メルセデスF1のチーム代表であるトト・ウォルフは、F1メディアと内部関係者に不穏な電子メールが送られたことを受け、ルイス・ハミルトンに対して“組織的な妨害”があったとの申し立てを強く否定するために進み出た。
ウォルフは、厄介な陰謀論推進者を追跡して正体を暴くべく、チームがイギリスの警察当局に届け出たことを認めた。ウォルフが言うところの“不穏な”電子メールは、6月10日にF1メディアと関係者のメーリングリストあてに送信された。今年初めに、レッドブルF1のクリスチャン・ホーナー代表に関するうわさを広めるために使われた戦術とよく似たやり方だ。
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『ルイスへの死刑執行令状の可能性』という扇動的な件名がつけられたこのメールは、メルセデスの従業員が匿名で作成していると主張しており、チームメイトのジョージ・ラッセルを利するためにハミルトンを妨害する取り組みの可能性を、詳細に説明するものだった。このメールは、ハミルトンの2025年のフェラーリ移籍が迫っているため、メルセデスがラッセルを優先しているとほのめかしていた。同様の告発を含むSMSメッセージも、一部のメディア関係者に送られた。
バルセロナで話をしたウォルフは、このメールがメルセデス内部から発信されたことをきっぱりと否定し、チームがこの問題を深刻に受け止めていることを強調した。
「チームのメンバーから送られたものではない」とウォルフはコメントした。
「我々はこの種のメールを大量に受け取るが、特に内容が死や何かについてのものだと不穏に感じるものだ。そのため、今回のこの件は全力で取り組むよう指示した」
「警察に問い合わせてもらっている。我々はIPアドレスや携帯電話など、あらゆることを調査しているが、それはこのようなオンライン上での嫌がらせを止める必要があるからだ。携帯電話やコンピューターの後ろに隠れ、このような方法でチームやドライバーに嫌がらせをすることはできない」
メルセデスが意図的にラッセルを優遇し、ハミルトンに不利益を及ぼしているという突飛な申し立てに対処するなかで、ウォルフはそのような主張を信じる人たちには“精神科医”が必要だと示唆した。彼はまた、オンラインで嫌がらせをする者たちによる誹謗中傷の匿名性と臆病さを非難した。
「陰謀論者や異常者の一部が何を考えているのか、私にはわからない」とウォルフは語った。
「ルイスは12年間チームの一員でいる。我々には友情があり、互いを信頼している。我々はこれを最高の状態で終わらせたいし、この関係を祝いたい」
「こうしたすべてのことを信じなくても、我々がコンストラクターズ世界選手権を制覇したいと思っていることは信じられるだろう。そして、コンストラクターズ世界選手権には、2台のマシンを勝たせることも含まれている」
「だから、世の中の狂気じみた人たちは全員精神科医にかかってほしい」
「まず第一に、私はコメントをまったく読んでいない。私はソーシャルメディアを使っていない。そして、そうすることで自分の身を守ることが重要だと思っている。このことについては、これまで何度もコメントしてきた。寝室で胸にノートパソコンを載せ、ただタイピングしている人たちは常にいるだろう。嫌がらせをしたいと思えば、誹謗中傷した後でパソコンの後ろやでっち上げのインスタグラムのアカウントの後ろなどに隠れるのだろう。私に近づいてきて、あなたが誰であるかを言ってほしい。そして我々は批判を受け入れて議論するだろう。だが隠れないでほしい」
「そして、我々が成功を望むからこそ、多くの不合理があるようにも思える。我々は、このスポーツ史上最も象徴的なドライバーと成功を収めたいと考えている。素晴らしいドライバーであり、他のスポーツ選手と同じように浮き沈みを乗り越え、素晴らしい人格を持つルイスと仕事をする特権が、我々にはあった。私は彼がフェラーリに行く理由を心から尊重している」
「わだかまりなどない。悪感情はない。チーム内の交流はポジティブに行われており、チーム内で起こっていることに対する外部からのコメントはすべて間違っている」
ウォルフは、オンラインでの誹謗中傷に関しては、メルセデスが法的措置を取る決定を下したことが反映しているように、断固とした対応を取るべきだとはっきり述べた。
「常に限界がある。つまり、もし電子メールが送られていたり、電話番号がこれらのメッセージに使われているのなら、私にとって冗談ではなくなる。成功するかどうかにかかわらず、我々は追及するだろう」
「しかし、ある特定のことには限界がある。そしてもちろんだが、オンラインでの誹謗中傷は、我々、チーム、スタッフだけに起こることではない。ルイスとジョージにもひどいことが起こる」
「そして、マックス(・フェルスタッペン)がそのこととケリー(・ピケ)について発言しているのを見た。嫌がらせをする人々は、隠れているので臆病者だ」
「ソーシャルメディア上で、世間で何が起きようとも、よいことももたらされる。そして、このプラットフォームを与えられた人々がいる。それにネガティブなことが伴うということにすぎない。さっき言ったような理由で嫌がらせをする者に対し、私は何の感情も抱いていない」
英国ノーサンプトンシャー警察は、メルセデスからの訴えを受け、この事件を捜査し、その結果、犯罪の証拠は見つからなかったと発表した。
ノーサンプトンシャー警察のスポークスパーソンは、6月25日、BBCに対して、次のようにコメントした。
「ノーサンプトンシャー警察は、6月12日、メルセデスAMG F1チーム内で流布されていた電子メールに関する通報を受けた」
「犯罪行為は確認されなかった。しかし、チームが今後受け取る可能性のある電子メールについて、助言が与えられた」
この助言の内容については明かされていないものの、警察としては、たとえ明確な犯罪行為でなくても、こういったメールは妨害行為や嫌がらせ行為となる可能性があるため、メルセデスは引き続き状況の監視を行うべきであるとの考えを示したものとみられる。
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