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「もう辞めようと思ったことは何回もあった」TEAM NOPRO、不屈の精神で掴んだS耐参戦13年目の初戴冠

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「もう辞めようと思ったことは何回もあった」TEAM NOPRO、不屈の精神で掴んだS耐参戦13年目の初戴冠

 11月16~17日に富士スピードウェイで行われた2024スーパー耐久最終戦。毎年白熱したトップ争いが繰り広げられるST-5クラスは17号車DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2が優勝を果たし、2012年から挑戦を続けているTEAM NOPROが悲願の初チャンピオンを獲得。レース後のTEAM NOPRO陣営は歓喜の渦に包まれた。

「ここまで長かったなといいますか……ディーゼルで挑戦してちょうど10年目。最初のころは燃費が良くて、24時間レースで上位に入ったり優勝したりすることがあったので、ディーゼル車が増えそうな気配もあったのですが、結果的にはうちのクルマ1台しかいない状態のなか、いろいろなレギュレーションのなかでST-5クラスのクルマと戦うようになりました」

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「そのなかで今年はマツダ・ロードスター勢が有利な部分があったのだけども、最終戦ではそういったこと(勢力図など)が論外になるような出来事が多くあり、チャンピオンを獲ることができました」

 そう語るのは、17号車のDドライバーを務め、TEAM NOPROを率いる野上敏彦。長年、マツダ・デミオで挑戦を続け、2015年からディーゼルエンジンを導入。富士24時間レースでは3年連続でクラス優勝を果たす活躍をみせていたが、シリーズランキングでは2年連続で2位留まりと悔しい結果が続いていた。

 2023年シーズンも毎戦安定した走りでST-5クラスが参加した6戦中5戦で表彰台に上がったが、チャンピオンに手が届かなかった。

「正直『辞めてやろう』と思ったことは何回もありました。ちょっと言い訳っぽいですけど『もうスーパー耐久はいいや』という気持ちになっていたのは事実で、それこそ昨年なんかは『もうそろそろ辞めようかなと思っている』と、口に出しちゃったようなところがありました」と野上。

「だけど、ドライバーたちや周りのみんなから『いや、来年もやりましょうよ!』という雰囲気ができてきちゃっていたので……『じゃあ、もうやるしかないな!』という思いで臨みました」と今季に向けて再度挑戦することを決意したという。

 とはいえ、今シーズンも決して順風満帆ではなかった。第2戦富士24時間で優勝を果たしたものの、コンスタントにポイントを積み重ねる88号車村上モータースMAZDAロードスターとのランキング首位争いとなっていった。

 そんななか、ある意味で転機となったのが第6戦岡山の予選での出来事。野上が乗り込んだDドライバー予選でマシンが横転するクラッシュに見舞われたのだ。

「そのとき乗っていたのが私でしたけど、とにかくフロントを守らなきゃという気持ちが強くて(車体の姿勢を)回して何とかフロントは当たらずに済みました。ただ、結果的にグラベルに引っかかって転がってしまいました」と野上。

 フロントウインドウも割れるなど、マシンのダメージは大きかったが、チームが懸命に修復し翌朝のグループ2決勝に出走。4位で10ポイントを獲得したことが、最終的にチャンピオン獲得への大きな一歩となった。

「あのときは『このくらいだったら直せるな』という雰囲気がありました。やはりレースを戦ううえでは、少し大変な思いをすることもありますけど、そこにはいろいろな学びがあると思います。そういった意味で我々が学べたところというのが岡山だったのかなと」

「やはり、あそこでチームがまた強くなりましたし、それを経て迎えた最終戦に関しても『何がなんでも勝ってやろう』という意識をみんなが持って動いていたので、それが結果につながったのかなと思います」と、野上も岡山でのクラッシュから一晩で復活できたことをターニングポイントとして挙げていた。

 そこでチームがより一致団結し、波乱の展開となった富士では終盤にトップ争いを展開。最後にステアリングを託された小西岬が力強い走りでトップを奪い、ファイナルラップを迎えた。

「最後のラストラップで『やっぱり勝てたよね』というか…‥岡山での流れもありましたし、いろいろとガチャガチャしたところはありましたけど、最後は自分なりの予測したところに『ピタッ』とハマったなと。最後のピースがハマったような感じでしたね」と勝利を確信したという野上。

 取材では淡々と話したが、レース後はチームメイトやスタッフたちとの喜びを分かち合いながら、感慨深い表情を見せていたのが印象的だった。

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