■なぜ大型トレーラーは後輪が上がっている?
街を走行する大型トレーラーのなかで、たまに後輪が浮いている車両を見かけます。
初めて見ると驚く光景ともいえますが、なぜ大型トレーラーの後輪が上がっているのでしょうか。
大型トレーラーは、通常の荷物を運ぶトラックに比べて積載される量が多く、トラクターと呼ばれるけん引車で引っ張って荷物を運びます。
そのため、行きは重量のある荷物を多く積載しますが、荷物を下ろした帰りとの重量には大きな差があります。
そこで積載している荷物の量で車軸を上げ下げさせる「リフトアクスル」という機能が用いられます。
この機能は、一定の荷重センサーが感知することで、自動的に車軸が下りてくる仕様となっており、実際に荷物の重量が多い場合は装着されているタイヤがフルで使用され、荷物が少ない場合は使う必要のないタイヤが浮くことで、運行の効率化を図っています。
また、このリフトアクスル機能を利用することで、高速道路の料金を削減に繋がるといったメリットが挙げられます。
東日本高速道路株式会社が定めている高速道路の車種区分を見ると、トラクターを除いたトレーラー単体で車軸を2本以上備えると特大車料金となり、車輪を浮かせて車軸を1本の状態にすると大型車料金で済むことになります。
そのため、例えば東北自動車道を浦和ICから青森ICまで平日昼間に走行した場合、リフトアクスルなしの状態で特大車として走行すると料金は3万8200円。
一方で、車輪を浮かせて大型車として通行した場合は2万3000円となり、その差は1万5200円と、およそ40%安くなります。
荷物を搬送することで高速道路は避けては通れないため、この料金の差は非常に大きいといえるでしょう。
加えて、路面と接するタイヤが減ることで転がり抵抗の減少による燃費の低減や、タイヤやブレーキまわりの摩耗の減少によるコストダウンも見込めるといったさまざまなメリットがあります。
リフトアクスル機能について、トレーラーやトラックのボディー、コンテナなどの輸送用機器を製造・販売する日本フルハーフ株式会社の担当者は以下のように話します。
「リフトアクスル機能は需要が拡大し、一般的なトレーラーに当たる『バン型セミトレーラー』では、弊社で販売しているトレーラーの6割から7割がエアサスペンション車で、そのうちの8割以上がリフトアクスルを装着しています。
価格でいうと、弊社で販売しているバン型セミトレーラーは新車価格がおおむね1000万円で、これにリフトアクスルを装備すると200万円ほど上乗せされます。
一見高いように見えますが、リフトアクスル機能を利用することで、高速道路の料金を削減することができ、エンジンを持たない分耐用年数の長いトレーラーは、元を取って十分にお釣りがくるほどです」
■「働き方改革」がリフトアクスルの普及を後押し
リフトアクスル機能の普及が拡大するトレーラーですが、その背景には運送業界の大きな課題が関係しているようです。
前出の担当者は、リフトアクスル機能の普及要因について以下のように話します。
「リフトアクスルはもともとエアサスペンションを備えるトレーラーが一般的だった欧州でまず普及され、日本でも導入されるようになりました。
その後、機能が搭載されたトレーラーの普及は増加傾向にあり、とくにここ数年でその数を急速に伸ばしています。
その理由としてはドライバー不足や働き方改革が要因といえるでしょう。
空荷で回送する際に高速道路を利用する企業が増えており、運送会社にとって回送は利益を生まないので、ドライバーの拘束時間を減らし、できるだけコストを下げたいという意識が働いているといえるかもしれません」
トラックドライバーの就業者は中高年齢層の割合が高い傾向にあり、そして長時間労働でありながらほかの職業に比べ賃金が低いため、ドライバー不足が深刻化しています。
国土交通省が発表している「トラック運送業の現状についての資料」の2018年4月の有効求人倍率の推移を見ると、全職業の数値が1.35倍に対し貨物自動車運転手は2.68倍です。
通常、企業の求人が多く1倍を超えて高くなれば仕事を見つけやすい状況となるため、物流業界では募集しても応募自体が少ないということが分かるといえます。
そんななか、こうした人員不足の問題を含め物流の効率化を図る観点から、2015年3月に道路運送車両保安基準、車両の通行の許可の手続きなどを定める省令が改正されました。
具体的には、バン型などのセミトレーラーを牽引するトラクターの駆動軸重や、トレーラー自体の長さが引き上げなどの変更が見受けられます。
こうしたトレーラー自体の大型化が進むことで、輸送効率の向上や運行台数を減らすことでドライバー不足の軽減などの効果が期待されています。
全日本トラック協会が作成した「トレーラー大型化による輸送効率化促進ハンドブック」という資料では、前述の効果に加えタイヤのリフトアップ機能についてもメリットのひとつとして挙げています。
※ ※ ※
物流を担うトレーラーは、人々の生活になくてならず経済活動を活発にさせるための重要な産業です。
今後の日本の経済が滞ることがないようさまざまな観点から改善が施され、タイヤの後輪が上がっている理由も創意工夫のひとつといえるでしょう。
※記事初出時より、記事タイトルに誤字がありましたため訂正いたしました(22日午前10時00分)
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「すごい事故…」 首都高が「渋滞中の“追突事故”」の瞬間を公開! SUVの「急ブレーキ」のせいでタクシーが「ベッコリ」… 一体何があった? 車間不足&前方不注意が悲劇を招くことに
中国の巡視船に“放水砲攻撃”される漁船 3人けが フィリピンが動画公開し猛抗議「この映像を家族と一緒に見てほしい」
「もう軽に見えない!」ホンダ新「N-BOX」発表に“反響殺到”!「ここまでやるか…」「重厚感すごいな」の声も! 軽ハイトワゴン“絶対王者”に新登場の「めちゃクロ」仕様! 特別な「ブラックスタイル」とは!
日産が新型「セレナ」発表! 3年ぶりの「デザイン大刷新」&歴代初の「“Google搭載”システム」採用! “新たな派生モデル”を追加し26年2月から発売へ! 278万円から
NEXCOマジギレ「警察に告発しました!」発表に“怒りの声”殺到! 「出禁にしろ」「即営業停止で」 法律無視の「重量26トンオーバー車」運転手&会社を追放! 高額罰金も? 愛知
ベトナム人男性、反省せず逃走図る! 495台盗難“被害10億円超え”事件のリーダー、裁判中に暴れる事態に 懲役6年の判決に抵抗!? 刑期は延びるのか? 弁護士に聞いた
安心の「国産EVバス」その心臓は中国製 「どこまで国産なのか問題」純国産なんてあり得ない!?
新車278万円! 日産「“新型”セレナ」発表に反響殺到! 「袴グリルが良い!」「買うしかない!」 斬新「左右非対称グリル」採用で大進化! 高性能“パワフル4WD”も設定の「日産の要」2月に発売へ
間もなく退役!「現役最古の原子力空母」が最後の作戦行動を終了 かつて“ゼロ戦と戦った”ことも
「新名神」またもや開通延期に 「滋賀-京都」「京都-大阪」どっちも!? あと何年かかりそう…?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
自動的にタイヤが下降するのは知らなかった。
ジムニートラック化のカスタマイズ?
ヨコハマタイヤのトラック用スタッドレスタイヤテスト?
なぜこの記事に関連付けたの?