元気なアルファード、元気のないヴェルファイア
新型コロナウイルスの影響で忘れがちかもしれませんが、トヨタは2020年5月よりすべての販売店で、全車種を取り扱うことができるようになりました。販売チャネルのために兄弟姉妹モデルを用意しなくてすむ、モデル統合に向けた動きが始まっているわけです。
たとえば、トヨタはフラッグシップ・ミニバンとして「アルファード」と「ヴェルファイア」という2つのモデルを用意していますが、将来的にはどちらかに統合する可能性が高そうです。もちろん、まったく別の名前とする可能性も否定できませんが、強力なブランド力があって広く認知されているどちらかの車名を使うと見るのが妥当でしょう。
では、どちらが優勢なのか? それは直近2020年8月の販売データが明確に示しています。アルファードの販売台数は7103台で前年比153.5%なのに対して、ヴェルファイアは1226台で前年比59.4%と明暗がはっきり。そもそもアルファードは、単月でいえばスライドドアの登録車のなかでもっとも売れているほどの人気を集めています。セレナよりも、フリードよりも、ヴォクシーよりもアルファードは売れているのです。
リセールバリューがヴェルファイア劣勢を加速させる
2020年上半期(1~6月)のデータを見ても、アルファードの販売台数は前年比103.8%の3万6597台、対してヴェルファイアは1万0697台で前年比51.5%と明らかにアルファード優勢。メカニズムは同等で、5月以降は販売店舗数も同条件だから、アルファードが売れている理由については、スタイリングが市場トレンドに合致したとしか言いようがありませんが、おそらくこの流れは加速するでしょう。
なぜなら、そろそろ「ヴェルファイアは消滅するかもしれない」とユーザーが感じ始めているからです。車名が残ることになんの意味があるのかといえば、リセールバリューへの影響が大きいと考えるのが妥当です。消滅してしまった車名というのはバリューが落ちるわけで、同じ価格・同じ機能のクルマのリセールバリュー(下取り価格・買取価格)が変わってしまう可能性があるのであれば、アルファードを選ぶのが人情です。
「勝ち馬に乗る」というマインドはとくに日本市場では影響力があります。今後も、よほどこだわりがない限りは、「名前が残りそうなほうを選ぶ」という方向で、トヨタの兄弟姉妹モデルの統合に影響を与えていくのではないでしょうか。
ルーミーが残りタンクが消えた。残るMクラスミニバンは…
この視点で見ていくと、9月にマイナーチェンジしたコンパクトミニバンの「ルーミー」と「タンク」は、2020年8月の販売台数でルーミーが5617台(前年比75.2%)、タンクが2792台(同46.8%)とダブルスコアで差がついています。今回のマイナーチェンジで「タンク」が廃止になり「ルーミー」が勝ち残りましたが、過去の販売状況からも見えていたわけです。
同じく8月の販売台数をMクラスミニバンでは、「ヴォクシー」が4639台(同67.4%)、ノアが3323台(同84.0%)、エスクァイアが1750台(同57.6%)となっています。ヴォクシーのほうがリードしていますが、前年比の勢いを見るとノアにも根強い支持がありそうで、この勝負を市場マインドだけで決するのは難しいかもしれません。
ユーザーとしては選択肢が多いほうが嬉しい面もありますが、メーカーとしては販売統合を進めるメリットのひとつに、チャネルのために差別化していた兄弟姉妹モデルの開発コストを削減できるという面があるわけで、モデル統合の流れに向かっているのは間違いありません。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
※写真について
写真1枚目:アルファード
写真2枚目:ヴェルファイア
写真3枚目:ルーミーカスタム
写真4枚目:ルーミー
写真5枚目:タンク
写真6枚目:ヴォクシー
写真7枚目:ノア
写真8枚目:エスクァイア
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