ドルゴビッチのF2王者に貢献したエンジニアがTeam LeMansに。強力助っ人加入で「チームの考え方が大きく変わった」とロベルト・メリ

　今季も片山義章とロベルト・メリを擁し、Audi R8 LMSでスーパーGTのGT300クラスに参戦するTeam LeMans。彼らは新たなシーズンに向けて体制強化を図ったが、メリは開幕を前にその効果を早くも実感しているようだ。

　昨年のTeam LeMansは、開幕戦岡山では片山と本山哲のコンビで5位に入賞。本山がチームを離れ、メリが加入した後も第5戦鈴鹿で5位に入ったが、安定してポイントを重ねるには至らなかった。

　現状では唯一のアウディユーザーであるTeam LeMansは、ホームコースである岡山での公式テストでは2日間の総合タイムで4番手を記録し、雨の富士テストでも総合2番手につけるなど、順調な滑り出しを見せている。

「昨年の僕たちはフリー走行で18番手とか20番手だったから大変だった。そこから比べると少し進歩していると思う」

　メリはそう語る。

「今はマシンを大きく変えて、バランスも良くなっている。良い方法が見つかってヨシ（片山）も満足している。ヨシ自身も成長しているから、期待できそうだ」

「実力を隠しているチームもあるだろうから、（開幕戦で）みんなが全開で走ってみないと分からない。でもQ2に進んで予選をトップ10で終えることはできるはずだ」

　こういったポジティブなコメントの裏には、今季からの体制強化が一因にあると言える。Team LeMansは今季から、外国人エンジニアのマティア・オセラドーレをチーフエンジニアとして招聘。オセラドーレは昨年、MPモータースポーツでフェリペ・ドルゴビッチのレースエンジニアを担当し、ドルゴビッチのFIA F2王座獲得に貢献した実績がある。それ以前はプレマで働いており、メリとはその際に付き合いがある。

　オセラドーレが来日して実際にレースに帯同するのは数戦になるとのことだが、既に富士テストの時にはリモートでミーティングやデータ解析に参加していたようだ。

　そんな中でも、メリはオセラドーレが与える影響力を既に実感しているという。

「これまでと比べて、チームの考え方が大きく変わった。だから速さが出てきたんだと思う」

「今はマティアがガイドラインを作って、僕たちはそれに従いながらやっているけど、とてもうまくいっている」

　また、今シーズンは優勝を目指せるかと尋ねられたメリは、次のように語った。

「それは高望みし過ぎかもしれない。でもうまくいけば表彰台は狙えると思う」

「目標はチャンピオンシップでトップ5になることだ。優勝すればすごいことだけど、様子を見ないといけない」

■今季はアウディ継続も、2024年に向けては引き続き車両スイッチを模索

　Team LeMansは昨年9月、R8 LMSをレーシングカー売買のサイトに出品していたことが一部で話題となった。これに対して当時チームのアドバイザーだった古場博之氏（現在はエントラント代表）は、チームが車両の変更を検討していることを認めていた。

　結果的に今季もR8を継続使用することとなったが、これにはスケジュール的な要因も大きかったようだ。

「昨年は（R8を）出品した後に色々とやっていましたが、ウクライナ情勢の影響もあって、新しいクルマをデリバリーするとしたらシーズン開幕までに間に合わないということがありました」と古場代表。中古車両という選択肢も検討したというが、結果的にアウディ継続使用に落ち着いた。

　ただチームとしては引き続き様々な選択肢を検討していくようで、古場代表は来季の車両スイッチの可能性について「既に色々と考えています」とコメントした。