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Jr.スーパーカーの煌き フェラーリ328 ランボルギーニ・ジャルパ ロータス・エスプリ 3台を比較 中編

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Jr.スーパーカーの煌き フェラーリ328 ランボルギーニ・ジャルパ ロータス・エスプリ 3台を比較 中編

冷間時でも驚くほど扱いやすい328GTS

改めて1980年代のジュニア・スーパーカー、3台を眺めてみる。フェラーリ328 GTSのボデイサイドにえぐれた円錐形のエアインテークやリアガラスの処理は、明らかにディーノ206GTからの影響を感じる。

【画像】Jr.スーパーカー フェラーリ328 ランボルギーニ・ジャルパ ロータス・エスプリ 同時代の他モデルも 全124枚

しかし存在感の強さは、1973年にリリースされていたベルリネッタ・ボクサー、365GT4 BBのものに近い。平滑なボディ面の処理と、ウエストラインで上下に分かれる構成などは、間違いなく共通する特徴といえる。

アスファルトとの距離を近づけているフロントスカートとサイドスポイラーは、当初の純粋なデザインを濁しているように思える。それでも、よりワイドでアグレッシブな容姿のライバルと伍するには、欠かせない要素だろう。

ドアを開き、クリーム色の繊細な造形のシートへ腰を下ろす。案の定、右ハンドル車のドライビングポジションは快適と表現しにくい。

ペダルが左側へオフセットし、サイドボルスターが太ももに当たるほど足の位置は斜め。ステアリングホイールを正面で握るため、身体は拗じらざるを得ない。手元へ伸びるその角度も、ベストとは呼べないだろう。

しかし、冷間時でも驚くほど扱いやすい。深く輝くシフトゲートへレバーを倒しながら、狭い市街地の道を恐れずに運転できる。シャシー・マナーは穏やかで、長距離運転もこなせそうな自信が湧いてくる。腰痛を伴うとは思うが。

すべてを忘れるレーシングカー然とした咆哮

しっくりこない姿勢を忘れる最良の手段は、右足へ力を込めること。3.2L V8エンジンの熱狂的な振る舞いを味わえば、すぐに気は紛れる。球形のシフトノブで1つ下のギアを選べば、余計な考えは吹き飛ぶ。

スピードは関係ない。20km/h程度で農道を走っていても、110km/hで高速道路を飛ばしても、レーシングカー然とした咆哮に包まれる。助手席との会話も、7000rpmまで引っ張ればすべて忘れてしまう。

シフトアップすると、さらに幸せな体験が待っている。4速までのギアは適度にクロスしている。運転免許にも危険は及びにくい。

フロントの16インチ7.0Jホイールのおかげで、オフセットしたペダルボックス自体の幅も狭められているが、タイトなドライビングシューズを履く必要はない。シフトダウン時のヒール&トウは難しくない。

今回お借りした328 GTSには、1988年のアップデート時に獲得したABSが備わるが、ブレーキペダルの感触は損なわれていない。微妙な力加減へしっかり反応してくれる。よく効くエアコンと同時に、お墓で眠るエンツォを驚かせた技術かもしれない。

ステアリングにパワーアシストはない。ロックトゥロック3.1回転のレシオで、徐行以上のスピードが出ていれば、適切な重み付けで回せる。操舵時のフィーリングは3台でベスト。ロータス・エスプリ・ターボがそれに迫る。

お尻や背中へ鮮明なフィードバックが伝わる。湿ったアスファルトの上で、ニュートラルなシャシーバランスを堪能できる。壮観な渓谷を縫うように続くルートで、観光客からの視線を浴びつつ。

強みの洗練性が足りない前期型

ロータス・エスプリ・ターボは、出色のフェラーリ328 GTSをスペックの幾つかの数字で凌駕する。0-97km/h加速を5.4秒でこなし、0-400mや0-1000mダッシュは速い。

アクセルペダルを蹴飛ばすと、ターボチャージャーが過給し明らかにパワー感では勝る。エンジンが269psの3.2L V型8気筒に対し、218psの2.2L直列4気筒だとしても。

コーナーでは充足感が満ちる。前後の重量配分は328 GTSが46:54で、ランボルギーニ・ジャルパが43.2:56.8だが、エスプリ・ターボは49:51と最も理想値に近い。優れたサスペンションとともに、秀逸なバランスを生んでいる。

誇るべき英国の技術力の結果といえたが、初期型の場合はすべてがまとまりきれてはいなかった。今回ご登場願ったシルバーのエスプリは、1987年にロンドン・モーターショーで展示された車両そのもの。後期型ほど、能力は高くない。

ロータスは、X180型のエスプリへ毎年のように改良を施した。そのなかでのスイートスポットは、1989年のターボSEだろう。改良後のサスペンションとグッドイヤー・イーグルタイヤが組み合わされ、燃料インジェクションで267psを発揮している。

これなら、繊細で官能的なフェラーリ以上の操縦性を備えていたと思う。だが初期型には、ロータスならではのストロングポイントといえる、洗練性が足りていない。

ジェントルでエレガントな個性

とはいえ、容姿端麗で走りに意欲的な独特の魅力へ強く惹かれる。ターボチャージャーの悲鳴は、より新しい世代のスーパーカーを彷彿とさせる。ツイン・デロルト・キャブレターが刺激的な吸気音を重ねる。

軽量なボディでグリップ力には事欠かない。5速MTは滑らかに仕事をこなし、ブレーキも鋭く効く。積極的に操りたいと思わせる。328 GTSと比べて、限界領域付近での親しみやすさでは及ばないが、ロータスらしく個性はジェントルでエレガントだ。

オリジナルをもとにピーター・スティーブンス氏がリデザインしたボディは、モダンでシャープ。エンジンカバーの上を覆うトンネルバック・リアガラスなど、「ターボ」独自の特徴も備わる。

エンジンとブレーキの冷却性を向上させるため、ボディのアンダートレイにも丁寧な設計が施されている。上昇したスピードに応じた、空力特性が与えられている。

インテリアは、それ以前のエスプリと比べれば大幅に質を高めている。デザインのまとまりも良い。スモークの入った、チルト式サンルーフが雰囲気を引き立てている。

印象を悪くしないために、車内はじっくり観察しない方が良いだろう。各部のステッチは少々不揃いで、エアコンの送風口の位置も不自然だ。

この続きは後編にて。

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