ふらり、ぐらりを克服したい
text:AUTOCAR編集部
【画像】 ミニバン専用タイヤ、トヨタ・アルファードで検証【3月発売モデル】 全60枚
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)
2020年の新車を振り返ると、ヤリス、フィット、ノートが登場するなど、ハッチバック車の当たり年だったと言える。SUVも注目が高い。
しかし、登録車の年間販売台数ランキングを見渡すと、上位にはミニバンが名を連ねる。
トップ10圏内では、アルファード、ルーミー、フリード、シエンタ、ヴォクシーといった顔ぶれ。合計で約40万台が売れている。
軽市場で好調なスーパーハイト・ワゴンを加えると、日本の新車マーケットのざっと3分の1は、ミニバン・ハイト系が占めることになる。
これらのモデルは車高があり、重心も高いので、運転する機会があると自分の技術の未熟さを思い知らされる車種でもある。
走行中にステアリングを切るとグラっフラっ。加減速のときも、気を抜くと前後に揺すられる。こうした背高モデル特有のふらつき・騒音の対策をテストする機会があったので、レポートしておきたい。
被験車両はトヨタ・アルファード。近ごろはVIP送迎車の座をクラウンから奪いつつある。
上手に運転したいものだ。
今回は、ミニバン専用に開発されたタイヤの性能を確かめながら、理解を深めていきたい。
コツは、ロールを確かめながら
ミニバンの運転のポイントについて、ベテラン自動車ジャーナリストの方に伺ったことがある。
まずは車体のふらつき。ドライバーよりも同乗者を悩ませる挙動だ。
「おだやかに運転することが何よりも大事。頭の位置が高いから振られる」
「転舵の初期からじわじわと、ロールを確かめながら切り込んでいく感じ。ロールから横Gへ“キレイに繋がるように”切ってごらん」というアドバイスだった。
非ミニバン専用タイヤでテストを始める。
アドバイスを意識しながらステアリングを切り込むと、なかなか上手にロールしていく。が、アルファードの旋回姿勢が決まるところで後部がゆさっと振られてしまう。
何度やっても難しい。
ミニバン専用タイヤで走り直してみた。この新タイヤを近々発売する日本グッドイヤーの担当者によれば、「ミニバンでは、操舵時にタイヤ外側のショルダー部に負担が強くかかるため、その部分の剛性を高めている」という。
ステアリングを切ってロールが始まると、アウト側のショルダーがしっかりとした構造を持ち、傾くクルマを支えてくれるのが分かる。
切り込んだ量と、車体の傾きの相関関係がはっきりした感覚。ロールして、自分の身体が横Gで持っていかれるまでの繋がり・コントロールを、これなら意識できる。
乗り心地とノイズ 深い関係
ミニバン・ハイト系のドライバーを対象にした、タイヤの満足度調査にも学びがあった。
箱型で車内空間が広いミニバンは、クルマ自体が共鳴室のような効果を持つ。タイヤに関する不満の1位は「運転中のノイズ」という結果。
タイヤメーカーの方によれば、そうしたノイズの対策をしていくと、関連して乗り心地も変わるとか。
どういうことだろう?
タイヤが転がってブロックが路面に接地すると発せられる「パターンノイズ」は、タイヤの縦ミゾ(円周方向のミゾ)を伝わって響く。ミニバンは、多人数が乗り合わせて会話する機会が多いので、乗員に耳障りなノイズは不満の声につながる。
今回試した専用タイヤでは、縦ミゾのまわりに音の逃げ道となる横ミゾを設けたり、隣の縦ミゾと太さを変えることで、不快な音を低減させていた。
ミニバン専用と非専用を、速度を上げて乗り比べると、前者ではエンジンの音をより感じる。非専用タイヤでは、様々なノイズが耳に届くのでかき消されてしまうのだろう。
高速道路の継ぎ目をイメージした突起の乗越えテストをしてみても、専用タイヤはトン、トンと衝撃音のおさまりがいい。そして意外なことに、突き上げの不快感がないし、振動の収まりも早い。
前述の日本グッドイヤーの関係者は、「ノイズと乗り心地は密接に関係していて、形状・素材を最適化していくと、タイヤの変形・車体に伝わる振動も抑制される」と教えてくれた。
ファミリーで乗るから、気遣いも
クルマ酔いしやすい自分にとっては、騒音・振動が多いクルマは酔い始めると辛い。
そういう時は、ドライバーの運転の粗が一層気になる。
ドライビングの技術はこれからも高められるし、騒音・振動もアイテム次第で変えることができる。
なにしろ、運転がうまいと言われるヒトのクルマは、長時間乗っていても疲れないし、クルマ酔いした経験もない。相乗りするなら、そういうドライバーの隣がいいし、自分自身もそんな技術を身につけたい。
ふらつきを起こさないように意識して、ミニバンを走らせる。そして可能なら、クルマをコントロールしやすいタイヤを選んで、騒音・振動面に強い銘柄で同乗者を気遣う。
ちょっとした技術と、正しい道具選び。
「このヒトの運転って、なんだか疲れる」と思われないミニバン・ライフの秘訣は、案外手の届くところにあると思う。
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みんなのコメント
あれだけでかいボディを真面目に騒音対策したらコスト掛かるし重くなるし
そもそも運転下手くそな奴がミニバンなんてデカい車運転すんじゃねぇよ
最初の書き込みが喧嘩腰だなんて程度が知れる。