もくじ
ー 目指したのは、ありきたりではない躍動感
ー ほかにもデザインの選択肢があった?
目指したのは、ありきたりではない躍動感
――単刀直入な質問から。208、どう思いますか?
「基本方針は『小さくてセクシーなホットハッチをつくる』ということでした」
「ポイントは、ただそれを追い求めるのではなく、現代の解釈によって、方針を成り立たせることでしたね」
「206、207、208と見ると、いい意味でそっけないデザインであることが、おわかりになるでしょう。これは1990~2000年代のトレンドです」
「これらをよりセクシーにしたのです。たとえば4輪の位置をご覧ください。止まっていても、今にも走り出しそうな躍動感あるデザインだと思いませんか?」
――フロントガラスの位置も、後ろに下がっていますね。
「おっしゃるとおりです。シルエットをよりスポーティなものにするための手法です」
「くわえて、ショルダー部分をきちんと張らせています。4輪もできる限り、前後に、そして外側に。フェンダー・アーチモールも同じ目的です」
「ただし、やりすぎないことが大事。そこは意識しましたね」
ほかにもデザインの選択肢があった?
――それ以外の選択肢もあったのですか?
「ずいぶん彫刻的なデザインになった可能性もあります。ギュッとボディを彫り込んで、陰影を表現する手法です」
「結果的にボディを削り込むのではなく、なめらかな抑揚で、肉体的な美を追い求めました」
――むずかしかったのではないですか?
「このデザインを、現代の基準で達成することは、正直、難を極めました」
「安全面で現代のレギュレーションをクリアするためには、おのずとボディが大きくなるのです」
「ミニをご覧ください。初代、2代目、そして3代目。使うマテリアルは増え、オーバーハングはどんどん大きくなっていますよね」
「わたしたちは、物理的に大きくなることは、ある程度仕方ないと思っているんです。しかし、『そう見えないようにする』ということに力を注ぎました」
「理想的なプロポーションとはなにかを追求し、あくまで小さくて、ギュッと詰まったルックスを目指したのです」
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