それまでのドゥカティには全くなかった世界観を持つロー&ロングなスタイルのディアベルが初のモデルチェンジ。
テスタストレッタDVTエンジンを搭載し、大きく進化したこのモデルの魅力を一足先にスペインで存分に体感してきた。
イタリアの「悪魔」はどう生まれ変わったのか?
最近、特に好調な結果を出しているロードレースを見ると、やはりドゥカティというはロードスポーツの世界で生き生きとするブランドなのだと感じる。
峠道でこそ輝く!? 新型「KATANA」試乗インプレッション!
実際、昔からロードスポーツの面白さを追求し続けてきたブランドだと思うし、その最たるモデルであるパニガーレV4Rを見ていると、バイクが乗り手を選ぶ印象すらある一方で、他のモデルでは決して踏み込めない領域に入ることを約束してくれそうな説得力がある。
ドゥカティならではのストイックさが垣間見えるデザインが、洗練されながらも野生の獣が持つ生来の強さのようなものを感じさせるからなのか。
どこか「俺を乗りこなせるのか?」と言われているような気にすらさせる。
そんな、研ぎ澄まされたスポーツモデルを作ることに長けているドゥカティが、明らかに新たな領域に踏み込んだと世間を驚かせたのが、2011年に登場したディアベル。
1198.4ccの巨大なエンジンを包む大柄な車体に極太のタイヤ。
印象的な顔つきのスタイリングは威圧的と言っても過言ではなく、イタリアのボローニャ地方の方言で「悪魔」を意味する「ディアベル」の名に恥じない迫力あるモデルの誕生だった。
当時、ディアベルは比較されるモデルもなければ、当てはまるカテゴリーもなかった。
ただ、その存在を理解するために、ドゥカティならではのクルーザーとして認識していた記憶がある。
その後、2016年には洗練されたフォルムに、よりクルーザーモデルを印象付けるフォアードコントロール、1615mmのロングホイールベースを持ったXディアベルが登場する。
これによって、ディアベルは分かりやすくクルーザーとしての道を歩むのかと思っていたが、こちらは既存のディアベルとは違うキャラクターとして生み出されたモデルであり、実際、ほとんどのパーツが専用設計で似て非なるモデルだった。
そして2019年、ディアベルが初めてのモデルチェンジを果たし、新型『ディアベル1260/S』として間もなく日本に上陸する。
誕生から8年という長い期間を経ての新型ということで、イタリアンデビルがどのように生まれ変わったのか、否が応でも期待は膨らむ。
SPECIFICATION
全長×全幅×全高- × - × - mm
ホイールベース1600mm
シート高780mm
車両重量244kg
エンジン形式水冷L型2気筒テスタストレッタDVT1262
総排気量1262cc
ボア×ストローク106x71.5mm
圧縮比13.0 : 1
最高出力159PS/9500rpm
最大トルク13.1kg-m/7500rpm
燃料供給方式FI
燃料タンク容量17L
キャスター角/トレール27°/120mm
変速機形式6速リターン
ブレーキ形式 前・後φ320mmダブルディスク・φ265mmディスク
タイヤサイズ 前・後120/70ZR17・240/45ZR17
随所に感じるバイクの進化とドゥカティらしい味付け
今回、日本上陸前にディアベル1260Sを試乗するため向かったのがスペイン、アンダルシア地方のマラガにあるマルベーリャだ。
地中海に面した有名なリゾート地でのワールド試乗会ということで、海沿いの道を快適にクルージング・・・なんてことをさせないのがドゥカティ。
実はマルベーリャという土地は、標高の高い山々に囲まれており、30分もあがっていけば日本のワインディングにも近いタイトなコーナーや、ハイスピードコーナーが組み合わさる道路が続き、時にはうねりもあって、いわゆる「走りがいのある道」が続いているのだ。
ははーん、そういうことね。新型に自信があるから、こういう道路を選んでいるってことね。でも、ディアベルってクルーザーだったような…。
まぁ、考えても仕方がない! その新型の実力とやらを堪能してやろうじゃないの‼
なんてエラそうなことを言っておいて、試乗する前は大きな車体とパワフルな大排気量エンジンに、どう立ち向かえば良いのかと考えていた。
正直、初めて乗るバイクは気をつかう。
出発したては操作にも慣れていないしフィーリングも分からないから、ホテル出口の段差や幹線道路まで出る細い道路など、扱いが慣れるまでは必要以上に神経質になる。
ところが、そんなことは乗って5分も経たずに考えなくなった。
新型ディアベル、なんと言っても扱いやすい。
低回転域の滑らかで力強いトルクのおかげで超低速での移動も不安なく操作でき、244kgというなかなかの車重もそうは感じさせない。
排気量が1262ccもあると構えてしまいがちだが、ある程度、大型バイクの経験がある人はもちろん、初心者であっても不安なく走り出せるはずだ。
さらに、3つのライディング・モード(スポーツ・ツーリング・アーバン)も搭載しているので、自力に合わせて設定すれば、不安要素は打ち消せるだろう。
その後、すぐに高速道路に乗ったが、さすがにハイスピードはお手の物と言ったところ。
ただし、前モデルの体がズレるほどのドッカン!とした印象の加速とは違い、しっかりと体を後ろから押し出してくれる加速感。
リアの極太タイヤの安定感もあり、快適で満足度の高い高速走行が楽しめる。
この低速域、高速域、どちらの領域でも高レベルで応えてくれるのは、新たに採用されたテスタストレッタDVTデスモドロミック可変バルブタイミング1262ccエンジンのおかげだ。
低回転域と高回転域で給排気のバルブ開閉タイミングを変化させる可変バルブタイミングエンジンで、低回転域は太いトルクで扱いやすく、高回転域では伸びのあるスポーティな特性を引き出す。
最新のムルティストラーダ1260Sにも搭載されているが、パワーやトルクのスペック値だけでは分かりえない、ライダーのニーズに応える能力の高さを感じることができた。
RIDING POSITION 身長186cm 体重85kg
シート高は780mm。明らかに大きな車体だがくぼみもデザインとして生かされているシートの足つきは良好。
かと言って高身長の自分が乗っても窮屈さは全くなく、走行時もニーグリップがやりやすい。
ポイントは数値以上に”低く感じる”ということ。
VARIATION
Diavel 1260
228万5000円
サンドストーン・グレイ
(フレーム/ブラック)
Diavel 1260S
268万円
スリリング・ブラック&ダーク・ステルス
(フレーム/レッド)
サンドストーン・グレイ
(フレーム/ブラック)
ワインディングこそ真骨頂快適にスポーツできる!
今回試乗させてもらったのは、よりスポーティな装備を身に着けたディアベル1260S。
フロント、リア共にオーリンズ製フル・アジャスタブル・サスペンションを装着している。
それもあって、楽しみにしていたワインディング。実はここに新型ディアベル1260Sの真骨頂があった。
ディアベルの個性でもあるリアタイヤは240/45ZR17という極太サイズ。
ワインディングでは反応が鈍くなる覚悟をしていたのだが、多少ゆったりとした印象にはなるものの、ギャップも軽くいなすように対処してくれるし、想像していた以上にコントロールできる。
オーリンズ製サスの効果も高いようで、コシがありつつしなやかな乗り心地。おかげで気持ちが逸ることもなく思った通りのライン取りが出来た。
ペースを上げてもその安定感は変わらないから、走っていてどんどん楽しくなってくる。正直、自分の運転が上手くなったと勘違いできるほどだ。やるな~、新型ディアベル。
前モデルと変わらず、ロングホイールベースでフロントにボリュームのあるボディに見えるが、実はエンジンの位置を40mm後退させ、ラジエターはエンジン前側に移動している。
これによって重心はライダーと近くなり、これがワインディングで感じたコントロールのしやすさに繋がっているようだ。
ディアベル1260Sの前後重量バランスはほぼ50対50というから、それもまた納得。
乗る前はクルーザーのイメージや、マッスルなハイパワーマシンの印象があったが、乗ってみると懐の深いビッグネイキッドという言葉がマッチすると気づいた。
ゆったりとしたポジションで穏やかにツーリングすることもできれば、ハイパワーを駆使してメリハリのある走りを要求しても高レベルでそれに応えてくれる。
見た目とは裏腹に、乗るととっても優しくて万能なジェントルマンなのだ。
たっぷり1日スペインのワインディングを堪能したが、まだまだ乗り足りないと思わせてくれたディアベル1260S。
試乗後の疲労感が少ないところにも、このモデルのレベルの高さが伺える。
唯一無二の個性派ビッグネイキッドは6月に国内導入予定だ。
DETAILS
フルLEDとなったヘッドライトでXディアベルに近くなったお顔つき。
ディアベル1260Sはデイタイム・ランニング・ライト(DRL)が標準装備だが、残念ながら日本導入モデルには不採用。
2本出しのショートマフラーは、2-in-1システムを採用。
エキパイは車体右側から見ると隠れているが、車体左側から見るとその存在を主張する。
耳障りの良い野太いサウンドだ。
ディアベル1260Sにはオーリンズ製フルアジャスタブルサスペンションが搭載される。
計算された位置と角度で配置されたリアサスはしなやかかつコシのある動きで走りやすい。
ボッシュ製コーナーリングABSとブレンボの組み合わせ。
ディアベル1260Sはブレンボ製M50モノブロックキャリパーを標準装備。
タイヤは前後ピレリ製ディアブロ・ロッソ3へと進化。
[ アルバムはオリジナルサイトでご覧ください ]
TEXT:松下尚司 衣装協力:KADOYA
公式サイト
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