2024年9月13日(現地時間)、F1第17戦アゼルバイジャンGPが首都バクーの市街地サーキットで開幕する。これまでアゼルバイジャンGPは春に開催されてきたが、日本GPと入れ替わるように、今年は9月に移行した。なお、今年のアゼルバイジャンGPは通常のレースフォーマットで行われる。
アクセル全開のセクションと狭く曲がりくねった旧市街セクションが混在
2016年にヨーロッパGPとして初開催されて以来、バクーでのグランプリは今年で8回目となるが(2020年は新型コロナウイルス感染拡大のため中止)、毎年のようにアクシデントやトラブルなど波乱が起きている。
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その要因のひとつはレースが行われるバクー市街地サーキット(Baku City Circuit)の難しいコースレイアウトにある。
そのコースは近代的な建物が並ぶ中をフラットで直角コーナーが続くセクター1、狭く曲がりくねった旧市街を走るセクター2、ほぼ直線の広い道をアクセル全開で駆け抜けるセクター3と3つのセクションに分けられるが、それぞれ性格が極端に異なるため、どちらかのセクションに合わせると別のセクションではタイムが出なくなり、各コーナーでの各マシンの速さにバラツキが生まれることが挙げられる。
そのためチームによって得意なコーナーや進入スピードが微妙に異なり、オーバーテイクのチャンスが生まれるが、中でも「ターン16の出口からターン1まで」のF1最長のフラットアウト区間での攻防が見所のひとつとなる。
トラックの幅が大きく変化するのも特徴的で、ターン8の入り口は7mほどしかないが、メイン ストレートでは 3台のマシンが並んで走れるほど広い。
また、バクーは「風の街」と呼ばれるほど風が強く、またカスピ海から吹く風は気まぐれで、これが波乱を呼ぶこともある。さらに路面温度の変化も厄介で、強い陽射しが当たる場所と近代的な建物によって陽射しが遮られる場所との温度の差が激しく、また市街地サーキットのため路面が荒れている部分もあり、しばしばタイヤトラブルが起きている。
とくに2021年には、タイヤバーストのアクシデントが続発。レース残り5周で、トップを独走していたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が左リアタイヤバーストからクラッシュしたシーンは衝撃的だった。
昨年はスプリント、決勝とレッドブルのペレスが連勝
昨年2023年のアゼルバイジャンGPは4月にシーズン第4戦として開催。スプリントフォーマットで行われ、金曜日の予選ではフェラーリのシャルル・ルクレールがポールポジションを獲得したものの、スプリントと決勝ではレッドブルの敵にはなり得ず、土曜日のスプリントを制して勢いに乗るセルジオ・ペレスが決勝でも優勝を飾った。
マックス・フェルスタッペンはタイヤ交換を済ませた直後にセーフティカーが発動する不運もあり、ペースがほとんど変わらないペレスを攻略できないまま2位に終わった。
【参考】2023年F1第4戦アゼルバイジャンGP決勝 結果
1位 11 S.ペレス(レッドブル) 51周
2位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル)+2.137s
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+21.217s
4位 14 F.アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)+22.024s
5位 55 C.サインツ(フェラーリ) +45.491s
6位 44 L.ハミルトン(メルセデス) +46.154s
7位 18 L.ストロール(アストンマーティン・メルセデス)+51.617s
8位 63 G.ラッセル(メルセデス) +74.240s
9位 81 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+80.3761s
10位 22 角田裕毅(アルファタウリ・レッドブル)+83.862s
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リタイア 21 N.デフリース(アルファタウリ・レッドブル)
ファステストラップ 63 G.ラッセル(メルセデス)
【参考】2023年F1第4戦アゼルバイジャンGPスプリント 結果
1位 11 S.ペレス(レッドブル) 17周
2位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+4.463s
3位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル)+5.065s
4位 63 G.ラッセル(メルセデス) +8.532s
5位 55 C.サインツ(フェラーリ) +10.388s
6位 14 F.アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)+11.613s
7位 44 L.ハミルトン(メルセデス) +16.503s
8位18 L.ストロール(アストンマーティン・メルセデス)+18.417s
9位 23 A.アルボン(ウイリアムズ・メルセデス)+21.757s
10位 81 O.ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)+22.851s
──────────────
14位 21 N.デフリース(アルファタウリ・レッドブル)+41.626s
リタイア 22 角田裕毅(アルファタウリ・レッドブル)
トップグループ4強の実力は急接近、中でも優勝候補の筆頭はマクラーレンか
ではアゼルバイジャンGPはどんなレースになるかだが、今シーズンの最近6戦を見ると、メルセデスが3勝、マクラーレンが2勝、フェラーリ1勝と、勢力図は従来から一変。王者レッドブルが勝てなくなっているばかりか、前戦イタリアGPではレッドブルはトップグループの最下位というような状況だった。
前戦イタリアGPから2週間のインターバルでこの状況が大きく変わるとは考えにくく、このところのレースの流れを見る限りでは、優勝候補の筆頭はやはりマクラーレン。それをメルセデスとフェラーリが追うという展開だろう。ただし、いまもっとも速いのは間違いなくマクラーレンと言われる中、そのマクラーレンもなかなかすっきり勝てていない。
コンストラクターズランキングを見ると、レッドブルとマクラーレンのポイント差は、第16戦終了時点であっという間に8点まで縮まり、アゼルバイジャンGPでついに逆転となりそうな雰囲気だ。
一方、ドライバーズ選手権でのマックス・フェルスタッペンとランド・ノリスのポイント差はまだ62点もあり、すぐには逆転という状況ではないが、このままいけばシーズン終盤に大きな盛り上がりを見せることになるだろう。まだマクラーレンはノリスを優先するチームオーダーを出していないが、もしピアストリがサポート役に回ることになれば、マクラーレンの勝利数は伸び、フェルスタッペンとノリスの差は一気に差が詰まるかもしれない。
コースとの相性を見てみると、このコースを得意としているのはセルジオ・ペレス。ここで2回以上優勝した唯一のドライバーで、2021年と2023年に優勝し、2023年はスプリントでも優勝している。ペレスは7回のF1優勝のうち6回はストリートサーキットで挙げている。
予選の結果を見れば、フェラーリのシャルル・ルクレールにとっても得意のコースと言えるだろう。ルクレールは2021年から2023年まで3年連続でポールポジションを獲得しており、2023年はスプリントシュートアウトでも最速をマークした。今年こそポールポジションから勝利を挙げたいところだろう。
【参考】2024年F1コンストラクターズランキング(第16戦終了時)
1位 レッドブル 446
2位 マクラーレン 438
3位 フェラーリ 407
4位 メルセデス 292
5位 アストンマーティン 74
6位 RB 34
【参考】2024年F1ドライバーズランキング(第16戦終了時)
1位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル) 303
2位 4 L.ノリス(マクラーレン)241
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ)217
4位 81 O.ピアストリ(マクラーレン)197
5位 55 C.サインツ(フェラーリ)184
6位 44 L.ハミルトン(メルセデス)164
7位 11 S.ペレス(レッドブル)143
8位 63 G.ラッセル(メルセデス)128
──────────────
12位 22 角田裕毅(RB)22
アゼルバイジャンGP開幕を前に、タイヤを供給するピレリは「コースは2016 年の初開催からほとんど変わっていません。ピレリは最も柔らかい3つのドライコンパウンドを選択しました。つまり、C3はハード、C4はミディアム、C5はソフトです。戦略に関して言えば、アゼルバイジャンは典型的なワンストップ レースであり、最も硬い2つのタイヤが使われるでしょう。このコースでは追い越しは比較的簡単であるはずが、実際はそうではなく、トップグループ内のパフォーマンスの差は小さいため、DRSが重要な役割を果たす可能性があります。また、セーフティカーが導入される可能性が高いコースでもあり、チームは予期せぬ事態に対応する能力も重要になります。昨年2023年はほぼすべてのドライバーがミディアムタイヤでレースをスタートし、11周目にセーフティカーが出動した際にハードタイヤに切り替えました」と分析している。
第17戦アゼルバイジャンGPは9月13日13時30分(日本時間18時30分)から始まるフリー走行で開幕する。
2024年F1第17戦アゼルバイジャンGP タイムスケジュール
フリー走行1回目:9月13日13時30分~14時30分(日本時間18時30分~19時30分)
フリー走行2回目:9月13日17時~18時(日本時間22時~23時)
フリー走行3回目:9月14日12時30分~13時30分(日本時間17時30分~18時30分)
予選:9月14日16時~17時(日本時間21時~22時)
決勝(51周):9月15日15時~(日本時間20時~)
[ アルバム : F1第17戦アゼルバイジャンGP プレビュー はオリジナルサイトでご覧ください ]
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