■実例から見えてくるあおり運転の「加害者の特徴」は
ここ数年、前方にいるクルマに対し故意に車間距離を詰める、クラクションを鳴らす、急な割り込みをして進路を妨害するなどの「あおり運転」が社会問題となっています。
あおり運転というと2017年6月に神奈川県内東名高速道路上で発生したあおり運転に起因する死亡事故が思い浮かぶ人もいるでしょう。ユーザーのなかにも運転を妨害された経験があるという人はいるかもしれません。
では、あおり運転発生はどのような状況で発生するのでしょうか。また加害者、被害者にはどんな特徴があるのでしょうか。
10年続けた「逆あおり運転」… 低速走行「10キロおじさん」の悪質な行為とは
あおり運転について、さまざまなところで調査がおこなわれており、過去には警察庁交通局交通指導課の矢武陽子氏が、国際交通安全学会(IATSS)にて「日本におけるあおり運転の事例調査」を発表。
あおり運転事例のうち「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」第2条第4号を適用して送致された交通事故38件(2016年から2017年)について各都道府県警察に調査を依頼しました。
その結果、加害者および妨害行為の被害者となった年齢、性別などについて細かな特徴が明らかとなっています。
まず加害者の年齢や性別については、19歳から81歳に及びなかでも30代が最も多く、今回の事例38件ではすべて男性だったことが分かっています。
また年齢別の運転免許保有者数に対する割合でみると、年齢が若いほどあおり運転をしやすい傾向にあることが明らかに。
個人差があるものの、年齢が若いために運転経験が浅いことや、カッとなりやすいということから、あおり運転を起こしやすいと考えることができます。
さらに加害者・被害者それぞれの社会的階級を示唆するものとしては、交通手段(車両の大きさを含む)および車両の価格帯が調査されており、その結果加害者の92%が四輪車で、被害者の53%が四輪車、37%が二輪車という結果に。
四輪車の価格帯を見ると、加害者の車両は500万円以上の車種が40%、200万から499万円の車種が29%、200万円未満の車種が20%。
一方で、被害車両は500万円以上の車種が10%、200万から499万円の車種が40%、200万円未満の車種が35%を占めていることが明らかとなっています。
この結果から、500万円以上の高級車に乗る加害者が、自身の乗るクルマの価格帯よりも安価と思われる車両に対してあおり運転をおこなうという傾向が見受けられます。
車両の外見から社会的な地位やパワーバランスを判断する心理が運転者にあると考えることができます。
※ ※ ※
このほか、チューリッヒ保険会社がおこなったあおり運転に関するアンケート調査では、加害者のクルマは「セダン」が33.5%、「バン・トラック」が18.3%と上位を占めており、被害者のクルマは、「軽自動車」が28.8%、「コンパクトカー・ハッチバック」が22.8%など、比較的小さいクルマが多くを占めています。
二輪車や軽自動車、コンパクトカーなど、比較的安価で小さいクルマに対しては「弱車=弱そうに見えるクルマ」と認識され狙われやすいといえることが推測できるといえるでしょう。
■あおり運転が発生しやすい場所や曜日は?
ではあおり運転が発生しやすい場所ではどうなのでしょうか。
前出の矢武陽子氏がおこなった調査では、13%が高速道路、87%が一般道路で発生しているという結果となっており、車線数では58%が複数車線の道路で発生、そのほとんどが第2走行車線以上の追い越し車線上で発生しているといいます。
あおり運転と聞くと高速道路で起きているイメージがありますが、じつは高速道路よりも一般道路が圧倒的に多いということが分かります。
また複数の車線がある広い道路では、無理な追い越しや割り込みをおこないやすいほか、追い越しの際にはスピードが出やすいなどの特徴があるため、あおり運転が発生しやすいと考えられます。
ほかにも警察庁がおこなった「あおり運転に関する事例調査」では、あおり運転が発生する曜日には「土曜日」がもっとも多く、次に多い「日曜日」と合わせての約39%を占めていることが明らかに。
土日(週末)は出掛ける人が多くて道路が混雑しやすいうえに、なかには運転に不慣れなドライバーもいることからあおり運転が発生しやすいといえます。
※ ※ ※
今回紹介した調査結果からは、あおり運転を起こす運転者の年齢や性別、発生場所などに一定の傾向が見られることが分かりました。
上記の結果はあくまで参考となりますが、あおり運転はささいなことがきっかけで乱暴な運転を引き起こし、最悪の場合には重大事故につながる恐れも大いにあります。
このため自動車ユーザー同士がゆとりと譲り合いの気持ちを持って運転することが非常に重要です。
また、あおり運転を引き起こすきっかけには、「進行の邪魔をされた」「割り込まれた、抜かされた」など被害車両の運転行為があおり運転のきっかけとなるケースが多くなっていることも明らかとなっています。
被害車両にとっては意識していない運転でも、たとえば「慌てて急な進路を変更する」「前のクルマとの車間距離を詰める」など思わぬ行為が、あおり運転の行為となってしまう可能性もあります。
もちろんどんなきっかけであってもあおり運転はおこなってはいけませんが、自分自身の運転を見直すことも大切といえるでしょう。
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みんなのコメント
特にアルファードは安いグレード程煽り運転してるな