現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > レースも市販車も! 2023年は日本バイク界のカーボンニュートラル元年に……〈多事走論〉from Nom

ここから本文です

レースも市販車も! 2023年は日本バイク界のカーボンニュートラル元年に……〈多事走論〉from Nom

掲載 5
レースも市販車も! 2023年は日本バイク界のカーボンニュートラル元年に……〈多事走論〉from Nom

交換式バッテリーに対する4メーカーの動向は?

JAFが現在のガソリン高騰に対して声明を発表! この機会に、ガソリン価格について真剣に考えてみよう……〈多事走論〉from Nom

国内4メーカーとMFJは、来シーズンから全日本ロードレース・JSB1000クラスにおいて100%非化石燃料のバイオ燃料を採用すると発表しました。これはMotoGPよりも早い採用となり、日本車のお膝元から“カーボンニュートラル時代をリードしていこう”という意志を感じさせます。ネックになりそうなのは価格ですが──。

●文:Nom(埜邑博道) ●写真:Gachaco、MFJ、ホンダ、ヤマハ、カワサキ ●取材協力:Gachaco

来年からJSB1000クラスが100%非化石燃料を導入する!

現在、発売中のヤングマシン12月号に掲載しているMFJ鈴木会長のインタビュー記事(SDGs 持続可能なバイクライフ――トップたちの提言)で、鈴木会長がレースの世界でのカーボンニュートラル(以下CN)の取組みとして100%非化石燃料をできるだけ早期に導入したいと語ってくださいましたが、全日本ロードレース最終戦MFJグランプリが開催中の11月5日(土曜日)、鈴鹿サーキットでホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの国内4メーカーとMFJが、来シーズンから全日本選手権ロードレースの最高峰であるJSB1000クラスに再生可能原料を使用した100%非化石燃料のバイオ燃料(名称はETS Renewa Blaze NIHON R100)を採用すると発表しました。

―― 全日本ロードレースの最高峰クラスであるJSB1000。来シーズンから再生可能な100%非化石燃料のバイオ燃料を使用することが決定。レースの世界も持続可能なスポーツとなるためにCNに本格的な取組を始めることになる。

―― 11月5日に鈴鹿サーキットで、国内4メーカーとMFJ、そして燃料メーカーのハルターマン・カーレス・ジャパンの責任者/担当者が出席して記者会見が行われ、来シーズンからJSB1000クラスに100%非化石燃料のバイオ燃料を導入することが発表された。

これはとても画期的なことで、ご存じのように国内外のレースにおいてもCNへの取組は進んでいて(下の表参照)、二輪レースの最高峰であるMotoGPも2024年に40%の非化石燃料を混合した燃料を採用するとしていますが、日本のJSBレースはいきなり100%非化石燃料を採用するというわけです。

―― モータースポーツもCNへの取組を求められていて、表のように多くのカテゴリーのレースが非化石燃料の導入を予定していて、適用を開始するタイミングを公表している。今年から100%非化石燃料を使用しているWRCを除くと、JSB1000とスーパーGTの素早い取組が際立っている。

四輪のEV化も諸外国に比べて遅れているなど、CNに対する取組もまだまだ不十分であると国際的に批判されている日本にあって、レースという限られた世界ではありますが、いち早く100%非化石燃料を採用するというのはなんだか誇らしい気持ちになりますね。

原材料は木片や藁のバイオマス、ネックは価格の高さだ

この記者会見に出席した燃料メーカーの「ハルターマン・カーレス・ジャパン社」(以下ハルターマン社)によると、この非化石燃料は木片チップや藁などの植物性のゴミとして扱われていたモノなど=バイオマスを原料としていて、JSBクラスに加えて、来シーズンから四輪のスーパーGTにも供給されるそうです。

すでに国内4メーカーはこの燃料を使用してJSBマシンでテストを繰り返していて、ECUのセッティングに小変更を加えるだけでエンジンに大きな構造的変更を加えることなく使用可能とのこと。出力も現行のレースガソリンとほぼ同等(1%ダウン程度)で、燃費は最大で5%くらい低下するのではと予想されていると言います。現在、JSBクラスを開催している施設(サーキット)によっては、周回数を少なくする場合があるかもしれないとのことです。

実用上、性能もガソリンを使用した場合とほぼ同等で、現行のレースバイクに大きな変更を加えずに使用できるのは大きなメリットですが、ネックはこのバイオ燃料の価格の高さ。

それもあって、国内レースの中でもプレミアムクラスのJSBからバイオ燃料を導入することにしたそうですが、現在、サーキットにあるガソリンスタンドで購入できるガソリン燃料は1リッターあたり200円程度。しかし、このバイオ燃料はその7.5倍の1リッター1500円で、エントラントに相当の負担がかかることになります。

そこで、国内外の車両メーカーとタイヤメーカー、レース開催施設が費用等を分担して補助するのに加え、ハルターマン社が全日本JSBクラスのオフィシャル・フューエル・サプライヤーとして協賛してくれることになり、その結果、エントラントには400円程度という特別価格で提供できるメドが付いたそうです。

ハルターマン社が協賛することになり、来シーズンのJSBクラスは「JSB1000 Supported by ETS Racing Fuels」という名称になり、参加車両は「ETS RACING FUELS」のステッカー貼付が義務付けられます。



では市販車のCN化はどうなっているのだろうか

レースの世界からCN化が一歩前進することになりましたが、では市販車のCN化の動きはどうなっているでしょうか。

昨年の11月に、2022年中に3機種の電動ビークルを登場させると宣言していたカワサキは、今年の6月に電動キッズ用バイクの「ELEKTRODE(エレクトロード)」を発表し、8月以降に発売するとしたのに続き、10月上旬にドイツで開催されたインターモトで新型電動バイクのプロトタイプを初公開しました。

―― 前後16インチタイヤを採用した電動トライアルマシンがエレクトロードで、定格出力250Wのインホイールモーターを後輪に備えている。アルミフレームやディスクブレーキなど装備も本格的で、対象年齢は3歳~8歳とされ、価格は1099ドルと発表されている。

―― インターモトで公開されたのがネイキッドスタイルの電動バイクで、クラッチレバーを備えていないため変速機構がないシンプルな構成だと思われる。足まわりはZ250/400相当のものとみられ、モーターの出力もそのクラスに準じたものになりそうだ。

そして、11月8日からイタリア・ミラノで開催される世界最大のバイクショーであるEICMAで、ホンダが一般市販用の電動スクーターを発表すると言われています。

これまでホンダが発表・発売した電動スクーターはすべて法人向けで、一般の個人ユーザーは購入することができなかったのですが、今回は初めて個人ユーザーをターゲットにしたモデルで、車名も「EVP1」と、パーソナルを示すPが付くと言われています。このモデルは、原付相当の定格出力モデルだそうですが、グローバルマーケットを対象にした原付2種相当のモデルも発表されるのではないかとも予想されています。

このEVP1は、これまでの法人向け電動スクーターと同様、着脱式バッテリーの「Honda Mobile Power Pack」を採用する見込みですが、このHonda Mobile Power Packはホンダに加えて、ヤマハ、スズキ、カワサキの3社も使用することで合意をしており、今年の4月1日に国内4メーカーにENEOSを加えた5社が出資して、Honda Mobile Power Packを利用する交換式バッテリーシェアリングサービスを行う「Gachaco(ガチャコ)」という会社が設立されました。

これはGachacoが交換式バッテリーステーション(ホンダが製造・販売するHonda Power Pack Exchanger e:)を街中の各所に設置して、サービスを利用する人はこのステーションに行って、それまで使用していた充電量が減ったバッテリーと満充電されたバッテリーを交換するというものです。

―― 現在、ホンダのベンリィe:Iやジャイロeなどが採用している脱着式バッテリーがHonda Mobile Power Pack。ベンリィeの場合、30km/h定値走行テストでの走行距離は満受電で87kmと公表されている。

―― 充電済みのHonda Mobile Power Packと簡単に交換ができる交換式バッテリーステーションのHonda Power Pack Exchanger e:。これが各所に設置されたら、電動バイクのバッテリー切れの心配が少なくなるはずだ。

その交換式バッテリーステーションの第1号機が、去る10月25日に東京都庁前の西新宿第4駐車場に設置され、小池都知事やGachacoの渡辺代表が出席してサービスの開始式が行われました。

―― Gachacoのサービス開始式には小池都知事も出席。交換式バッテリーステーションの前で、ジャイロキャノピーe:にまたがり記念撮影を行った。

Gachaco広報によると、今後は東京の城南、城北エリアを中心に18カ所のステーション整備を予定していて、大阪への展開も予定しているが、詳細な整備(設置)時期は随時公表する予定だそうです。

ヤマハ:「現時点でご案内できる決定事項はありません」
スズキ:「商品およびサービスの計画についてはお答えできません」
カワサキ:「共通仕様バッテリーの利用検討を進めておりますが、現時点で開発状況・導入時期については、回答を差し控えさせていただきます」


と、残念ながら具体的な開発状況や発売時期に関しては3社ともから明確な回答は得られませんでした。

もちろん、重大な社外秘であるニューモデルに関する情報ですから、簡単に口外出来ないのは理解しますが、正直言ってもう少し前向きな回答が欲しいところでした。

とはいえ、ホンダが先行して開発してきたHonda Mobile Power Packを使用する電動モデルを、他3メーカーが開発して市販に至るには当然、それなりの時間がかかるのでしょう。その点を理解しつつ、今後の3社の動向に期待したいと思います。

JSB1000へのバイオ燃料の導入、ホンダ初の一般ユーザー用電動スクーターの登場(EICMAでは他社製の電動モデルの登場にも期待!)、そして交換式バッテリーステーションの稼働と、日本におけるバイクの電動化、CN化が来年は加速しそうな雰囲気で、2023年は日本のバイク界のCN元年と位置づけられそうです。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ゼンリン、パナソニックのカーナビ「Strada」向け最新地図データ発売へ…12月2日
ゼンリン、パナソニックのカーナビ「Strada」向け最新地図データ発売へ…12月2日
レスポンス
下取り額爆上がり? アルヴェルのドアの速さまで変えられるトヨタの[KINTO FACTORY(キントファクトリー)]がすごい!
下取り額爆上がり? アルヴェルのドアの速さまで変えられるトヨタの[KINTO FACTORY(キントファクトリー)]がすごい!
ベストカーWeb
チャンピオン争いで明暗を分けた要因と変化がもたらす2025シーズンへの期待/MotoGPの御意見番に聞くソリダリティGP
チャンピオン争いで明暗を分けた要因と変化がもたらす2025シーズンへの期待/MotoGPの御意見番に聞くソリダリティGP
AUTOSPORT web
メルセデスが好発進、ハミルトンがトップタイム。RB勢は下位に沈み角田裕毅19番手|ラスベガスGP FP1
メルセデスが好発進、ハミルトンがトップタイム。RB勢は下位に沈み角田裕毅19番手|ラスベガスGP FP1
motorsport.com 日本版
ヤマハとホンダがコラボ展示! バイクSFアニメ『Tokyo Override』劇中車の『YZF-R1』&『CB1300』が渋谷に登場
ヤマハとホンダがコラボ展示! バイクSFアニメ『Tokyo Override』劇中車の『YZF-R1』&『CB1300』が渋谷に登場
レスポンス
6速MTあり! 日産が「“新”フェアレディZ」を発表! GT-Rの「湾岸ブルー」と「“伝説”のパープル」設定! “改良型”登場も「また抽選」? 受注再開で販売店にも反響
6速MTあり! 日産が「“新”フェアレディZ」を発表! GT-Rの「湾岸ブルー」と「“伝説”のパープル」設定! “改良型”登場も「また抽選」? 受注再開で販売店にも反響
くるまのニュース
バスがズラ リ並ぶ「壮観すぎる光景」今年も再び!? ピーク時は“1時間あたり50便”運行へ 人気の航空祭輸送で
バスがズラ リ並ぶ「壮観すぎる光景」今年も再び!? ピーク時は“1時間あたり50便”運行へ 人気の航空祭輸送で
乗りものニュース
なぜか自販機になると買いたくなる不思議! 24時間365日買えるソフト99の「洗車用品自販機」が便利な上にファンキー!!
なぜか自販機になると買いたくなる不思議! 24時間365日買えるソフト99の「洗車用品自販機」が便利な上にファンキー!!
WEB CARTOP
F1ラスベガスFP1速報|ルイス・ハミルトンがトップタイム記録。角田裕毅は19番手
F1ラスベガスFP1速報|ルイス・ハミルトンがトップタイム記録。角田裕毅は19番手
motorsport.com 日本版
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
レスポンス
藤原とうふ店がWRCラリージャパン参戦!? WRC2グリアジン、愛する『頭文字D』フルカラーリングは「僕の夢だった」
藤原とうふ店がWRCラリージャパン参戦!? WRC2グリアジン、愛する『頭文字D』フルカラーリングは「僕の夢だった」
motorsport.com 日本版
“生産版”「“R36”GT-R」公開に反響絶大! 日産の「旧車デザイン」採用&4.1リッター「V6」搭載で「借金しても欲しい」の声! 1000馬力超えもあるArtisan「“和製”なスーパーカー」が話題に
“生産版”「“R36”GT-R」公開に反響絶大! 日産の「旧車デザイン」採用&4.1リッター「V6」搭載で「借金しても欲しい」の声! 1000馬力超えもあるArtisan「“和製”なスーパーカー」が話題に
くるまのニュース
角田裕毅のマシンが“グリッター”カラーに。RB、ラスベガスGP用スペシャル・リバリーを発表
角田裕毅のマシンが“グリッター”カラーに。RB、ラスベガスGP用スペシャル・リバリーを発表
AUTOSPORT web
フォルクスワーゲン「ティグアン」発売! 3代目に進化した全長4.5mの“VWで一番売れている”SUVはどう進化?
フォルクスワーゲン「ティグアン」発売! 3代目に進化した全長4.5mの“VWで一番売れている”SUVはどう進化?
VAGUE
台湾では「輪行」不要!? 国鉄で広がる自転車の旅はちょっと不思議な感覚
台湾では「輪行」不要!? 国鉄で広がる自転車の旅はちょっと不思議な感覚
バイクのニュース
カーメイト、改良版サイクルアタッチメント、釣り竿収納ホルダーの新製品が発売!
カーメイト、改良版サイクルアタッチメント、釣り竿収納ホルダーの新製品が発売!
レスポンス
美しい! 速そう!! カッコいい!!! 幻の日産フラッグシップ「Q80インスピレーション」市販可能性
美しい! 速そう!! カッコいい!!! 幻の日産フラッグシップ「Q80インスピレーション」市販可能性
ベストカーWeb
めっちゃカッコいいぞ!?? スズキ新型SUVをトヨタへ供給&日本導入ってマジか
めっちゃカッコいいぞ!?? スズキ新型SUVをトヨタへ供給&日本導入ってマジか
ベストカーWeb

みんなのコメント

5件
  • クソ高くて性能は最低、航続距離なんて坂道の有る場所だとカタログ値の半分も走らない
    官能的なモノや感動も無い
    たった一年でバッテリーは劣化して、性能はガタ落ち
    電動バイクなんか絶対に買わない事
    売れなければ、メーカーも小池の婆の思い知るからな(笑
  • 時代の流れだからもうどうしようもないけど、いずれは電動エンジン?電動モーター?になるわけでしょ。そしてレースの魅力のSoundが無くなる。
    そうでなくても国内におけるロードレース人気が低迷しているのに地球に、環境には良いことを求めていくことは大事だがロードレース自体には良いことがあるのだろうか?近い将来、ロードレースが無くなっているよう気がするが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村