表彰台圏内のレース展開
MotoGP第2戦ポルトガルGPのMoto2クラス決勝レースに3列目7番手から挑んだ小椋藍選手(MTヘルメット – MSI)は、好スタートを切って3番手に浮上しました。トップを走るフェルミン・アルデグエル選手(ベータ・ツールス・スピードアップ)がジャンプスタートによってダブル・ロングラップ・ペナルティ(※レース中、コース外側に設定されたエリアを通過しなければならないペナルティ。通常よりも大回りとなるため、ペナルティを消化すると数秒のロスとなる。ダブル・ロングラップ・ペナルティはこれを2周にわたって行なわなければならない)を科され、これを消化するために後退すると、一時は2番手に浮上します。
【画像】2024年シーズンのMoto2クラスに参戦する小椋藍選手を見る(7枚)
しかし、小椋選手に余裕はありませんでした。レースにはいくつかのポイントが存在します。攻めるべきポイント、あるいはタイヤをセーブするためにマネージメントして走るポイント、絶対にポジションを譲れないポイントなど。
今回の小椋選手には「今、タイムを上げるべきだな、というときに、周りほど自由度がなかった」のです。
小椋選手は4番手に後退しましたが、周回数を重ねたレース後半は、周りのライダーのラップタイムと小椋選手のラップタイムが遜色ないものとなります。そしてペナルティを消化して猛然と追い上げてきたアルデグエル選手、マヌエル・ゴンザレス選手(QJMOTOR・グレシーニ・Moto2)と、三つ巴の3番手争いを繰り広げます。
今回の小椋選手には、もうひとつのウイーク・ポイントがありました。最終コーナーです。
最終ラップに入ったとき、3番手だった小椋選手は、メインストレートから1コーナーのブレーキングでゴンザレス選手にかわされました。最終コーナーでは相手が勝る状況のため、コース前半で3番手に上がり、差をつけておかなければ……。小椋選手はそう考えていました。
しかし4コーナー立ち上がりでハイサイドしそうになり、失速したすきに5番手に後退するのです。結果的に、それが5位というリザルトを決めたのでした。
「タイヤの状態が良いときにもうコンマ2秒、速く走れなかった。あと、最終コーナーですね。だめでした。最終コーナーが良ければバトルもすごく有利になるし、幅が広がったんですけど」と、小椋選手はさばさばとレースを振り返ります。
「最終コーナーがだめなので、前半セクションで抜いてサーキットの中で差をつけておかないと、最終コーナーで追いつかれてスリップを使われ、前に出られてしまいます。(最終ラップでは)できれば5コーナーで前に出ておきたかったんです。それで準備したら、4コーナーでハイサイドしそうになっちゃった。最終コーナーで速く走れなかったのが自分を苦しめていたし、あそこでもう少し冷静になれていたらな、と思います」
「もっといろいろな可能性を考えておくべきだったし、もうちょっと落ち着いていければ良かったんですけどね。ちょっと焦りが出たので。精神面が甘かったですね」
小椋選手は、そう言い切りました。
反省を口にする小椋選手は、つまり改善すべきところが見えているということです。やるべきことを定めてからの小椋選手は、力強く邁進していきます。きっと、今回の三つ巴の接戦を糧に、さらに強くなることでしょう。
また、チームを移籍して2戦目で、すでに表彰台争いに加わっているということも事実です。小椋選手が表彰台に立つ日は、そう遠くはないはずです。
MotoGP第3戦アメリカズGPは、4月12日から14日にかけて、アメリカのサーキット・オブ・ジ・アメリカズで行なわれます。
■Moto2クラスとは……
Moto2クラスは、トライアンフ「ストリートトリプルRS」の排気量765ccの3気筒エンジンをベースに開発されたオフィシャルエンジンと、シャシーコンストラクターが製作したオリジナルシャシーを組み合わせたマシンによって争われる。タイヤは2024年よりピレリのワンメイクとなった。クラスとしてはMotoGPクラスとMoto3クラスの中間に位置する。
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