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後輪がなぜ浮いている? 大型トレーラーで見かける「リフトアクスル」が普及した理由とは

掲載 更新 21
後輪がなぜ浮いている? 大型トレーラーで見かける「リフトアクスル」が普及した理由とは

■なぜ大型トレーラーは後輪が上がっている?

 街を走行する大型トレーラーのなかで、たまに後輪が浮いている車両を見かけます。
 
 初めて見ると驚く光景ともいえますが、なぜ大型トレーラーの後輪が上がっているのでしょうか。

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 大型トレーラーは、通常の荷物を運ぶトラックに比べて積載される量が多く、トラクターと呼ばれるけん引車で引っ張って荷物を運びます。

 そのため、行きは重量のある荷物を多く積載しますが、荷物を下ろした帰りとの重量には大きな差があります。

 そこで積載している荷物の量で車軸を上げ下げさせる「リフトアクスル」という機能が用いられます。

 この機能は、一定の荷重センサーが感知することで、自動的に車軸が下りてくる仕様となっており、実際に荷物の重量が多い場合は装着されているタイヤがフルで使用され、荷物が少ない場合は使う必要のないタイヤが浮くことで、運行の効率化を図っています。

 また、このリフトアクスル機能を利用することで、高速道路の料金を削減に繋がるといったメリットが挙げられます。

 東日本高速道路株式会社が定めている高速道路の車種区分を見ると、トラクターを除いたトレーラー単体で車軸を2本以上備えると特大車料金となり、車輪を浮かせて車軸を1本の状態にすると大型車料金で済むことになります。

 そのため、例えば東北自動車道を浦和ICから青森ICまで平日昼間に走行した場合、リフトアクスルなしの状態で特大車として走行すると料金は3万8200円。

 一方で、車輪を浮かせて大型車として通行した場合は2万3000円となり、その差は1万5200円と、およそ40%安くなります。

 荷物を搬送することで高速道路は避けては通れないため、この料金の差は非常に大きいといえるでしょう。

 加えて、路面と接するタイヤが減ることで転がり抵抗の減少による燃費の低減や、タイヤやブレーキまわりの摩耗の減少によるコストダウンも見込めるといったさまざまなメリットがあります。

 リフトアクスル機能について、トレーラーやトラックのボディー、コンテナなどの輸送用機器を製造・販売する日本フルハーフ株式会社の担当者は以下のように話します。

「リフトアクスル機能は需要が拡大し、一般的なトレーラーに当たる『バン型セミトレーラー』では、弊社で販売しているトレーラーの6割から7割がエアサスペンション車で、そのうちの8割以上がリフトアクスルを装着しています。

 価格でいうと、弊社で販売しているバン型セミトレーラーは新車価格がおおむね1000万円で、これにリフトアクスルを装備すると200万円ほど上乗せされます。

 一見高いように見えますが、リフトアクスル機能を利用することで、高速道路の料金を削減することができ、エンジンを持たない分耐用年数の長いトレーラーは、元を取って十分にお釣りがくるほどです」

■「働き方改革」がリフトアクスルの普及を後押し

 リフトアクスル機能の普及が拡大するトレーラーですが、その背景には運送業界の大きな課題が関係しているようです。

 前出の担当者は、リフトアクスル機能の普及要因について以下のように話します。

「リフトアクスルはもともとエアサスペンションを備えるトレーラーが一般的だった欧州でまず普及され、日本でも導入されるようになりました。

 その後、機能が搭載されたトレーラーの普及は増加傾向にあり、とくにここ数年でその数を急速に伸ばしています。

 その理由としてはドライバー不足や働き方改革が要因といえるでしょう。

 空荷で回送する際に高速道路を利用する企業が増えており、運送会社にとって回送は利益を生まないので、ドライバーの拘束時間を減らし、できるだけコストを下げたいという意識が働いているといえるかもしれません」

 トラックドライバーの就業者は中高年齢層の割合が高い傾向にあり、そして長時間労働でありながらほかの職業に比べ賃金が低いため、ドライバー不足が深刻化しています。

 国土交通省が発表している「トラック運送業の現状についての資料」の2018年4月の有効求人倍率の推移を見ると、全職業の数値が1.35倍に対し貨物自動車運転手は2.68倍です。

 通常、企業の求人が多く1倍を超えて高くなれば仕事を見つけやすい状況となるため、物流業界では募集しても応募自体が少ないということが分かるといえます。

 そんななか、こうした人員不足の問題を含め物流の効率化を図る観点から、2015年3月に道路運送車両保安基準、車両の通行の許可の手続きなどを定める省令が改正されました。

 具体的には、バン型などのセミトレーラーを牽引するトラクターの駆動軸重や、トレーラー自体の長さが引き上げなどの変更が見受けられます。

 こうしたトレーラー自体の大型化が進むことで、輸送効率の向上や運行台数を減らすことでドライバー不足の軽減などの効果が期待されています。

 全日本トラック協会が作成した「トレーラー大型化による輸送効率化促進ハンドブック」という資料では、前述の効果に加えタイヤのリフトアップ機能についてもメリットのひとつとして挙げています。

※ ※ ※

 物流を担うトレーラーは、人々の生活になくてならず経済活動を活発にさせるための重要な産業です。

 今後の日本の経済が滞ることがないようさまざまな観点から改善が施され、タイヤの後輪が上がっている理由も創意工夫のひとつといえるでしょう。

※記事初出時より、記事タイトルに誤字がありましたため訂正いたしました(22日午前10時00分)

文:くるまのニュース Peacock Blue K.K.

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みんなのコメント

21件
  • 高速道路の料金を削減に繋がるのは知ってたけど
    自動的にタイヤが下降するのは知らなかった。
  • 画像22枚のうち、
    ジムニートラック化のカスタマイズ?
    ヨコハマタイヤのトラック用スタッドレスタイヤテスト?
    なぜこの記事に関連付けたの?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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