ったら、この大きなエンジンのぜいたくさを堪能するのがいい。レンジローバーもこのアルミニウムブロックのV8だった。低回転域のトルクがたっぷりあって、ぐいぐいと力強い加速感がたっぷり味わえる。
・日産「テラノ」(初代)
1986年発売の初代「テラノ」に乗ろうというなら、ぜひとも2ドアを選んでほしい。当時NDI(日産デザインインターナショナル/現・日産デザインアメリカ)が手がけた、シャープな印象のウィンドウグラフィックを持ったスタイリングは、2ドア版がベストだからだ。
シャシーはなんと、ダットサントラックのものをべースにしており、ラダーフレームだ。スタイリングはクールであるが、内容は旧態依然としている。そういう過渡的な時代だったのだ。
フロントサスペンションなどもダットサントラックと共用。ただしリアは、減衰力が2段階で変えられるダンパー仕様もあった。とはいえ、テラノの走りに感心した記憶はあまりない。
それでも、いまテラノに乗るのは、おおいに“アリ”と、思う。あえてぶ厚く見せているボンネット、ピックアップトラックのキャノピーを連想させる長いルーフと大きなリアクオーターウィンドウなどがかえって新鮮だ。
1993年に追加されたワイドボディ版や、派手な車体の塗り分けは、当初からのデザインコンセプトにそぐわないので、個人的には避けたい。ブリスターフェンダーの存在も目立たせたいなら、ユニカラー(単色)がいちばん。と、こんなことをいろいろ考えさせてくれるのが、初代テラノの魅力だ。
・シボレー「ブレイザー」(2代目)
シボレーのSUV「ブレイザー」は、1969年登場のフルサイズ版「K5」と、1983年に登場したコンパクト版「S-10」がある。日本では、当時ゼネラルモーターズの輸入代理店をつとめていたヤナセが、1990年からS-10を販売した。
日本でヒットしたのは2代目のS-10ブレイザー。4.3リッターV型6気筒ガソリン・エンジン搭載の4ドアモデルが輸入されていた。ただしチェロキーのところで触れたように、米国車のつねとして後席のシートは小さく、居心地はそれほどよくない。
いまでこそSUVを2プラス2のように使うひとも出てきたが(日本のはなし)、当時は、そういうアイディアはなかった。あまり使い勝手のよくない後席は中途半端に思えたものだ。丸みを帯びたスタイリングも、妙に乗用車めいていて、これも中途半端に感じられたのは事実。ただ、コストパフォーマンスには優れていた。300万円で大型エンジン搭載のSUVが購入出来たから当時はそこそこ売れた。
エンジンも、低回転域からどっとトルクが出るわけでもなく、かといってスポーティにまわして走る性格でもない。同時期にヤナセで販売されていた、より大型の「タホ」のほうがキャラクターがはっきりしていた。
米国ではブレイザーブランドは連綿と続いている。ただし最新モデルは、トヨタ「RAV4」のようなエモーショナルなデザインに変身してしまった。その点では、2代目S-10ブレイザーのほうが個性ははっきりしている。おおらかなアメ車のSUVを求める人にはアリな選択だろう。しかも、流通している個体はほとんど右ハンドル仕様なのも、日本で乗るには嬉しい。
文・小川フミオ
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
ついにトヨタ「新型セリカ」復活!? 次期8代目登場か… 中嶋副社長「セリカ、やっちゃいます。」宣言! 会長も後押し!? ラリージャパンで語られたコトとは
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
一般車両侵入でSS12中止のラリージャパン、主催者に約800万円の罰金! 執行猶予付き1600万円の追加罰金も
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
緊急避難なら駐車違反が罰せられないなら「腹痛で路駐してトイレに駆け込んだ」ってあり? 違反が免除されるケースとは
レクサス新型「小型スポーツカー」がスゴい! “テンロクターボ”×初の6速MTを搭載! 最小SUV「LBX MORIZO RR」どんなモデル?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント