新車の納車遅れで下取り車が出回らず、中古車相場はまだまだ高値圏。とはいえ諦めることはない。強気の値付けが当たり前の中、意外な割安感があるクルマも存在するのだ。ここでは人気も高くて絶対得する中古車を5台紹介しよう。
文/萩原文博、写真/トヨタ、スバル、ホンダ、日産、ベストカーWeb編集部、AdobeStock
ハリアーも射程内! これなら買える! 高値が続く中古車で絶対お得なクルマ5選
■海外からも注目度が高い日本の中古車
新車の納期遅延や海外からのニーズの増加を受けて高騰気味だった中古車価格も、2022年末からは若干下落傾向となっている(xiaosan@AdobeStock)
半導体不足やコロナ禍の影響で、新車の納期が長期化。その結果、すぐに乗れる中古車に注目が高まった。その結果、中古車相場が高騰し、カーオークション大手のユー・エス・エスの平均落札価格が2022年6月以降11月まで100万円を上回り、9月には過去最高の122万円を記録している。
一部の国産自動車メーカーでは、新車の納期遅延も短くなっている車種もあるが、全体的には見通しは暗い。人気の高い車種では納車が2025年になるとも言われている。
そもそも中古車は新車への乗り替えによって発生するものであり、新車がユーザーにデリバリーされなければ、中古車は市場に出回らない。
自動車メーカーはこの循環を確保するため、サブスクリプションや個人リースを展開している。こういった所有方法を提供すれば、3年もしくは5年後に履歴のしっかりとした中古車が手元に戻ってくる。それに保証という付加価値を付けて販売する。これが自動車メーカーの展開している認定中古車制度だ。
ところが新車の納期遅延が解消されないと優良な中古車も枯渇し、遠くない未来に市場に出回っている中古車は、コンディションがイマイチのクルマばかりということになる。そうなれば中古車相場は暴落する可能性もある。
しかしやっかいなことに、その可能性を中古車のグローバル化が妨げている。価格の安いクルマは海外にどんどん輸出されているのだ。
中古車販売店もビジネスなので、日本で価格が安くても海外が高く購入してくれるのなら輸出しない手はない。とにかくこういった状況を好転させるためには、新車の安定供給は欠かせないといえる
こうした背景を踏まえて、中古車相場をチェックしてみよう。ユー・エス・エスの平均落札価格は「11月までは100万円を超えていた」と述べたが、年末から中古車相場はわずかに下落傾向となっている。
その理由の一つには年式が1年進んだことも影響しているが、プレミアム価格となっていた未使用車の相場が落ち着きを見せたことも大きい。
中でもお得感があって絶対見逃せないのが、以下の5車種だ。
■トヨタ ハリアー(3代目):2017年のマイチェン前を狙え!
2013年から2020年まで販売された3代目トヨタ ハリアー。2017年のマイナーチェンジ前が狙い目
まずは3代目トヨタ ハリアー。60系とも呼ばれるハリアーは2013年~2020年まで販売された。本来ならレクサスRXの導入により絶版となる予定だったが、営業の現場が廃止反対署名を集めてまで存続させたというモデルだ。レクサスRXとは別モデルであり、RAV4と共通のプラットフォームを採用している。
搭載しているパワートレインは2Lエンジン+CVTと2.5Lエンジンのハイブリッド。さらに2017年のマイナーチェンジの際に2Lターボ+6ATを追加している。すでに値落ち傾向となっているのは、この2017年のマイナーチェンジ前のモデルだ。
2016年式でも3回目の車検を迎えるタイミングであるのに加えて、2020年に登場した現行型ハリアーの中古車が出回り始めたことも大きな要因と言える。
■スバル XV(3代目):現行の2Lガソリンモデルは完成度高し!
2023年に発売が予定されている新型でクロストレックという名前になるスバル XV。値が下がっている現行モデルのガソリン車がオススメ
続いては、今夏に発売される新型はクロストレックと名称変更されるスバルXV。2012年~2017年まで販売された旧型、2017年~現在まで販売中の現行モデルともに全幅1,800mm以下、全高1,550mm以下という立体駐車場に対応したボディサイズを採用。
また、スバル独自のシンメトリカル4WDによる高い走行性能、2Lマイルドハイブリッドによる高い環境性能を備えたコンパクトSUVの実力派だ。最も強調したいのは、スバル独自の安全装備、アイサイトを装備しているクルマが多いため、中古車で購入しても満足度が高いこと。
スバルXVの中古車の平均価格は、右肩下がりの順調な値落ち傾向となっているが、最も値落ちが目立つのは現行モデルで特にガソリン車が狙い目。
ただ、1.6L車は街乗りでも加速性能にストレスを感じることがあるので、狙いは2Lエンジン搭載車だ。2Lの駆動方式はアクティブトルクスプリットAWDで、さらに走行性能をアップさせるX-MODEも装備していて、シーンを選ばず高い走行性能を発揮する。
■ホンダ ステップワゴン(5代目):ハイブリッドの値落ちが進行中
2015年から2022年まで販売された5代目ホンダ ステップワゴン。2022年のフルモデルチェンジの影響で5代目ハイブリッド車の値落ちが進んだ
2Lクラスミニバンのホンダステップワゴンも値落ち傾向となっている。中古車の平均価格は年末から2月中旬までは値上がり傾向だったのだが、そこをピークに値落ちに転じてわずか1カ月で約10万円の値落ち幅を記録している。
2022年にフルモデルチェンジを行ったこともあり、特に2015年~2022年まで販売された旧型モデルの値落ちが目立っている。
旧型ステップワゴンは標準車とスポーティなスパーダの2種類を用意。
搭載するパワートレインは1.5Lターボエンジン+CVTを中心に、2017年のマイナーチェンジでスパーダにのみ2Lエンジン+発電・駆動の2モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載。そしてこのタイミングで、ホンダの先進運転支援システム「ホンダセンシング」が全車標準装備となった。
標準車や1.5Lターボのスパーダは、すでに値落ちが進んでいるので、フルモデルチェンジの影響でハイブリッド車の値落ちが進んだのがこのタイミングと言える。現行モデルでは廃止されたワクワクゲートは利便性が高く、ミニバンの中では高い走行安定性も魅力だ。
■日産 セレナ(5代目):憧れのオーテックバージョンに手が届くかも
2022年11月に6代目へとフルモデルチェンジしたばかりの日産 セレナ。今後e-POWER車が追加されるタイミングで5代目の値落ちはさらに進むはずだ
ここからは、今後値落ちが期待できる2車種を紹介する。フルモデルチェンジして、旧型の値落ちが進んだステップワゴン同様に、2022年11月にフルモデルチェンジを行った日産セレナの先代モデルも値落ちに拍車がかかる可能性は大きい。
値落ちの中心は2016年~2022年まで販売されたモデル。セレナの中古車の平均価格を見ると、2023年2月をピークに値落ち傾向になっている。今春にはe-POWER車が追加されるタイミングで値落ちがさらに進むはずだ。
旧型の2Lガソリン車はすでに大きく値落ちしているので、値落ちが期待できるのは、旧型のe-POWER車。高値安定傾向が続いているオーテックバージョンなどはこの値落ちのタイミングで狙いたい。
■トヨタ アルファード:新型車投入で現行モデルの値落ちに期待!
2015年から販売されている現行型トヨタ アルファード。2023年にはフルモデルチェンジを控えるだけに、これから値落ちしてくるだろう
2023年の中古車相場で値落ちが期待できる車種として最後に紹介するのは、トヨタ アルファードだ。もちろん値落ちの中心は2015年から販売されている現行型だ。
一時は“アルファードバブル”と言われるほど人気を誇り新車を購入し、すぐに手放すと新車価格以上の買取価格が提示されるという現象もあった。
アルファードの中古車の平均価格の推移を見ると、そのアルファードバブルは終焉を迎えており、この1カ月で10万円以上の値落ちとなっている。そもそも需要期の3月にこれだけの値落ち幅を記録していることに驚きだ。
さらに、この現行型アルファードの中古車の値落ちに拍車を掛ける要因がフルモデルチェンジ。今夏までにアルファードそしてヴェルファイアはフルモデルチェンジを行う予定だ。そうなると旧型の中古車相場はさらに下がるのは間違いない。
* * *
いかがだったろうか。セレナとアルファードだが、発表はしたものの、新型車のデリバリーが遅れると値落ちするタイミングは遅れる可能性はある。現ユーザーは手放すタイミングも見極めないと大きな損をする可能性もあるので注意したい。
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