マイカーを維持するうえで、避けて通れないのが車検。購入したディーラーに任せれば楽で安心だが、金額は高めになる。ほかに自動車整備工場や車検専門店といった選択肢もあり、金額的にはこちらの方が有利だ。
価格的に一番安いのはユーザー車検だが、全部自分でやらなければならないために不安があり、また再車検になるリスクもある。
さらに2024年からは自動ブレーキなど最新の機能に対応した「OBD検査」が加わる。これは対応した機器を持たない工場では検査できないため、新型車の車検に制約が加わる可能性がある。今回は最新の車検事情をお伝えしよう。
文/藤田竜太、写真/AdobeStock(トビラ写真=naka@AdobeStock)
■車検の方法によって費用も変わってくる
ディーラー車検は安心だが費用もそれなりにかかる(bookybuggy@AdobeStock)
乗用車は2年に1度(新車時は3年)義務づけられている車検。正式には「自動車検査登録制度」といい、公道を走るクルマは、保安基準に適合しているかどうかを、国土交通省の定めた場所、検査員によって検査することになっている。
こうした車検を受けるには、大別して下記の3つ方法がある。
【1】メーカー直系のディーラーに頼む、ディーラー車検
【2】カー用品店や民間整備工場、車検専門店、ガソリンスタンドに依頼する。
【3】ユーザー自身が、運輸局の検査登録事務所に持っていく、ユーザー車検。
コスト的には、ユーザー車検が最も安く、日頃から小まめにメンテを行なっていて、とくに車検を通すための整備が必要なければ、法定費用だけで済んでしまう。
法定費用とは、重量税、自賠責保険、印紙代などの費用で、普通車(1t~2t)の場合、59,450円が標準。
ディーラーや整備工場などに車検を依頼した場合、この法定費用に整備点検代と交換部品代等がプラスされ、街の整備工場や大手カー用品店だと、8~9万円。ディーラーだと10万円以上で、場合によっては法定費用の倍以上になることも珍しくない。
これらの費用の差は、整備のボリュームによって変わってくる。
ディーラーの場合、次回の車検までの2年間、安心して乗れるように、現状では問題なくても、2年後までは持ちそうもない部品は積極的に交換を進めてくれる。いわゆる、「予防整備」が手厚いのがディーラー車検の特徴。
また交換が必要と判断された部品は、当然、メーカー純正部品を使うので、これも少々割高になる。
その代わりフロントの対応も親切丁寧で、代車を貸してくれたり、引き取り納車、洗車などのサービス(一部有料)あり、さらには整備補償がつくのがディーラー車検のメリット。
普段自分ではほとんどメンテナンスしない。メカにも詳しくない。走行距離が長い、あるいは短いといった、使用条件がシビアコンディションに相当する人は、ディーラー車検を利用するのが賢明だ。
また費用が高いといわれるディーラー車検も、最近では、購入時に入る「メンテナンスパック」(あらかじめ決められた期間内のメンテナンス代を一括前払いすることで割安になるサービス)が普及し、利用しやすくなってきた。
ただ、ディーラーのメカニックは入れ替わりが激しく、ベテランメカニックがいない工場も増えているのが現状だ……。
■専門店はディーラーに比べて割安なところが多い
専門店はディーラーに比べて割安というのを売りにしている部分もある。費用に応じてメニューを選べるところもあり、特定の車種に強いショップなどもある(naka@AdobeStock)
一方、街の整備工場や車検専門店などは、格安プラン(保安基準をクリアする最小限の点検と整備)から、ディーラー並に「予防整備」をしっかり行なうプランまで、費用に応じて3段階ぐらいのメニューを用意しているところが多い。
基本的には、ディーラー車検に対し、『安さ』や『早さ』を売りにしている業者が多いので、比較的割安な価格設定となっている。
交換する部品なども、ディーラーとは違い、純正同等の社外部品、いわゆる優良部品を使ったり、リビルド品を積極的に利用。さらにそうした部品代を値引きしてくれることもある。
また、予防整備は最小限でも、「今回は交換しませんでしたが、このパーツとこのパーツは一年以内に交換してください」といったアドバイスがあったり、車検の見積もりのときに、今回一緒に交換するか、半年後、一年後に交換するか、と確認・相談してもらえるケースも少なくない。
いずれにせよ、プロの目で点検してもらえたという安心感はある。さらに特定の車種に強い専門店であれば、ディーラー以上に心強い。
そしてユーザー車検。ユーザー車検では、車検とセットになっている法定二十四ヶ月点検の項目は、基本的に自己責任。
車検は2年に1度の本格的な点検の機会なので、業者に出す・出さないは別として、最低でも下記ののチェックが必要。
・タイヤの摩耗具合、ひび割れ、エアチェック
・エンジンオイルなどの油脂類の点検、交換
・ワイパーゴム
・エアフィルター
・ラジエターの冷却水
・ウインド・ウォッシャー液の補充
・バッテリー
・ブレーキパッド・ディスクの残量、ブレーキフルードの量と汚れ
・ベルト類の消耗
なんだかんだいって、クルマは消耗品の塊なので、日頃からクルマのコンディションに気を配り、定期的に消耗部品を交換したり、メンテナンスをしたりしている人以外には、あまりユーザー車検はおすすめできない。
また、自分で陸運支局を調べ、国土交通省のホームページから検査の予約をしなければならないし、検査当日も最低半日は時間をとられる(平日オンリー)。しかも、ユーザー車検の32%は不合格(要再検査)になるというデータもあるので、あまり安易に考えない方がいいだろう。
金銭的な出費は一番低く抑えられるが、手間と時間はそれなりにかかり、点検整備が行き届かないというリスクもあるので、万人向きとは言い難い。
■OBD検査の導入により車検が受けられなくなる工場も
OBD(車載式故障診断装置)の接続ポート。OBD車検開始後は、専用スキャンツールを持っている工場以外では車検が受けられなくなる(gargantiopa@AdobeStock)
そして、車検に関しては、もうひとつ重要な流れがある。それは、2024年10月1日より開始予定の「OBD検査」のこと。
国土交通省の資料には、OBD検査の概要について、
「衝突被害軽減ブレーキ等の自動運転技術については、近年、軽自動車を含む幅広い車両への搭載が進んでおります。これらの技術は、交通事故の防止に大きな効果が期待される一方、故障時には誤作動等により事故につながるおそれがあることから、使用時においても、確実に機能維持を図ることが重要です。
このため、令和6年10月から、自動車の検査(車検)において、衝突被害軽減ブレーキ等の自動運転技術等に用いられる電子制御装置の目に見えない故障に対応するための電子的な検査を開始することとしております」と書かれている。
OBDとは、On-Board Diagnosticsの略で、「車載式故障診断装置」のこと。OBD車検は、このOBDに専用のスキャンツールをつないで、ECUに記録された故障コードを読み取り、点検整備に活かすというもの。
対象車は下記の通り。
国産車…2021年10月1日以降の新型車が対象。2024年10月1日より検査開始
輸入車…2022年10月1日以降の新型車が対象。2025年10月1日より検査開始
このOBD車検が始まると、専用スキャンツールを持っているディーラーなどの工場以外では、対象車種の車検が受けられなくなってしまうことになる。
■電子部品が格段に多い現代のクルマは車検も複雑に
ECUなどの電子機器を多用する現代の車は部品交換の手順を間違えるだけで不調を来すことも。そうなるとディーラーに持ち込まざるをえない(Africa Studio@AdobeStock)
また最近のクルマは、バッテリーを交換するだけでもバックアップ電源を接続しておかないと、ECUの電源が切れることで、パワーウインドウのオートが作動しなくなったり、アイドリングの不調になることも! そうなるとディーラーでリセット作業が必要に……。
さらにアイドリングストップ車は、バッテリー電流積算値などをリセットしないとアイドリングストップシステムが正常に作動しないこともある。これもディーラーでお世話になるしかない。
その他、ハイブリッド車の点検整備には、ハイブリッドシステムをチェックする専用のテスターが不可欠=ディーラーオンリーという噂もあったが、ディーラー以外でも専用テスターを持っている工場であれば大丈夫。
同じようにOBD車検も、専用ツールさえあれば、ディーラー以外でも対応できるはず。
最新技術が投入されたクルマほど、ディーラーもしくは専門店しか整備できなくなる可能性もあるが、一方で今年、トヨタ系のディーラーで15社・16店舗、計6659台の不正車検が発覚したように、ディーラーであれば安心というわけではない。
この事件は「短時間車検」が原因とされ、過剰な「早さ」「安さ」は不正につながるリスクもあるので、適正な費用、適正な整備を優先に、頼れる愛車の主治医を見つけ、車検やメンテを頼むようにしよう。
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みんなのコメント
見出しで誤解させすぎだろ
もし本当に「ディーラー以外」では車検が受けられなくなったら運輸支局でも受けられないことになるぞ
結局これが原因でしょ。それだけトヨタ車が多いと言う事もいえます。
トヨタの販売店でレクサスも扱っているから、現場の人は大変と思います。
何名もの営業担当から、無茶振りされるんだろうと思います。
出来ない事は出来ないと、ムリをしない様にお願いします。