現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 初フィアットの「プント」は成田エクスプレスとして大活躍! ジウジアーロのデザインも冴えてました【忘れじの車】

ここから本文です

初フィアットの「プント」は成田エクスプレスとして大活躍! ジウジアーロのデザインも冴えてました【忘れじの車】

掲載 11
初フィアットの「プント」は成田エクスプレスとして大活躍! ジウジアーロのデザインも冴えてました【忘れじの車】

普通なのに非凡な実用車の鑑のようなコンパクトカー

自動車メディアに長く携わっている業界関係者に、心に残っているクルマの思い出を語ってもらいました。今回は、モータージャーナリストの島崎七生人さんにフィアット「プント」にまつわるお話を振り返ってもらいました。

高校男児をズキュンと射抜いたフィアット「124スパイダー」! 青山学院前とアグネス・ラムの呪縛とは【忘れじの車】

自分で所有した最初のフィアット

それまでにも仕事やプライベートで乗ったフィアット車はいろいろあった。だが、自分で所有した最初のフィアットはプントだった。今から26年前の1997年3月に導入が始まった日本仕様の初代で、カブリオや後にアバルト版なども展開されたが、ウチにやってきたのは5ドアの“セレクタ”という仕様。4気筒の1240ccエンジンにCVTが組み合わせられた簡素なクルマだった。

このプントだが、僕にとっては実は“追いイタ車”でもあった。というのも、当時の僕は自分のクルマを、アルファ ロメオのセダン「164」から発作的にクーペ「GTV」に乗り換えたばかりの頃。しかしある時、海外試乗かショーの取材で成田に向かうことになった際、GTVのトランクルームには何とスペアタイヤがデン! と縦に載っており、それを降ろさない限り愛用のスーツケースが入らないことが判明。そこで乗っていたクラシック「ミニ」を手放して、代わりに導入したのがプントだった。アルファGTVはロングツアラーとしてそのままにし、フィアット・プントは増車の2台体勢、だから追いイタ車だったという訳だ。

ところでこの初代プント、自分で選んで乗っていた立場で言うのもこそばゆいが、今から考えても、普通なのに非凡な実用車の鑑のようなコンパクトカーだったと思う。

とくにパッケージングの素晴らしさにはつくづく感心させられた。全長3760mm×全幅1625mm×全高1460mm、ホイールベース2450mmと外観はとてもコンパクトだったが、室内はとても広々としていて居心地がよかった。とくに後席は6ライトの窓の明るさと相まって、1クラス上のクルマに乗っているかのような余裕で、人を乗せると大抵「へえ、広いねぇ」と言われた。前席は少しアップライトなシートポジションということもあり見晴らしがよく、クルマそのものの扱いやすさは上々だった。

成田エクスプレスの任務もこなしてくれた

シートは表皮がオーセンティックなチェック柄のファブリックで風合いもサッパリとしていて、何よりコンパクトカーながらクッションの厚みがありシッカリとした着座感が味わえた。インパネにはこの時代のクルマらしく後付け感満載のエアバッグが助手席側にポコッとついていたものの、インパネ自体は空調関係の2つのダイヤルをはじめ、必要最小限の機能が並んでいる程度。実にシンプルながら実用車の用途だったからそれで十分で、クルマそのものは鉄ホイール+ホイールキャップのまったくの“吊るし”の状態で乗っていたが、1DINサイズの標準装着のFM/AMカセットステレオだけ、SONYのMDデッキに自分で付け替えた。

もちろん“成田エクスプレス”の任務もちゃんとこなしてくれた。とあるメーカーの海外試乗会のお誘いに、とある編集部の人と参加することになり、ダブルフォールド式の後席を畳めば彼のサムソナイトと僕のTUMIの22インチの2人分のスーツケースが楽々と載せられた。実用車としての面目躍如といったところだった。

ジョルジェット・ジウジアーロが手がけた冴えたスタイル

4気筒/1240ccのFIREエンジンは60ps/9.8kgmで、1750~4850rpmで最大トルクの90%以上を発生するというもので、街中はもちろん高速走行も必要にして十分だった。ただし組み合わせられるのがCVTだったためアクセルワークはコツを掴む必要があり、無闇にアクセルを踏み込むと、いわゆるかつてのCVTで言われたラバーバンドフィールを味わうことになり、それが少々もどかしかった。一方でサスペンションストロークがたっぷりとしているおかげで乗り心地はすこぶる快適で、コーナリングでクルマがロールした際のロードホールディングも確かで安心感が高く、こうした何気なく走りの素性が高いところはフィアット(=欧州コンパクト)の魅力だなと改めて実感した。

それからもうひとつ、初代プントの魅力のひとつとして忘れてはならないのがジョルジェット・ジウジアーロが手がけた冴えたスタイルだ。何を隠そう物心ついてミニチュアカーのコレクションを始めた頃から(!)ジウジアーロのファンだった僕は、それまでも自分のクルマとしていすゞ「117クーペ」を皮切りに、いすゞ初代「ピアッツァ」、VW初代「シロッコ」などを乗り継いだ。なので初代プントでジウジアーロにまた乗れることをおおいに楽しんだ。

同じフィアットのコンパクト系でジウジアーロはパンダやプントの前身のウーノも手がけていたが、それらともまた違うプントの“作風”は、年代が異なるとはいえ彼のセンスとアイデアの引き出しの豊富さを思い知らさられたもの。とくにショルダーから下に微妙なインバースを設け、それをリアまで回したところや、縦長のリアコンビランプをピラーに沿わすなどし無駄なパーティングラインを徹底的に整理していたところなど、とてもさり気ないがデザイン上の味わいどころだった。プントは庶民のための足グルマだったが、同じ庶民ながら、イタリア(と欧州)の人たちはこんなに洒落たクルマが身近にあって羨ましいなぁ……と思ったものだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

[車検]費用が増える? 2024年10月より車検での[OBD検査]を本格運用へ
[車検]費用が増える? 2024年10月より車検での[OBD検査]を本格運用へ
ベストカーWeb
即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
ベストカーWeb
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
Auto Messe Web
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
AUTOSPORT web
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
AUTOSPORT web
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
AUTOCAR JAPAN
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
乗りものニュース
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
motorsport.com 日本版
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
AUTOSPORT web
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
AUTOSPORT web
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
AUTOSPORT web
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
くるまのニュース
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
AUTOSPORT web
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
AUTOCAR JAPAN
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
Auto Messe Web
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
AUTOSPORT web
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
AUTOSPORT web

みんなのコメント

11件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

289.0374.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

148.0189.0万円

中古車を検索
プントの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

289.0374.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

148.0189.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村