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CO2削減の鍵はアンモニア? 「肥料」でクルマを動かす未来 メリット・デメリットは

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CO2削減の鍵はアンモニア? 「肥料」でクルマを動かす未来 メリット・デメリットは

水素を運ぶアンモニア メリット・デメリットは?

中国自動車メーカーのGAC(広州汽車)とトヨタが共同で、カーボンフリーのアンモニアで自動車用エンジンを動かすことに成功したと発表し、にわかに話題となった。

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通常は肥料や合成繊維などに使われるものを燃やすという発想は突飛に思えるかもしれないが、よくよく考えてみると、それほど馬鹿げたことではないことがわかる。化石燃料の代用品としてアンモニアを使用する研究は、ガソリンエンジンでもディーゼルエンジンでも、自動車が誕生して以来ほぼ長い間続けられてきた。

第二次世界大戦中、ベルギーではバスの動力源として使用され、1960年代には米軍が使用を検討していた。では、一体どんなところにメリットがあるのだろうか?

NH3という化学式を見れば、アンモニアが注目を集める理由がわかる。アンモニア分子は窒素原子を1個(N)、水素原子を3個(H3)含んでおり、高密度の「水素キャリア」となっている。つまり、アンモニアを燃焼させると、エンジンは基本的に水素で動くことになる。

デメリットは、ガソリンや軽油よりもエネルギー含有量が少ないだけでなく、点火するのが難しく、化石燃料よりも燃焼速度が遅いこと。これまでの研究では、アンモニアを水素と窒素に分解して水素ガスを燃焼させる方法と、エンジン始動に化石燃料を使う方法の2つのアプローチが取られてきた。

しかし、前者は複雑でコストがかさみ、後者はさらに複雑であると同時に本来の目的をやや逸脱している。

GACはその点について詳しく触れていないが、アンモニアに直接点火することは可能である。昨年、英国のマーレ・パワートレイン社(MAHLE Powertrain Ltd.)は、トラック、バス、重機、船舶用途の大型エンジンで軽油に代わるアンモニア燃焼の開発研究の詳細を発表した。同社は2つの方法をテストしている。

1つはデュアル・フューエルというアプローチで、ディーゼルターボエンジンにインジェクターを一組追加し、主なエネルギー源としてガス状のアンモニアを噴射するというもの。また、マーレ・パワートレイン社は、革新的な「マーレ・ジェット・イグニッション(MJI)」システムを使って、研究用の単気筒エンジンを純粋なアンモニアガスで動かすことにも成功した。MJIシステムは、NOx(窒素酸化物)などの有害な汚染物質をほとんど含まないクリーン燃焼を実現する。

MJIシステムでは、各燃焼室の上部に小さなプレチャンバーがあり、その底部に穴が開いている。プレチャンバーにはスパークプラグと燃料インジェクターが挿入される。メインチャージが通常のインレットポートからシリンダーに入るときに、小さなチャージがプレチャンバーに注入される。

プレチャンバー内のチャージに点火すると、高温のガスが穴を通ってシリンダー内に押し出され、メインチャージを簡単かつ均一に燃焼させることができるというものだ。

自動車向けの燃料としてのアンモニアの利点は、通常の大気圧と常温では気体として存在するが、比較的低い圧力(約7.5bar)で液化し、その状態でタンカーで輸送できることである。それに対し、水素は通常750barで車内に貯蔵される。従来の化石燃料や、燃料としての水素に代わるソリューションとして引き続き注目していきたい。

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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みんなのコメント

3件
  • >小さなチャージがプレチャンバーに注入される。

    直訳過ぎて何言っているか解りません。
  • 岸田
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    排泄物内燃機開発した企業に9000000000000000円月支給します!
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