DTMドイツ・ツーリングカー選手権がADACドイツ自動車連盟傘下に入り、新たに組織改革が行われての開催となる2023年。さまざまな事務・行政手続きや旧DTMとADAC GTマスターズとの調整などで、今季は例年よりも約1カ月遅れの5月27~28日にオッシャースレーベンで開幕する運びとなった。
その開幕ラウンドに先立ち4月15日(土)から16日(日)の二日間にわたり、新生DTMとして初の公式テストがオーストリアのレッドブルリンクで実施された。
“日本生まれ”のサーキットサファリ導入に向けDTMドイツ・ツーリングカー選手権が試験走行を実施
■ガソリン価格が倍増!
テストは前日14日(金)の搬入日にふたたび冬に舞い戻ったかのように寒波が到来し、積雪もあったため開催自体が危ぶまれた。しかし、テスト両日は厚い雲に覆われていものの時折晴れ間も見える天気となり、すべてのセッションがスリックタイヤでの走行となった。
なお、タイヤに関しては昨季2022年までのミシュランのワンメイクから供給メーカーがピレリに変更となったため、スリックのみならずウエットタイヤも試しておきたかったという声が挙がっていたが、前述のとおりウエットタイヤの出番は訪れなかった。
ADAC GTマスターズやGTワールドチャレンジでもピレリのワンメイクタイヤが使用されていることから、DTMに参戦する多くのチームがすでにピレリでの走行を経験しているとはいえ、それぞれのシリーズで使用されるタイヤのコンパウンドが微妙に違うとあり、必ずしもセットアップがそのまま使用できるわけではないようだ。
タイヤサプライヤーの変更はチームの経済状況にも変化を与えた。今季のピレリタイヤは昨年のDTM用ミシュランタイヤの1セット価格2500ユーロ(約37万円)よりは若干安く2136ユーロ(約31万円)となっている。ただし、1レースウイークに使用できるセット数が前年の4セットから5セットに増えたことでトータルではチームの経済的負担が増したかたちだ。
また、レースでは欠かせない燃料だが、昨年までのDTMでは1リットル2.50ユーロ(約370円)のガルフのガソリンが使用されていたが、新生DTMではシェルのブルーガソリン98が導入された。こちらは1リットルあたり5.02ユーロ(約740円)という驚きの価格だ。
■スケジュールの関係で一部のチームやドライバーが欠席
レッドブルリンクでのテスト初日はテストセッションが3本で合計6時間、2日目は同様にセッション3本で6時間45分に加え、各チーム1台ずつが参加する55分のタイヤテストが行われた。また、ドライバーたちはミックスゾーンでのメディアラウンドテーブルや、フォトセッションなどもありタイトなスケジュールをこなした二日間となった。例年のDTMでは開幕前のオフィシャルテストは二回開催されているが今季はこの一度きり。今回のテストは週末に行われたとあり、一般のファンはパドックへの入場は禁止されていたものの、1コーナースタンドはファンに無料開放され、家族連れなどでにぎわった。
そんなプレシーズンテストでは、メルセデスAMG GT3を駆るマーロ・エンゲル(メルセデスAMG・チーミ・マンフィルター)が1分28秒117で二日間の総合ベストをマーク。次点で現シリーズチャンピオンであるシェルドン・ファン・デル・リンデ(シューベルト・モータースポーツ)のBMW M4 GT3が1分28秒138で続いた。
ハウプト・レーシング・チームのアルジュン・マイニ駆るメルセデスAMG GT3エボが、マルコ・ウィットマン(プロジェクト1)のBMWのタイムを上回り総合3番手となっている。
BMWのワークスドライバーのシェルドンとウィットマンは、土曜日に行われたNLSニュルブルクリンク耐久シリーズを終えた後に飛行機でレッドブルリンクへ移動し、日曜日のセッションのみに参加した。
一方、今シーズンはSSRパフォーマンスから参戦するランボルギーニのワークスドライバー、ミルコ・ボルトロッティは同じ週末にポルトガルで行われたWEC世界耐久選手権第2戦ポルティマオを優先し、今回のテストを欠場。SSRは彼の代役として同じくファクトリードライバーのサンディ・ミッチェルを起用し、ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2でのデータを収集している。
また、パトリック・ニーダーハウザーとマティア・ドルディを擁し2台のアウディR8 LMSエボIIを走らせるトレゾア・オレンジ1はテストを欠席した。
■2023年のDTMは14チーム28台が参戦
ADACの傘下に入ったDTMは17日、2023年シーズンのグリッドに並ぶ14チーム、計28台のドライバーラインアップを発表した。シリーズにコミットするGT3メーカーはBMW、メルセデスAMG、アウディ、ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニの6社だ。
ニュルブルクリンク近郊のモイスパートに拠点を置くポルシェチームの名門、マンタイ・レーシングと、オーストラリアのEMAレーシングの合同チームは、おなじみの黄色い『Grello』にポルシェの若手ワークスドライバーであるトーマス・プライニングを、グリーンの911 GT3 Rにデニス・オルセンを乗せる。2015年に勇退しているマンタイ・レーシング創設者であり、元チーム監督のオラフ・マンタイ氏も夫人を伴いレッドブルリンクまで足を運び、すべてのセッションを熱心にピットで見守っている姿が印象的だった。
DTM初参戦となるエミル・フレイ・レーシングは、ADAC GTマスターズやGTWCヨーロッパで使用していたランボルギーニからフェラーリにメーカーをスイッチ。新車の296 GT3をジャック・エイトケンとティエリー・フェルモイレンに託す。フェルモイレンの父はF1ワールドチャンピオン、マックス・フェルタッペンのマネージャーを務めるレイモンド・フェルモイレンだ。
昨シーズン、21歳のフェルモイレンはアウディを駆り、カーコレクションからADAC GTマスターズに初参戦を果たし、51ポイントを獲得してドライバーランキングを23位でシーズンを終えている。オランダ国籍ながらモナコ在住であり、フェルスタッペン親子から直々にアドバイスを受けるなど、非常に恵まれた環境におかれているだけに今後の活躍が気になるところ。
昨年はDTM初参戦で初チャンピオンという大快挙を果たしたシューベルト・モータースポーツは、2023年も2台体制で参戦する。赤いシェルカラーの1号車を駆るのは、もちろんS.ファン・デル・リンデだ。チームメイトはDTM“3冠”を誇る元アウディドライバーのレネ・ラスト。彼は今季に向けてアウディからBMWに移籍したが、カーナンバーは引き続き『33』を使用する。なお、1チームのドライバー2名両方がDTMチャンピオン経験者というのはレアケースだ。
同じくBMW勢には、WECやル・マンでポルシェチームとして活躍するプロジェクト1が新たに加わり、2度のチャンピオン経験者であるウィットマンをエースカーのドライバーに迎えた。プレイベントテストに登場した姉妹車のM4 GT3は、レッドブルリンクへの移動中にミュンヘンのBMW M GmbHのファクトリーから出来立てほやほやをピックアップしてきたため、テスト時はラッピングが施されていなかった。
17日現在、プロジェクト1の2台目を走らせるドライバーはTBAとなっている。テストでは昨年ワーケンホルストからシリーズに参戦していたエステバン・ムート、そしてロズベルグから参戦したデフ・ゴアの2名がステアリングを握っており、テストの場で実質的なドライバーオーディションを行っていたようだ。
アウディからはフランク・エングストラー率いるリキモリ・チーム・エングストラーがR8 LMS GT3エボIIで参戦。WTCCなどで長年活躍したエングストラーがアルファロメオ155を駆りDTMへ参戦していたのは1994年。実に29年ぶりのDTMへ復帰となるのだが、ステアリングを担うのは息子のルカだ。23歳のドイツ人は2022年よりアウディのワークスドライバーに就任し、活動の場を広げている。
LMP1カーのポルシェ919を駆り、二度のル・マン総合優勝を誇るティモ・ベルンハルト率いるクース・チーム・ベルンハルトは、昨年の最終戦までチャンピオン争いに絡むも、惜しくも勝利を逃しただけに今季はなんとしてでもチャンピオンの座を奪いたいと意気込む。
ポルシェカレラカップやスーパーカップでタイトルを重ねるポルシェジュニア出身で契約ドライバーのラウリン・ハインリッヒが、ポルシェのスポーツカー75周年記念であり、チーム・ベルンハルトが創立された1975年をトリビュートする75号車ポルシェ911 GT3 Rを、そして姉妹車の24号車にはアイハンチャン・ギュヴェンが乗り込む。このトルコ人は昨年のDTMのノリスリンク戦でリアム・ローソンの代走でAFコルセのフェラーリ488 GT3をドライブし、いきなり予選で2番手グリッドを獲得するなど力強いポテンシャルを発揮し、今季のシート獲得に至った。
DTMの開幕戦は前述のとおり5月28~30日にオッシャースレーベンで開催されるが、その前週にはニュルブルクリンク24時間レースが予定されており、DTMに出場するチームやドライバーの大半がニュルからすぐそのままオッシャースレーベンに移動することになりそうだ。
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